無色透明
妻になり自由を楽しんでいた、ジュリエッタ。
そんな中、ジョセフはしきりに子供をほしがった。さすがに公爵夫人が外に子供を作るはスキャンダルだ。しかも、貧しい地域で妊娠・出産など城とは違い設備も違う、こんな汚らしい場所で出産なんて嫌だった。
あら、そういえば、妹が妊娠したと聞いたわね。ちょうどいいわ。ジョセフの願いも叶えてあげたいの。
妹よ、許してちょうだい。
身分違いの恋をして一般人になったバカな妹ジュリエット。大恋愛をしたと意気揚々とわたくしのテリトリーにまで自慢しに来てこれ見よがしに仲睦まじい様子を見せつけた憎らしい妹ジュリエット。好きなように生きていけるのはわたくしの犠牲上でなりたっている事だと分かっていない忌々しい妹ジュリエット。
子供なんていくらでも産めるものわたくしには感謝の気持ちとして一人くらい進呈してもなんの問題はないわね。これで今までの無礼を清算しておげるわ。
ジュリエッタは事もなげにジュリエットの住まいに現れる。そして、目的の赤子を抱き上げる。
たくさんの精霊を従えているジュリエットの娘。想像以上ね、このわたくしより精霊が多いかもしれないわ。トールとの間の子は普通だったのに。
大丈夫よ。この子はわたくしが幸せにしてあげます。精霊たちよ、安心してわたくしは大国の公爵夫人です。こんな貧しい生活でなく豊かな生活をさせます。だからこの子を連れて行きます。あなたたちはここに居てね。
ジュリエッタは精霊にお願いをする。美味しい魔力の子について行こうとする精霊たちを自身の大きな精霊で止めた。
またいずれジュリエットが子供を産むでしょう。その子を守ってあげて。
矛盾している言葉だが精霊は疑わない。人を攻撃している訳でもない。ジュリエットの顔で美味しい魔力の子を連れて行こうとしているだけだ。精霊たちは次の美味しい魔力の子を待つ。
ジュリエッタはユロランに戻りジョセフの記憶を改ざんする。近所の人たちにも改ざんする。グラス10杯ほどあるジュリエッタの魔力には誰も敵わない。
ジュリエッタは初めての子育てを楽しむ。死んでもどんな風に育ってもいいのだ。自分で産んだ子ではないのだから。憎らしいジュリエットの子供だ。ジュリエッタにとってはただの暇つぶしでしかない。
娘が出来たことでジョセフは喜んだ。これでしばらくは子供がほしいと言わないだろう。2人目がほしいと言えばまたジュリエットの所にでもいけばいい。
ジョセフの魔力を抜き取る事は成功したが、なんの役に立つかはわからない。このままでは金にもならない。ジョセフの魔力はなんの色も付いていない。精霊付になれば色が付く。ジョセフの魔力は無色透明だった。ジョセフの魔力が入った魔石を見ながら、これをなにかに使えないかと馴染みの城の魔術師の所に行く。
「城ではあなたが行方不明になっていると大騒ぎですけど」
と言われたが多く金貨を与え黙らせた。魔術師は無色透明の魔石に興味を持った。
たっぷりと入った魔力。無色透明の見たこともない魔石。素晴らしい。
「なにかに使えない?」
魔術師はその魔石に心当たりがあった。昔の記述が記載されている本を引っ張り出した。記述に基づき素材を厳選し特殊な液体を完成させた。
その液体の名は『エリクサー』
『エリクサー』は幻の万能薬。どんな病でも治してしまう劇薬。健康な者が飲めば不老不死になるという毒薬。魔術師はいつかこの劇薬を作ってみたいと素材を何年も掛けて集めていた。そしてその機会と資金を得た。しかし、その完成させた劇薬を飲むのではない。記述に基づきジョセフの魔石を『エリクサー』に10日間浸ける。出来上がったその魔石は、金剛石にかわった。天然の金剛石以上の強固さと美しさを兼ね備えた品物だった。これと同じ物を魔術師は見たことがあると言う。
