モンスター
ジュリエッタは隣国、ニールヴァンス王国の王、第3夫人の長女として産まれた。ジュリエッタとジュリエットは双子の姉妹。同じように愛されて育った。すでに王には第1夫人との間に長男・次男がおり、跡取り問題などは皆無であった。
ニールヴァンス王国は小国であったものの大国のルクセルボルン王国と隣国であった為、大国の力を借りて国の維持が出来ていた。その代償としては魔力の多い紫の血筋と婚姻を結んで国を支えていた。
ニールヴァンス王国は、精霊が見える種族であった。それは貴族特有の特徴で、また魔力が高い者のみ引き継がれた血統である。故に見えない貴族もいる。そのための研究もされているが、国家機密とされている。
なに不自由なく双子の姉妹は育てられたが、双子の性格はまったく違っていた。
真面目な長女、自由きままな次女というのが周りの評価であった。長女のジュリエッタは稀に見る精霊の愛し子でたくさんの精霊を従えていた。
次女のジュリエットはというと精霊は見えてはいるが他の者と変わらず普通であった。
精霊が見える貴族からするとジュリエッタはモンスター級である。何としてもジュリエッタを手に入れようと見合いが急増したのだ。
ニールヴァンスの王はジュリエッタを巡って争いが起こる事を危惧し、大国ルクセルボルン王国の若き王太子の妃にと打診をした。既に王太子は婚姻をしていた為、王の弟、公爵の息子に白羽の矢が当てられた。
ジュリエッタは不満であった。初恋の君とも引き離され、第2夫人でもいずれ王になる妃が望みであったのにマクシミリアン王太子は認めなかった。
いずれ公爵になるトールにと話がいったのだ。
ルクセルボルン王国は精霊が見えていない種族のためジュリエッタの価値はただ魔力が多いだけの第3夫人の王女だ。しかしながらスズカやメール便の使用権を得られたのは大きかった。
ジュリエッタは婚姻の報告の際にマクシミリアン王太子と出会い一目惚れをしてしまった。しかし、その横には既に第1夫人が鎮座しており、王太子は第2第3夫人は考えていなかった。
結婚したのは、可愛い顔をした子供のような男であった。2つ年上であるトールはやさしく可愛いらしい童顔な男だったがジュリエッタのタイプではなかった。何度かお声を掛け王太子のうちに近づこうとしたが、尽く無視されジュリエッタの魅力は王太子には通じず魅了も効かない。
なぜ、この美しく魅力的なわたくしに心を動かされないの!
しばらくは陛下を垣間見て満足するのが日常であった。そのうち王太子は王になり、ますます近づけなくなった。ジュリエッタは子供を産み、その子供は乳母に取られ、その繰り返しにイライラが募る。暇つぶしにと花を眺める毎日が続いた。
つまらない。子供を産み落とすのが仕事のよう。パーティーも夜会も退屈なトールもつまらない。王の妻にでもなれば気も紛れるかと思ったら、公爵などと…
このわたくしは稀にみる精霊の愛し子だと言うのに…
しかし、ジョセフという精霊なしの緑の男と出会った。男は優しげであり儚さも漂わせたなんとも不思議な魅力の男であった。ジュリエッタはその色気漂う緑の男を気に入った。魔力は多いのに精霊なしと言うのも気になった。
精霊になぜか問いただしたかったが話せはしない。話しかけても首を振るだけだ。なにか気に入らないことがあるのだろうが分からない。人でも殺しているのかと思ったが生まれつきだと言う。
変わった男だ。興味深い。
この国の人たちは精霊がいないと魔法が使えないと思い込んでいるがそうではない。魔力で魔法を扱うのだ。精霊は手を貸しているだけに過ぎない。精霊がいればその属性が強くなるだけだ。ジョセフも普通に魔法が使えると思うが試さないようだ。
「火よ付け」と念じれば自身の魔力はごそっと減るだろうが火は付く。ジョセフは魔力が多いので、日に何回か生活魔法を使っても魔力切れを起こすことはまずないはずだ。精霊なしは珍しいのでよけいに気が付かないのだろう。
ニールヴァンス王国の住民ですらあまり知られていない事実なのだから仕方がないが、そんなことは伝えない。
ジョセフと出会い、城を抜け出した。下町で貧しい男との生活を楽しんだ。匂いもきついし、家も古いし虫が出たり、ごわごわのベッドで居心地は最悪だ。
だが自由な生活、誰にも邪魔されない生活、しかも昔読んだラブストーリーのような貧しいヒロイン、自身と重ね本の中の主人公になったような気分だった。
しかし、ずっとこの生活を続けるつもりはなかった。いずれ帰るつもりだった。まさか5年もいるとは思わなかったが、それほど自由な生活は楽しかった。
マクシミリアン王には通用しなかったが、トールは簡単だ。魅了でいつでも公爵夫人に戻れる。
ジョセフが花の買い付けをしている間だけ、精霊の研究もしていた。寒かったり暑かったするのでそれを防ぐ方法や汚れを簡単に分解する方法など家事をしたくないジュリエッタは考えた。精霊を配合すると色々出来ることもわかった。
また、ジュリエッタはジョセフの精霊なしを不思議に思い独自に研究もしていた。
そういえば、ジョセフの家にはミルの部屋の前にもうひとつ部屋があった。そこには鍵が掛かっていて入ったことがなかった。そこで魔法の研究をしていたのか。
でもそれをこの国の機関に伝えることはしなかった。スズカの変わりに売られた祖国にも嫌気が差していた。いつか違う国にでも移る時にでも情報を売ればいいかと考えていた。
多く魔力を持っているジョセフの使い道も考えなければならない。あの魔力を眠らせておくのはもったいない。
ジュリエッタは他人の魔力を空の魔石に入れることが出来る魔石を開発
あら、出来たわ
ただの空の魔石ではない。魔石に風魔法を使い吸引を付与している。ちょっとやってみただけだったが出来てしまった。人の魔力を魔石に写すことは自分自身では出来るが他人が他人の魔力を奪う事など出来るものではない。多くの魔力が必要になるが闇をうまく使えば軽く出来た。
ジョセフは精霊なしの為、魔法が使えないと思っている。故に魔力コントロールもうまくない。なので自分の魔力を魔石に移すこともうまくないのだ。
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