48輪
あきらかに落ち込んでいる山童に罪悪感を感じながらも、取りあえず森を進むかどうかを考えた
「人間嫌いの妖怪が多いってことは、戦わねぇーと無理なのか?」
「アン!」
「でも、出来ることなら戦わずに進みたいのですが……」
「アン!」
「無理だろうな。只でさえあんなにスピードの速い山姥がいたんだ。この先、何が起こるか……」
「アン!」
「ってかさっきから聞きたかったんだが……広野江、その犬どうしたんだ?」
さっきから皆の話の間に声をあげる子犬に、気にしないようにしていたのだろう瀧月君がとうとうツッコンできた
「あ……この犬は……」
「妖怪ですよね?」
「えっ!?ι」
何とこの子犬は妖怪だった
妖怪としての名前は『送り犬』、地方によれば『送り狼』等もいるらしいが、こんな人懐っこい子犬が妖怪だったのはビックリした
「で、どうするんだ?自分の式神にでもするのか?」
「しないよ!」
只でさえ、妖怪関連の出来事には不運が付きまとっている僕に、この送り犬を式神にしたあかつきには僕はどうなることやら……想像しただけで恐ろしい
「アン!アン!」
とうの妖怪なんて子犬がじゃれるような感じで、皆にじゃれている
うん。可愛いよ……可愛いケド妖怪なんだよね……




