第54話 迷いの森と、古の樹精
第54話 迷いの森と、古の樹精
辺境の街アシュタルの東、小高い丘に広がる非公式クラン『絆紋亭』の拠点は、今日という日もまた、世界中のどの場所よりも優しく、そして奇跡のような調和に満ちた朝を迎えていた。
庭の中央にそびえ立つ精霊樹は、日を追うごとにその存在感を増し、今や拠点の絶対的な要として太く力強い幹を天へと伸ばしている。その豊かに茂った枝葉が朝の心地よい風に揺れるたび、チリン、チリンと微かな鈴の音のような魔力の波紋が広がり、庭全体を極上の癒やしのオーラで包み込んでいた。
かつて勇者パーティーに「足手まとい」と嘲られ、追放された青年レイン。しかし彼には、仲間たちが気づかなかった稀少な才能があった――どんな魔物とも心を通わせる「絆紋」の力が。ひとり辺境の街へと流れ着いたレインは、傷ついた小竜を助けたことをきっかけに、はみ出し者の冒険者たちと出会い、気づけばこの場所がみんなの帰る場所となっていたのだ。
「きゅるるーっ!」
「ウォンッ!」
「ピィィィッ!」
「ヒンッ♪」
「ルルゥッ♪」
「シャァンッ♪」
「きゅあぁっ♪」
「キュゥッ♪」
「ホゥッ♪」
「キュイィィッ♪」
「キュルルゥッ♪」
「パタパタッ♪」
「プゥゥッ♪」
「ピィッ♪」
澄み切った青空を背景に、空色小竜のソラ、雷鳴の怪鳥ライ、黄金の天馬ルミナ、翡翠の風呼びシルフィ、星詠みの白梟ステラ、黄金の女王蜂メルティ、黄昏のグリフォンであるシエル、意思を持つ魔道具である銀色の空飛ぶ絨毯シルキー、そして先日仲間になったばかりの焔の不死鳥の雛フィアが楽しげに上空を旋回している。ルミナの放つ神聖な黄金の光、ライの纏う青白い雷光、ソラの美しい空色の鱗、シルフィが巻き起こすエメラルドグリーンのそよ風、ステラの星屑を散りばめたような銀色の羽ばたき、メルティの放つ黄金の鱗粉、シエルの夕空のような美しい翼、シルキーの滑らかな銀色の布地、そしてフィアの放つ温かな炎の軌跡が交差し、まるで空に生きた巨大な芸術作品が描かれているかのようだった。
そんな賑やかな空の舞を地上から見上げながら、二匹の魔物が堂々たる足取りで庭を歩いていた。
銀色のウルフである『フェル』と、純白のポーションラビットである『ピコ』だ。
彼らは、俺が王都を追放され、この名もなき辺境の森にたどり着いたその日に、一番最初に俺の『絆紋』を受け入れ、共に歩み始めた最古参の相棒たちである。
フェルの銀色の毛並みは月明かりのように美しく気高い光を放ち、その体躯は一回りも二回りも大きくなり、森の王者のような風格を漂わせている。ピコもまた、その小さな体には信じられないほどの敏捷性と強靭な魔力を宿し、仲間たちを癒やす要として立派に成長を遂げていた。彼らの後ろを、瑠璃色の幼竜ラピス、紅蓮の精霊狐イグニス、大地の巨熊の幼獣ベル、幻影の小狐ファム、夢紡ぎの獏ネム、癒しの水妖精ディーネといった幼い魔物や精霊たちが、よちよちと、しかし元気いっぱいに追いかけていた。フェルとピコは時折立ち止まり、幼い魔物たちが転ばないように優しく鼻先で促している。その姿は、この大家族の頼れる兄と姉そのものだった。
「フェル、ピコ。今日もみんなの面倒を見てくれてありがとうな。お前たちがいてくれるから、俺は安心してこの場所を守れるんだ」
俺ことレインは、縁側に腰掛けながら、足元にすり寄ってきた二匹の頭を順番に優しく撫でた。
「ウォンッ♪」
「キュイッ♪」
フェルは嬉しそうに目を細めて俺の手に頬をすり寄せ、ピコは自慢の長い耳をピクピクと動かして俺の膝の上に飛び乗ってきた。
