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3人の冒険者

 お布施は気持ちと言われているが基本200デニー、2万円だ。そこそこする。

10銀貨2枚を払い、案内され精霊石に手を掲げる。


 さっき噴水広場で指名した水の精霊が出てきて契約してくれた。精霊はにっこり笑ってありがとうと言っている。かわいい。


 精霊石は一瞬大きく水色に光った。契約が完了した合図だろうと思ってミルは神父さんに向き直ると、神父さんは目を見開いて驚いた顔をしている。ミルはなにか失敗したのかと思い神父さんに駆け寄る。


「どうかしましたか?」

「いえ…いえ!あなたは随分と大きな魔力をお持ちな様ですね。びっくりしました。力の大きな水の精霊と契約されたようだ。年を重ねると力の強い精霊は寄って来ないと聞いています。現に2回目、3回目以降の精霊は1回目より力が小さい精霊が付くのです。成人を随分過ぎてからの1回目の契約であの光!ああ!もったいない。10歳の時に来ていればもっと大きな精霊に当たったかもしれません!」


 なんか、興奮しすぎて失礼なことを言っている。

どうやら成人を随分過ぎた女性だと思われているようだ。だから10歳ですぅ。

ん?でも私が指名した子はたしか中の子だったはす。それでも力が強いの?


「力の大きな精霊だったのですか?」


「ええ、そうです。精霊の属性や大きさがわかるのはあの光です。契約が終了したときに精霊石が光るのですが、あなたの光は濃い青い色で大きく光りました。貴族並みです。でもあなたは平民でしょう?でもたまにいるのですよ。平民でも力の大きな精霊が付く方は!先祖返りといいましてきっと遠いご先祖様はお貴族様だったのでしょうね。いや、うらやましい!!あっ失礼しました。手続きをしましょう。スズカを出してもらえますか?水の精霊、大と登録しましょう。」


 この神父さんに悪気はないようだけどなんか色々と失礼なようなことを言われている気がする。ま、いいけど。でもしまったな。中くらいの子にしたつもりが平民では大なのか…

 ああ、やっちゃった?てへっ?的な?でもこの神父さんの様子だとちょっとすごいくらいの感覚ぽいな。じゃあ気にすることないかな。


ミルはスズカを取り出した。


「では、登録をいたしましょう。おや?卒業した学校が記録されていませんね。再発行されたのですか?」

「はいそうです。」

「ああ、やっぱり。学校も教会でしか登録出来ないのですよ。その為よく再発行の際に入れ忘れる人がいます。一応言っていただけないと登録はしませんので。よくあるのです。学校名はどこですか?この地域のご出身でしたらノートンでしょうかね?ちょっと下町の方でしたらキノクスでしょうか?ああ、学校名を忘れる人もよくいるのですよ。学校名を気にするのは貴族ぐらいですからね。で、どちらですか?もっと下町でしたか?」

「い、いえ、キノクスでした。」

「分かりました。登録しておきますね。」

「はい、ありがとうございます。」


 よくしゃべる神父さんだな…どうしよう。とっさに嘘をついてしまった。この国では2年の学校を出ていないなんてことは考えられないようだ。無料なうえ、昼ご飯付きだ。貧しい家庭はこそ挙って行くだろう。行かせない親なんていないのだ。


「はい、登録完了しました。」

 スズカを渡される。なんの問題もなかったようだ。

「ありがとうございます。」

 ミルはスズカを受け取ると、教会を出た。


 なんだろう。簡単に学卒になってしまった。これは穴だろうな。精霊と契約をさせない親はいない。学校に来させない親はいないと思い込んでいる。でもたまに変な親がいることはいるだろう。私だけではないと思うな。もっと学校を出ていない子とかいると思う。いつか公表出来ればいいな。その子たちの助けになりたい。でも今はムリごめん。


ミルはスズカを手に入れた。いつでもあの家から出ていける。


しかし、10歳に見えない?まぁ動きやすくていいけど。


 イージュレンに向かう馬車でミルはこれからのこと考える。


 最終的には王都に行こうと思う。ルーイがいる王都。別にルーイに未練があるとか横やりをしてとかは考えてない。とりあえず目的地を王都にしようと考えているだけだ。でも未成年だし今王都に行っても仕事はないだろうからすぐに詰むな。まず、お金を貯める。そこでイージュレンをしばらく拠点にする。イージュレンで冒険者として薬草を売って生活をする。そしてお金をためて成人してから王都に向かう。


 いいんじゃないか?


