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白の少女はこの世界に愛される  作者: 有氏ゆず
第三話 少女は狙われる
38/125

3-1




翌朝、女子寮の部屋に差し込む柔らかな光で、まふゆは目を覚ました。

小鳥のさえずりが窓の外から聞こえてくる。昨日一日の冒険がまるで夢だったかのように、穏やかで平和な朝だ。


(……朝や……)


体を起こすと、まだ少しだけ昨日の疲れが残っている気がする。けれど、それ以上に心が軽やかで、満たされているのを感じた。


「ふふ……」


ベッドから降りて、大きく伸びをする。

窓を開けると、ひんやりとした朝の空気が頬を撫でた。眼下に広がる学園の景色は、昨日よりもずっと親しいものに感じられる。


(今日も、みんなに会えるんやね)


その思いだけで、胸が温かくなる。

手早く身支度を整え、お弁当を鞄に入れると、まふゆは期待に胸を膨らませながら、教室へと向かった。




教室の扉を開けると、そこにはもう見慣れた仲間たちの姿があった。


「おう、まふゆ!おはよう!」


前の席のレオンハルトが、快活な声で振り返る。


「レオンハルトさん、おはようございます」


まふゆはにこやかに挨拶を返した。


「おはよう、まふゆ。昨日はよく眠れたかい?」


隣の席のセリウスが、穏やかな笑みを向けてくれる。


「はい、セリウスさんも、おはようございます。ぐっすり眠れました」


そして、自分の席に着くために、その後ろへと回り込む。

いつも通り、黒い装束に身を包んだミカゲが、静かに窓の外を眺めていた。


「……ミカゲさん、おはよう」


まふゆがおずおずと声をかけると、彼はゆっくりとこちらに視線を向けた。


「……ああ」


短い返事。けれど、その瞳がほんの少しだけ和らいだように見えて、まふゆの心臓が小さく跳ねる。


自分の席に座ると、彼の大きな背中がすぐ後ろにある。それだけで、不思議な安心感に包まれた。




やがて、始業のチャイムが鳴り響き、ガレオスが教室に姿を現した。

その筋骨隆々な巨体は、何度見ても迫力がある。


「うっす、お前ら!今日の午前は三時間ぶっ通しで、俺の戦闘訓練だ!昨日クエストで疲れてる奴もいるかもしれねえが、手加減はしねえから覚悟しやがれ!」


ガレオスの言葉に、教室のあちこちから小さな悲鳴や気合の入った声が上がる。


「よーし、まずは準備運動だ!全員グラウンドに出ろ!」


号令と共に、生徒たちが一斉に立ち上がる。

まふゆも席を立ち、仲間たちと顔を見合わせた。


「三時間も訓練……大丈夫かなぁ……」


まふゆが不安そうに呟くと、レオンハルトが力こぶを作って笑った。


「大丈夫だ!昨日みたいに、みんなで乗り越えりゃいいさ!」


その言葉に、セリウスもシャノンも頷く。

ミカゲは何も言わなかったが、その視線は既にグラウンドの方を向いていた。


(うん、そうやね……みんなと一緒なら、きっと大丈夫)


まふゆはきゅっと唇を結び、新たな一日への決意を固める。


昨日とは違う、でもきっとこれも大切な学園生活の一ページ。

まふゆは仲間たちと共に、グラウンドへと元気よく歩き出した。




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