「さて、みんなのお腹が空く前に、朝飯の準備をするか。今日は魔力農園の野菜がとびきり美味しく育っているはずだからな」
俺がそう呟くと、フェルとピコは力強く鳴き、ラピスやベルたちを連れて水路の方へと遊びに行かせてくれた。
* * *
一階の広々とした厨房へと降りると、そこにはすでに見習い魔導士のエリス、仕立屋のリナ、元王都特級密偵のシオン、元宮廷料理人のセシル、元聖騎士のフレア、天才錬金術師のノエル、流浪の精霊弓士ライラ、猫耳の行商人ミーア、元Sランク冒険者の剣聖シルヴィア、元宮廷魔導水質管理官のアクア、そして流浪の吟遊詩人カノンがエプロン姿で立ち、手際よく調理を進めていた。
「あ、レイン様! おはようございますっ!」
「レインさん、おはようございます。今朝も魔力農園のお野菜がキラキラしてますよ。今日はカノンさんが素敵なハミングをしながら生地を練ってくれたんです!」
「皆さん、おはようございます! 今朝のメニューは、特製の魔力小麦と新鮮な卵で作った『黄金のフレンチトースト』に、アクアさんの浄水で淹れた『特製ハーブティー』、そしてメルティちゃんの『黄金の霊蜜』をふんだんに使ったベーコンの厚切りソテーですよ!」
「私も、微力ながらお茶の温度調整をお手伝いさせていただいております!」
「ふふっ、人間の料理というのは、見ていてとても興味深いですね。甘い香りと香ばしいベーコンの匂いがたまりません」
「レイン様、おはようございますニャ! 今日も朝からごちそうですニャ!」
「剣の修行の前に、この素晴らしい朝食をいただけるのは至福だな」
厨房いっぱいに広がるのは、フレンチトーストがバターと共に甘く焼き上がる匂いと、厚切りベーコンから溢れる脂が暴力的なまでに食欲をそそる匂いだ。セシルが加わったことで、俺の『料理』スキルや『植物知識』との相乗効果が生まれ、そこに伝説のエリクサーの主原料でもある『黄金の霊蜜』、さらにはアクアが魔法で極限まで不純物を取り除いた『究極の浄水』が加わっている。
女戦士のアイラ、少女魔導士のルウ、老薬師のゴット、ドワーフの若き職人ドーラもリビングに集まり、「いただきます」の合図と共に賑やかな朝食が始まった。
「んんっ!? なんだこれ!? このフレンチトースト、口の中でとろけて消えたぞ! 霊蜜の甘さとベーコンの塩気が合わさって、無限に食えちまうよ!」
アイラが豪快に頬張りながら、信じられないというように目を輝かせる。
「本当によ……セシルが来てから毎朝驚かされてるけど、今日のこれも別格ね。ハーブティーの透明感が尋常じゃないわ。お肌の調子もまた一瞬で最高になっちゃった」
ルウもうっとりとした表情を浮かべて、ティーカップを口に運ぶ。
「この甘さと塩気のバランス……王都の宮廷料理ですら、これには足元にも及びません。涙が出るほど美味しいです……!」
フレアは、美しい顔をほころばせながら、信じられないものを見るような目でパンケーキを噛み締めていた。
「……美味しい。ただただ、美味しい……。呪いの痛みもなく、信頼できる仲間たちと囲む温かい食卓が、こんなにも心を震わせるものだったなんて……」
シルヴィアは、自身の切り分けたベーコンを食べながら、感動の大粒の涙をポロポロとこぼしていた。
「ほっほっほ、伝説の霊蜜を使った料理を朝から食うなど、王族が見たら卒倒するじゃろうな。寿命がさらに十年は延びた気分じゃわい」
ゴットも満足そうに髭を撫でて笑う。
