錬金術師のキキ
今回のザリの行いは故意に仕向けていた為、罰金刑になった。金貨5枚だ。
商人ギルドにもこの行為は公表されザリはこれから1年間、ポーションの製作販売が出来ないようになった。そしてこの夏からの売り上げはすべて没収されることになった。
仕入と売上の損益が事細かく集計されていた為、滞りなくことは進んだ。
その没収されたお金は、ロゼとココが半額ずつ受け取ることとなった。
ちなみに、ココはザリの工房に来ていた業者と結婚することになったようだ。あぁだからあんなに強めに詰め寄っていたんだな。愛だな。
ココは21歳で婚期が遅いと言われていたようですごく幸せそうだった。
後日談だが、ロゼが1週間休んだ時の事、ザリは用意していた薬草が切れた為、催促に訪れていたのだとか。
薬草など買えばいいのでは?と思うのだがロゼが調合していない薬草を使うと一気に質が落ちたのだ。以前のザリのポーションに戻ったのだという。商人ギルドもおかしいと思っていたようだ。
ああ、あれも自分の心配で俺の心配をしているわけではなかったのか、そういえば宿の名も頻りに聞いていたな。ロゼは深いため息をし、自分の浅はかさを呪う。
ロゼは当初ちょっとザリをいいなと思っていた。たれ目で少し皺があるが、味がある。自分の事を親身になって心配してくれた。
もちろんすぐに恋に走ったりはしないが、成人してからのことを妄想したりしていた。
バカである。
また、レイジュ様と同じはちみつ色の瞳がやけに甘さを漂われていた。
アホである。
しかし、ザリの工房に通ううちに冷めた。ザリのルーズな所や雑な仕事、仕事の向き合い方、自分とは気が合わないと感じていた。だから、問いただしたのだ。
仕事に対して真摯に向き合っていたらそのまま騙されていただろう。
ま、そんな人は詐欺行為なんてしないか…
自分がこれほど見る目がないとは呆れるばかりだ。
罠を張って、篩に掛け、信用したのが詐欺師だった。
情けない。
中級ポーションの資格は、レオンの計らいでキキという女性の錬金術師を紹介してもらえることになった。
女性の錬金術師なんていたのか
しかし、レオンには世話になりっぱなしだ。信用するやつを間違えたか。
キキも水の精霊と契約している。髪はオレンジ近い金髪で瞳が濃い青だ。紺に近いかもしれない。その瞳は引き込まれそうになるほど美しい。
キキが契約している精霊は2体いて水の他に風の精霊もいる。他にも数体の精霊がキキの周りを楽しそうに飛んでいる。
キキはアカデミーを卒業している高級付与錬金術師だ。国家資格である。
あのザリの人見知りの精霊は実は人見知りなどではなく、悪いことをしていることに申し訳なくて隠れていたそうな。今はロゼの所にいる。ロゼにごめんなさいと言ってきた。
ザリとの契約は解消したようだ。
「ひどい目に合ったわね。同じ水なんだから私のとこに来ればよかったのよ。よくザリの講習に行ったなって思っていたのよ。レオンに注意させるべきだったわ。」
キキもピストル弾の講習を受けていた。
「あんたが錬金術師なんて知らなかった。それに他の講習者は人気があったようだし、弟子もたくさんいるだろう?人付き合いが苦手なんで人気の講習者は避けていたんだ」
いちいち講習にきている生徒の職など聞かない。明るい感じの良いおねえさんだと思っていた。
そういえばキキの服装は変わっている。みんなが着ているようなワンピースドレスやマキシ丈スカートでもなかった。ガウチョパンツのような幅の広いパンツルックだ。動きやすいからだという。変わったスカートだなというと自分で作ったのだと言った。
男性の社会で働く女性だったのだ。
ギルドの一室を借りて講習をしていたのはキキだったようだ。見学をすればよかった。そうすれば女性の錬金術師がいるとわかったことだろう。
「ザリとは同期よ。アカデミーで一緒だった。あいつは昔から人たらしだったわ。優しそうな顔をして近寄ってきてうまい事言うのよ。まるで自分で選んだ道を歩んでいるかのように思わせるの。口がうまいのよ。」
まさにそれに引っかかった。
「面目ない」
「いやだ。ロゼは若いもの。口車に引っかかるのは仕方ないわ」
中身は50代ですが…
「でもその様子だと教えることはないわね。さすが人気になるだけはあるわ」
キキは急にザリのポーションの質が上がったのを怪しんでいた。
今日はキキの講習は休みだ。頼み込んでキキにロゼを見てもらっているのだ。
いつも借りている一室でロゼに一から低級と中級ポーションを作られせている。低級ポーションは問題なしであった。
「中級も素材に関しては問題ないわ。あとは魔法での配合ね。それは明日からにしましょう、レオンがギルド長室に来てほしいって言っていたわ」
「わかった。明日からお願いします。後、見てもらいたいものがある」
ロゼは3つの魔石をキキに見せた。
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