10輪
蠢く闇
孤独な子供は
心が壊れていた
壊したのは
私たち人間
子供を救ったのは
私たちが最も忌み嫌う
闇の住人達
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目を開けたくない……
だってソコは毒だから
でも、開けなくちゃ
『何のために?』
彼処に向かわないと
『止めておけ
辛いだけだ……』
知っている、でも開けないと
『愚かだな』
何で?
『開けて辛いなら
見ない方がいい』
それは逃げだ
『なら、お前は今
逃げていないと
言えるのか?』
僕は……
―――――――――――
「くは…………たい」
「広野江?」
寝言だったのだろうか?陽炎が放った言葉はとても小さく、誰にも届かない
だが、陽炎は確かに言った
『僕はいきたい』と…
だが、その声を聞くことは誰もなかった
―――――――――――
阿比王side
理事長室って所の扉を破壊して中に入ると、懐かしい気配の人間がいた
「おいジジィ」
「何だお前か……」
「この夏休みってヤツの企画書に面白いのがあるじゃねぇーか」
そう、俺がコイツの場所に来たのには訳がある。それは、夏休みの企画書に書かれてあった『~夏期強化合宿~』だ
しかも、抽選で選ばれるらしいが、問題ない。だってその場所は
「この夏期強化合宿に俺らは参加する。異論は認めないからな」
「……わかった。お前のいる班だけは特別に抽選無しでいけるようにしておく」
「当たり前だろ?何たって神陰学園の合宿場所の九割六部はアイツ等の家なんだからな」
阿比王side end
―――――――――――
陽炎は未だに眠り続けている
時折何かを呟くが、その呟きは小さく、何を言っているのかが聞こえない
「広野江を起こすぞ」
そう言って起こそうとしたのはもう、かれこれ数十分前の話だ
起こそうとすればするほど眠りは強くなるのか、もう、声すら発しなかった
「広野江ッ!!」
「椿ちゃん、相手を深い眠りにつかせる術があるの?」
「わからない……広野江は綺良姫結晶華に触れただけだから」
そう、綺良姫結晶華に触れてしまい、阿比王から彼の祖父の真実を聞いて倒れた。
それだけのハズなのに彼はまだ眠り続けている……