テラスでは、魔物たちもそれぞれに用意された特製の朝食を夢中で食べている。ラピスやイグニス、ベル、ファム、ネム、ディーネ、フィアといった幼い仲間たちには、セシルが特別に消化の良い特製ミルク煮込みに霊蜜を垂らしてくれており、顔を突っ込んで美味しそうに頬張っていた。ソラやライ、ルミナたちも、上質な魔物肉や果実を存分に堪能している。ダイヤはたっぷりの魔力草を幸せそうに咀嚼し、ステラとシエルは専用に用意された極上の肉片を優雅に啄んでいた。シルキーは、俺たちが食事を楽しむ様子を、興味深そうに空中からパタパタと見守っている。
* * *
和やかな朝食を終え、食後のハーブティーを楽しんでいた時のことだ。
老薬師のゴットが、少し神妙な面持ちで俺に声をかけてきた。
「レインよ。実は折り入って頼みがあるんじゃが……」
「どうしたんですか、ゴットさん。改まって」
「うむ。ワシが長年研究しておる究極の霊薬の完成に、どうしても必要な素材があるんじゃ。それが、アシュタルの東にある『迷いの森』の最深部にしか自生しない『霊樹の琥珀』なんじゃが……」
「迷いの森……。一度入ると方向感覚を完全に失い、二度と出てこられないと言われている危険地帯ですね」
シオンが密偵としての冷静な知識を披露する。
「あそこは幻覚を見せる瘴気が漂っていて、並の冒険者じゃ入り口で逃げ帰るって噂よ」
ルウも杖を握りしめて眉をひそめた。
「ほっほっほ、その通りじゃ。じゃが、今のレインたちなら、その森の幻惑を打ち破れるじゃろうと思ってな」
「なるほど。そういうことなら任せてください。みんなの役に立つなら、喜んで行ってきますよ」
俺が快諾すると、仲間たちも次々と立ち上がった。
「当然アタシも行くよ! 迷いの森だろうがなんだろうが、邪魔する魔物は斧でカチ割ってやる!」
アイラが戦斧を背負い直す。
「私も行きます。幻覚など、私の聖剣の光で浄化してみせます!」
フレアも力強く頷く。
「森の探索なら私の弓が役に立ちます。同行させてください」
ライラが白銀の弓を手に取った。
「俺も行こう。未知の森での剣の冴え、試させてもらう」
シルヴィアが大剣を背負って立ち上がった。
「よし、決まりだ。今回の探索パーティーは俺、アイラ、ルウ、フレア、シオン、シルヴィア、そしてライラだ。魔物は、幻覚を無効化できるマシロ、森の道案内に長けたフェルとピコ、そして上空からの索敵にソラとシルキーを連れて行く。エリス、ゴットさん、ドーラ、ノエル、セシル、アクア、カノン、ミーアたちは、拠点の防衛と留守番をお願いできるか?」
「はいっ! ティタンと一緒に、拠点の外周防衛システムを完璧にしておきます!」
エリスが元気よく頷き、ミーアも「お留守番しながら、お弁当の準備をしておきますニャ!」と猫耳を揺らした。
こうして、究極の霊薬の素材を求め、俺たちはアシュタルの東に位置する『迷いの森』へと出発した。
* * *
アシュタルの街から馬車とフェルの背、シルキーの飛翔を駆使して一時間ほど。
視界を遮るほどの深い霧が立ち込める、鬱蒼とした大森林——『迷いの森』の入り口に到着した。
足を踏み入れた瞬間、周囲の景色がぐにゃりと歪み、自分がどちらの方向を向いているのか分からなくなるような強烈な幻惑の魔法陣が展開されているのが感じられた。
「うわぁ……気持ち悪い。目が回るわ」
ルウが額を押さえる。
「マシロ、浄化の冷気をお願い。フェル、ピコ、この森の正しい道を匂いと魔力で探ってくれ」
「キュゥ♪」
「ウォンッ!」
「キュイッ!」
マシロが額の青い宝石を輝かせると、清浄で冷たい空気が俺たちの周囲を包み込み、幻惑の霧を中和してくれた。さらに、フェルが森の微かな魔力の流れを読み取り、ピコが安全なルートを跳躍しながら示してくれる。シルキーとソラが上空から地形を確認し、俺の『絆紋』を通じて脳内に直接地図を描き出してくれた。
