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ミルの生活

 まっ、考えて仕方がない。

なんで記憶持ちなのかはわからないが生を受けてしまった。生きるしかないのだ。

こんな性格なので前世も生きていけたのだろう。

 しかし、私はまたもや母なし子だ。手を繋いで歩いている母子連れを見るたびに目で追ってしまう。前世でも羨ましかったが今世でも羨ましいと思ってしまう。


せめてお母さんがいてくれたらな…こんなのばっかり。


「ミル、どうした。ぼんやりしている暇はないぞ。手伝ってくれ。」

 いつの間にか市場についていた。

「あ、ごめんなさい。ぼーとしていた」

「いつまでもボケっとするな。これからはお前もオレの仕事を覚えてもらう。一人ででも市にこられるようになるのだ。わかったな。」

「…はい」


 私の仕事は年を重ねるたびに増えて行った。花屋の手伝いの他に家事全般はミルの仕事だった。現代日本とは違い洗濯機や水道もない。水がほしければ井戸まで組みに行き、洗濯は近くの洗濯場に行き、桶に入れて手洗いだ。冬なんて地獄だ。その後は昼ご飯の用意、家の掃除、花屋の手伝い、夜ご飯の用意、火を起こすのにも苦労する。買い出しもしなければならず、休めるときがない。


そのうえ、市で買い付けまでさせられるのか…まだ8歳なんだけど


一度抵抗したことがあるが、殴られた。

それからは15歳になる成人までは我慢しようと決めた。


 前世の父親からも体罰を受け、生まれ変わっても状況が変わらないことに私は絶望した。なんで生まれ変わっても孤独なのだ。ひど過ぎる。そんなに罪深いことを前世で犯した記憶はない。それなのになぜ、こんなにつらいことが続くのか。

 しかもこのジョセフはご飯を作ってもまずいだの、洗濯しても汚れが落ちていないなど細かいことにうるさい性格だった。


 前世もひどい父親だったが、今世の父親も本当にひどい。私が普通でないからなのだろうか?好きで記憶持ちじゃないんだけど、今の父親は私が普通じゃないことを気味悪がってこんな仕打ちをするのだろうか、と悩むのであった。


 私、美玖は前世では52歳まで生きた独身女性だったのだが、家事は大キライだった。自分の範囲内は出来るが人の分までするということがいやだった。若い時に結婚して子供を儲けてとかなら頑張ったかもしれないが、結局そうはならなかった。

だから年を取っての結婚にも消極的だった。生涯のパートナーがいてくれたら嬉しいがそのために家事を任される。それならば独身でいいかな。とそれぐらい家事がキライなのだ。


 よって飯テロでこの世界にプリン革命!とか出来ない。そもそもプリンの作り方なんて知らない。それに美玖はプリンがキライなのだ。

昔、近所のおばさんに手作りプリンを貰って食べたのが不味かった。それから口にしない。なので作れるはずもない。マヨネーズも作り方なんか知らない。売ってたし。なんかずっと振るのでしょ?そんな面倒なことしたくない。

 スマホがあればね、調べられるのに。レシピ見ればきっとチートができたのにね。なんてね、そっとため息をつくのだった。



『ため息なんてどうしたの?』とかわいい声がする。

声の方へ顔を向けると無数の蛍のような小さな光が見える。色彩はバラバラだ。


「いや、私って親運がないなって思って。」

説明が面倒なので親のことで悩んでいる風に装った。

『いまさら?』

と、無数の小さな光達はキラキラとミルの周りを飛び回る。

小さな光達は、いまさらいまさらとクスクスと笑いながら、飛び回る。

とてもキレイでとてもわかいい。


私は物心付いたころから無数の小さな光が見えていた。最初は蛍のような小さい虫が目の前を飛び回っているのかと思い、手で払いのけて無視していた。次第にその光が人型に見えるようになってきた。


なんじゃこりゃあ、と見ていたら話し掛けられた。


 人型の小さな光達はやっと認識してもらえたと喜んでいた。

人型の小さな光は精霊だという。私が異世界だと確信したのはこの精霊の存在だ。


 市場から戻ると食事作り、朝は食べず市に行くためお昼は早めにそして少し多めに作る。竈に火を起こすところからだ。なかなか難しい。ライターなんてなし、マッチもない。

 火打石を使ってひたすら打ち込む。


こんなのどうしたらいいんだよ。


 まだ小さく力もないミルの身体には毎日のこの作業は苦行であった。

ジョセフに火を着けてとお願いしたら怒鳴られた。それからは自分でするしかなく毎日30分かかってはジョセフに役立たずと言われていた。


『どうしたの?』

 1体の赤い精霊に声を掛けられた。

「私、火のつけ方が下手でいつもお父さんに怒られるの」

 恥ずかしくなり、しゅんとする。

『そうなの?私が着けてあげようか?』

 と言うと、ポンと火を着けてくれた。

「わぁ、ありがとう。また着かなかったらお願いしていい?」

『もちろんよぉ!』

 たくさんいる精霊たちは、ミルの周りを飛び回り、役に立ったと喜んでいる。


ありがたい。この作業ほどいやなものはなかった。精霊様ありがとう。

と手を合わせる。


 それからというもの私は頑張っても出来ないことは精霊にお願いをするようになった。一応、最初に努力はしてみる。しばらくすると火を起こすことは早く出来るようになったが、色々と子供では出来ないことが多いのだ。


 精霊がいてくれて本当に助かった。友達もいないし、父・ジョセフは怖いからあんまり話さない。今は精霊たちとたくさん話しをしている。

名前を付けたいがたくさんいるのでそれはやめた。みんなに付けると覚えられない。

それでもこの精霊たちは一緒に居てくれる。お願いすれば喜んで手伝ってくれる。


 しかし、精霊に頼みすぐになんでも出来るようになるとジョセフは調子に乗り、あれやこれや頼んでくることだろう。

近所の人からは、神童と呼ばれるかもしれない。


 そんなことになったら面倒なので精霊のことも含め、しばらくなにも出来ないフリをしよう。




よかったと思っていただけたら評価☆を頂けると励みになります(^_-)-☆

よろしくお願いします(^◇^)

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