それは、代々この国に伝わるティアラ、ネックレス、イヤリングである。
それは代々王妃専用の装飾品。婚姻の時や王の代変わりの時にしか使用しない。その保管されている場所は、歴代の王が次世代に口頭で伝えられる。それほど貴重な存在。その美しさは各国でも評判の品物で、毎回披露されるたびに各国の重鎮がどこで手に入るかなど問われるほどの品物、これ以上のダイヤモンドは見たことがなかった。そのダイヤモンドの価値は底知れず。
なるほどあのダイヤは人一人の人間を犠牲にして出来た物だったのね。
ジュリエッタはジョセフのことなど、もうどうでも良くなり、ダイヤモンドを精製することに集中した。ジュリエッタはそのダイヤを祖国や、ルクセルボルン王国ではなく足が付かないように他の国の闇で売らせた。
そのダイヤを各国は挙って買い上げた。どこで手に入れたのかは明かせないにせよ、あのティアラと同じダイヤモンドだと言う事は各国の魔術師たちが証明した。
ジュリエッタは莫大な資産が手に入った。その一方でジョセフは次第に弱っていった。常に疲れていて寝込んでいた。それはそうだろう。ジュリエッタが魔力を根こそぎにしているのだから。
そんな中でも、ジュリエッタはミルの面倒は見ていた。初めての子育てだ。3人産んだのにほとんど触らせてもらえない。公爵夫人は育児の参加など出来なかった。
優雅で気品が有り続けていなければならず、育児疲れなどとんでもない。子供はたまに頭を撫でるだけでいいのだ。
初めての育児は大変だったが楽しかった。魔法でほとんど乗り切った。ミルは精霊が見えるようで精霊を触ろうとして遊んでいた。まさか話が出来るようになるとは思ってはいないだろう。
ハンサムだった緑の男も魔力が無くなると、だんだんとくたびれてきた。根こそぎ取っていると魔力の戻りが遅くなり、次第に戻らなくなった。ジョセフの魔力は以前の10分の1までになっていた。
魔力が取れないともう用はない。そんな時に王妃の悲報を知った。ジュリエッタは城に戻ったのだ。もうミルの事も忘れて。
王妃は死んだ。これはチャンスだと思ったがなかなか陛下に近寄れない。陛下も王妃を亡くされてピリついている。自力で落とすのは難しかろう。
時期を待つしかない。
それから10年。陛下には相変わらず近づけない。お茶に誘っても公務が忙しいと近寄りもしない。王妃が好んで使っていた、ガーデンのガゼボを勝手に使うが気にも留めない。
つまらない、たまに娘はどこだと妹から連絡が来る、もう一般人のため城には上がれない。一度来たことがあるがその時はまだ貴族のままだった。
夫に合わせ妹は一般人になったのだ。バカな妹。
はぁ、つまらない。退屈で死にそうよ。娘、あの攫った娘はどうしているかしら?幸せでいるなら壊してしまおうか?不幸せなら幸せにして、不幸せにしてしまおう。
まぁ、楽しそう。
わたくしはいつでも違う国にいける。あのダイヤモンドでそのチケットを取得している。なにかあれば、逃げればいい。あの魔術師を連れて行こう。
白髪に濃い青い瞳、なかなかのいい男だ。
「ああ、わたくし死んでしまうわ~だんな様を呼んで~」
芝居掛ったセリフでトールを呼ぶ。娘を連れて来させよう。自分で行ってもいいが、トールはあれ以来、城中の各部屋に私のみが転移できないように転移防止を強化している。どうにかすれば出られるが今はしない。
なんでも言う事の聞くトールにお願いすればいいのだから。
最近の素晴らしい素材のおかげで陛下にも聞きそうな魅了ポーションが出来た。でもどうやって飲まそうか。
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