俺たちはフェルとピコの完璧な先導により、迷いの森の複雑な迷路を迷うことなく突き進んでいった。
やがて、森の最深部と思われる開けた場所に出た。
そこには、天を突くほど巨大で神々しい一本の大樹がそびえ立っていた。大樹の幹からは、黄金色に輝く『霊樹の琥珀』がいくつも滲み出している。
「あれが霊樹の琥珀……! ゴットさんが言っていた通りの美しさだわ」
フレアが感嘆の声を上げる。
だが、その美しい光景を台無しにする、不気味な音が響き渡っていた。
「ギギギギギ……ッ!!」
大樹の周囲を取り囲んでいるのは、真っ黒に変色し、枯れ木のような鋭い爪を持った十数体の魔物——Aランク相当の『カース・トレント(呪われた樹木鬼)』の群れだった。
そして、その群れの中心で、大樹を守るようにして結界を張っている存在がいた。
透き通るような緑色の髪を持ち、木の葉を纏った美しい女性の精霊——『古の樹精』と、彼女の傍らで傷つきながらもカース・トレントに立ち向かっている巨大な『エルダー・トレント(巨木の守護獣)』だ。
「あれはドライアド……! この森の守り神が、邪悪な魔物に襲われているのね!」
ルウが杖を構える。
「どうやら、あのカース・トレントどもは、大樹の魔力を吸い尽くそうとしているらしい。このままじゃ、あのドライアドたちも危ないぞ!」
アイラが戦斧を力強く握りしめた。
(……助けて……森が、汚されてしまう……)
俺の脳内に、ドライアドの悲痛な声が『絆紋』を通じて流れ込んできた。
「させない!! みんな、あのトレントどもを一網打尽にするぞ!」
俺が叫ぶより早く、俺の最古参の相棒たちが動いていた。
「ウォォォンッ!!」
「キュイッ!!」
銀色の閃光と、純白の弾丸が、森の霧を引き裂いて駆け抜けた。
フェルは目にも留まらぬ速度でカース・トレントの群れに突進し、その全身から青白い雷光を立ち昇らせた。
『白銀の迅雷』!
雷を纏ったフェルの強烈な一撃が、トレントの呪われた幹を粉砕し、周囲の敵を次々と痺れさせる。
そして、フェルが作った隙を見逃さず、ピコが驚異的な跳躍力で空高く舞い上がった。ピコの体から、俺の『野戦調薬』の魔力を受け継いだ浄化と破壊の光が溢れ出す。
『浄化の月面蹴り(ホーリー・ムーン・キック)』!
空中で体を捻り、光を纏った強烈な両足蹴りが、トレントの頭部にクリーンヒットする。ドゴォォォンッ!という轟音と共に、邪悪な魔物が浄化の光に包まれて消滅していく。
「レインの相棒たちにばかり、いい格好はさせないよ! オラァッ!!」
アイラが戦斧に闘気を纏わせ、跳躍して残るトレントを真っ二つに叩き斬る。
「聖なる光よ、邪悪を退けよ!『ホーリー・スラッシュ』!」
フレアの聖剣が眩い光を放ち、呪われた枝葉を浄化の炎で燃やし尽くす。
「私の魔法で燃え上がりなさい!『フレイム・バースト』!」
ルウの放った灼熱の炎が、カース・トレントたちの巨体を焼き焦がす。
「絶技・白銀の飛燕!!」
シルヴィアの放った神速の斬撃が、残る敵を次々と木っ端微塵に切り刻む。
「シオン、ライラ! とどめだ!」
「了解です! クロ、影縛り!」
「にゃぁっ!」
シオンが跳躍し、魔物たちの死角から短剣を突き立てる。クロが『シャドウ・バインド』で動きを完全に封じ込めた。
「精霊の連なり矢!!」
ライラの放った無数の光の矢が、最後のトレントの魔力核を正確に貫いた。
「ギョォォォォォッ……!!」
断末魔の悲鳴を上げ、カース・トレントの群れは完全に沈黙し、黒い灰となって風に消えていった。
* * *
「ふぅ……これで森の安全は確保できたな」
俺が武器を収めると、仲間たちも安堵の息を吐いた。
