それぞれの決着
罰金刑の金額を聞いてミタとウキの親は黙って帰って行った。
後日、エトはマトから謝罪されたそうだ。しかし、許すことはまだ出来ないようでギルド長の家にいる。
それはそうだろうな、あんな農家に売られそうになったのだ。助けてもくれず、金になりそうな職についたからと謝罪されてもね。
そして後日、ギルド長室に足を運んだ。またいやそうな顔をされた。
「今度はなんだ」
レオンが面倒そうに返事をする
ロゼは1枚の羊皮紙を渡す。
魔石の請求書だ。
ザリには30個ほど作ってもらっていたが、実際に使ったのは27個だ。3個はもらう。手数料だな。魔石は自分で用立てたのでザリの結界魔法技術分しか払ってはいないが、レオンには魔石代も込みで請求している。
「なんだこの請求は!!」
レオンが椅子から転げ落ちる。
「結界魔石代だ。この街の為の結界だ。錬金術師御用達の街にするんだろう?俺の資金から出すのも違うだろう?大丈夫だ。分割でいいぞ。13回な。よろしく」
それだけ言うと、ロゼは扉に向かいレオンを見ずに手を振る。
レオンは膝から崩れ落ちるのだった。
依頼書や普段使用の植物紙はすでに普及している。この国では大事な取引や契約などは羊皮紙を使うことになっている。ムカイにことの経緯を伝えたら快く丁寧に請求書の書き方を教えてくれた。
羊皮紙には微妙ながら、なんらかの属性の魔力が込められている。そして、自分の魔力が入ったインクを使いなんらかの契約書を作成するのだが、契約を破った者にはその属性により印が飛ばされるのである。その印は身体のどこかに印字され言い逃れが出来ないようになっている。
インクは文具店に売っている普通のインクだ。使用前に自分で魔力を込めれば自分専用インクの出来上がり。盗まれると悪用されるので持っている者は瓶ごと処分するか面倒だが少量づつ魔力を込めるかしかない。
今回ロゼの場合は請求書だが払わなければ、責任者のギルド長に印が飛ぶ。でもやさしいロゼはサインを待たずに帰った。しかしレオンはきちんとサインをし、毎月1日に13回払いで支払いをした。
4人で薬草園に行くようになって、3ヶ月経とうとしている。
当初は行きだけでヘトヘトになっていた3人だったが今や1時間もかからずに到着していた。
「あれからどうだ?親からなんか言ってきている?」
「特に何も言われないけど、俺のベッド周りを家探ししている。師匠に言われたように別々に隠していたけどもう4箇所は見つかった。問いただしたら家賃だの、食費だの色々言われてほとんど取られた。」
ウキはムスッとしてはいるが、家族崩壊までいってないようだ。ちなみに一人部屋などもちろんない。
「俺んとこもだな、隠すところがもうない。だから半分だけ家に隠して後はこの薬草園にある木の根っこに空洞をみつけたから、そこに隠している」
ミタはすでに諦めモードだ。
「え?いいなそれ!俺のも隠してもいい?」
「いいぞ」
「隠し場所を言っちゃあダメだろう」
ぷっと笑うロゼ。
「もう他にないんだよぉ、ここならだれも来ないし…」
「確かにな、でも野生動物もいるから気を付けろよ。持ってかれないように」
隠し場所について楽しそうに話をしている3人に対して、エトは参加せずにいた。黙々と薬草に魔素の多く入った池の水を蒔いていた。そうする事により良い薬草になる、ということをエトが発見した。
「エト、まだオヤジがなんか言ってくるのか?」
ミタが気を使いながら聞いた。
「うん、この間は闇の日に母ちゃんと2人で来た。最近毎週なんだ。でも…」
エトはまだ許すことは出来ないようだった。
「エト、簡単に許さなくていいと思うぞ。何年かして本当に反省しているようなら連絡してもいいんじゃないか?同じ街にいるんだ。エトの納得いくようにすればいい。変に悩むなよ。親が来るのがいやならもう来るなとちゃんと言え、考える時間をくれって」
いつまでも親のことで考え込んでいるエトを見て、ロゼはちょっとイライラしていた。あんな親なんか突き放せばいいんだ!と思ってはいるが、やさしいエトはそんなこと出来ないんだろう。でもこのまま簡単に許すことも笑うことも出来ないのだ。
なら、許さなくていいじゃないか。許すときがいずれは来るだろう。
「…師匠、僕、ちゃんといいます。こないでくれって。時間をくれっていいます」
エトは顔を上げて笑った。
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