 ミルは先日、スズカを作った後イージュレンの冒険者ギルドに登録をしてこっそりと仕事をしてみた。

 少しの薬草と10歳の子供が仕留められそうな弱い魔獣を冒険者ギルドで精算してみたのだ。魔獣の素材と肉合わせて20ベニー、薬草は3束10ベニーになった。1束は10本だ。合わせて30ベニー3,000円。1時間も働いていない。なかなかいいのではないか。


 ほっとして帰ろうとしたところ冒険者ギルドの職員に話しかけられた。

「君は冒険者なりたて?見たところ成人して間もない?住むところはあるの?」


 今のミルは男装(?)をしている。男装していると成人して間もなく見えるのか。

「宿を…」

「そうか。若い冒険者用に安いアパートが空いているそうなんだが借りるかい?」


即、借りた。

最初の1年は1か月50ベニー、2年目から100ベニー、3年目以降300ベニー。

ちょー格安!物件をその場で見に行ってみたがキレイなアパートだ。

7階建ての各1部屋にベッドとクローゼット付、薪ストーブ付。1階には竈が2つあり、食堂がある。身体が洗える場所もある。つまりお風呂だ。シェアハウスのようだ作りだ。トイレは各フロア1箇所。つまり共同になる。現在入居者は全員男性。と言っても若い女性の一人暮らしなど、この世界ではありえない。


 現在、7階がすべて空いているとのこと。下の階が空くまで最上階だ。下に行くほど先輩冒険者のようだ。よかった。ひとりでトイレが使える。7階にも竈が1つあり、お風呂スペースも1階とは違い狭いが付いている。


 部屋を出るときに壊れたものがないか確認するらしい。壊れているものがあれば弁償だ。それはどこの世界も変わらない。部屋を内見させてもらい一番キレイな部屋に決める。最近リフォームしたらしい。ベッドも新しくキレイだ。鍵も貰い契約完了だ。冒険者ギルドで銀行を開設すればスズカで引落しされるらしい。すぐに開設し200ベニーほど入金する。最近この制度が導入されたとか。


 ユロランにはなかった制度だ。もう少しすればユロランにもこの制度は導入されるかもしれない。イージュレンにあると云うことは王都でも使われているだろう。

大金を持って歩かないでいいのはありがたいよね。私は時ちゃんがいるからいいんだけど。



 ジョセフの元から逃げ出し、駅馬車で半日の移動、ようやくイージュレンに到着した。冒険者ギルドで借りたアパートに向かう。借りてから20日ほどほったらかしている。鍵が付いているから大丈夫だろうと思うが少々不安である。虫とか…

 階段を登って行くと若い男らが下りてくる。こちらを見ているようだ。挨拶とかした方がいいのかな、と考えていたところ。

「おまえ、7階に入った入居者か?」

髪と瞳が真っ赤な青年に声を掛けられた。中の火の精霊が周りを飛んでいる。


「ああ、そうだ。今日から住むロゼだ。よろしく頼む。」

 ミルはやや低い声を出し男の子っぽく、男たちに自己紹介をした。


「今日からだったのか。だから姿が見えなかったんだな。よろしく。俺はセドだ。」

「俺はニールだ。」

「俺はキシだ。」

 ニールは薄い水色髪にブラウンの瞳をした優男、キシは金髪碧眼のイケメンだ。

 3人は20歳くらいだろうか。6階に住んでいるようだ。


「歳は近いかな?俺は18だ。キシとニールは17だ。半年ほど前からこのアパートに住んでいる。俺とキシはもっと田舎から来たんだが、ニールはコロルド出身だな。」

 

コロルドはユロランの1つ前の街だ。


「俺は下町の出身だ。最近、家を出たんだ。」

ミルが答える。この街の出身とは言ってはいない。

「そうか。なにかあったらなんでも言えよ。じゃ!」

簡潔な男だ。嫌いじゃない。


 ミルはあまり自分自身のことを詳しく言わないようにしていた。ジョセフが探しにきても困るからな、と考えていた。3人と別れて部屋に入る。少し埃っぽいが特に荒らされた形跡はない。荒らされてもなにもないのだが。


 ミルは部屋にはなにも置かないように決めていた。すぐに逃げれるようにするためだ。全部時ちゃんに預ければ問題ない。


本当に精霊チートありがたや。


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よろしくお願いします(^◇^)

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