俺はすぐさま、傷ついて膝をついているドライアドと、エルダー・トレントの元へと駆け寄った。
「大丈夫か? 怪我はないか?」
「あ、あなたたちは……? どうして、この迷いの森に人間が……」
ドライアドは、信じられないものを見るような目で俺たちを見上げていた。
「俺はレイン。絆紋亭のマスターだ。君たちの森を救いに来たんだ」
俺は両手を広げ、右手の甲にある翠色の痣――『絆紋』の光を限界まで解放した。
翠色の温かな波紋が、森の空気を押し退けるように広がり、ドライアドとエルダー・トレントの体を優しく包み込む。
俺はノエルの作ってくれた特製の超回復ポーションを取り出し、絆紋の光と共に彼女たちに注ぎ込んだ。
すると、呪いに侵されていたエルダー・トレントの幹がみるみるうちに再生し、ドライアドの青白い顔に生気が戻っていった。
「すごい……一瞬で、森の呪いを浄化してしまうなんて……。それに、この温かい光……」
ドライアドが感嘆の声を漏らす。
「グルォォォ……♪」
苦しみが消えたエルダー・トレントは、深い森の唸り声を上げて俺に頭を下げ、感謝の意を示した。
(あたたかい……。あなた、優しい匂いがする。私たちの森を助けてくれて、ありがとう!)
ドライアドがふわりと宙に浮き上がり、俺の頬にそっと口づけをした。
「帰る場所がないわけじゃないだろうけど、もしよければ、うちのクランの庭に来ないか? うちには巨大な『精霊樹』があって、君たちのような精霊にとっては最高の環境だと思うんだ。農園の野菜たちも、君の力があればもっと美味しくなるはずだ」
俺が手を差し出すと、アイラやルウ、フレアたちも温かく頷き、フェルやピコが優しく鳴き声を上げて歓迎の意を示した。
ドライアドは、涙を拭い、俺の差し出した手と、温かい仲間たちの姿を見て、満面の笑みを浮かべた。
「……はいっ! 私とエルダー、レイン様と皆様の庭を、世界で一番美しい緑にしてみせます!」
こうして、古の樹精ドライアドと、巨木の守護獣エルダー・トレントが、絆紋亭の新しい家族として加わることになった。ドライアドの名前は、その美しい緑髪から『リーファ』、エルダー・トレントは『ウド』と名付けた。
目的であった『霊樹の琥珀』もリーファから大量に譲り受け、俺たちは大満足でアシュタルの街へと帰還の途についた。
* * *
その日の夕暮れ。
新しい家族であるリーファとウドを連れて、俺たちはアシュタルの拠点へと帰還した。
拠点では、エリス、ゴット、ドーラ、ノエル、セシル、アクア、カノン、ミーアたち、そして幼い魔物たちが温かく出迎えてくれ、新しい仲間の加入と、霊樹の琥珀の入手に拠点中が歓喜の声を上げた。ゴットは霊樹の琥珀を見て「これで究極の霊薬が完成する!」と狂喜乱舞し、ノエルと共に徹夜で工房にこもってしまった。
リーファとウドは、拠点の中心にそびえる精霊樹を見て「こんなに強大で純粋な力を持った木があるなんて!」と感動し、すぐに精霊樹の根元を自分たちの寝床として整え始めた。
そして夜。
庭の虹色の天蓋の下、精霊樹の優しい光に照らされながら、リーファとウドの歓迎会が開かれた。
セシルは、今日も腕を振るい、極上の料理を作り上げた。魔力農園の野菜をたっぷり使った色鮮やかなキッシュ、最高品質の肉の特大ロースト、そしてマシロの氷室で冷やした、黄金の霊蜜をたっぷり使った絶品のフルーツタルト。
「リーファ! ウド! うちのクランへようこそ! これからは、アタシたちが背中を預け合う最高の仲間だ!」
アイラが木製ジョッキを高々と掲げる。
「は、はいっ! ありがとうございます! こんなに温かくて美味しい食卓、夢のようです……!」
リーファは、初めて味わう極上の料理に目を輝かせながら、夢中で頬張っていた。ウドも嬉しそうに枝を揺らし、特製の魔力水を美味しそうに吸収している。
「……信じられないほど、穏やかで美しい時間だ。毎日が新しい発見と喜びに満ちているな」
シルヴィアが、ワイングラスを傾けながら、心からの笑顔を見せた。
「えへへ、私もこのクランに来てから、毎日が幸せでいっぱいですニャ!」
ミーアが猫耳をピンと立てて、幸せそうにデザートを堪能している。
テラスでは、フェルやピコ、ソラ、ライ、ルミナたち魔物組が、新しい仲間であるリーファたちを囲んで歓迎し、ラピスやベル、ファム、ネム、ディーネ、フィアといった幼い仲間たちが、ウドの巨大な枝によじ登って遊んでいた。メルティは空中から黄金の鱗粉を振りまいて宴を彩り、シエルは精霊樹の枝から穏やかにその様子を見守り、シルキーは気持ちよさそうに空中を漂っている。シーナとミロが精霊の池から美しいハーモニーを響かせ、ライラとカノンの二つの竪琴が、かつてないほど美しく、そして壮大な音楽を奏でていた。
賑やかで、優しくて、誰もが誰かを必要とし、誰もが誰かに感謝している場所。
王都で「足手まとい」と呼ばれ、すべてを失った俺の周りには、今、これほどまでに頼もしく、温かい家族たちがいる。
急ぐ必要なんてない。俺たちの絆は、どんな深い迷いの森でも迷うことなく、この辺境の地で永遠に温かく輝き続けていくのだから。
星降る夜の下、笑い声と美しい音楽が、いつまでも絶えることなく響き渡っていた。
【現在のステータス】
名前:レイン
職業:冒険者(クラン『絆紋亭』マスター)
称号:追放されし者 / 魔物に愛されし者 / 辺境の癒し手 / 森の守護者 / 大地の開拓者 / 導きの光 / 豊穣の主 / 呪い打ち砕く者 / 悪夢を晴らす者 / 浄水の守り手 / 炎を鎮める者 / 迷いを導く者
Lv:54(※カース・トレントの群れ討伐と精霊の救出によりアップ)
HP:560 / 560
MP:360 / 360
【スキル】
・生活魔法 Lv.10(極まる)
・剣術 Lv.4
・解体 Lv.8
・野営技術 Lv.10(極まる)
・野戦調薬 Lv.10(極まる)
・植物知識 Lv.10(極まる)
・建築・修繕 Lv.10(極まる)
・鑑定 Lv.9
・気配察知 Lv.10(極まる)
・魔導知識 Lv.10(極まる)
・料理 Lv.10(極まる)
【固有スキル】
・絆紋:対象の魔物(および心を持つ存在)と心を通わせ、警戒心を解き放つ。集った魔物たちと精霊樹の魔力を調和させ、巨大な隠蔽と浄化の絶対結界を形成している。
【クラン『絆紋亭』メンバー】
・空色小竜:絆レベル5
・銀色のウルフ(フェル):絆レベル5(※無双の連携によりさらに戦闘力進化)
・ポーションラビット(ピコ):絆レベル5(※無双の連携によりさらに戦闘力進化)
・クリスタル・ゲッコー(ルチル):絆レベル5
・スピリット・フォーン(ミエル):絆レベル5
・クリア・スライム(スイ):絆レベル5
・宝石蜘蛛:絆レベル5
・雷鳴の怪鳥:絆レベル5
・シャドウ・キャット(クロ):絆レベル5
・水妖の獺:絆レベル5
・氷雪の幻獣:絆レベル5
・黄金の天馬:絆レベル5
・花纏いの黒豹:絆レベル5
・月影の白蛇:絆レベル5
・人魚の少女:絆レベル5
・瑠璃色の幼竜:絆レベル5
・紅蓮の精霊狐:絆レベル5
・翡翠の風呼び(シルフィ):絆レベル5
・大地の巨熊の幼獣:絆レベル5
・心優しきゴーレム(ティタン):絆レベル5
・虹水晶の巨亀:絆レベル5
・星詠みの白梟:絆レベル5
・幻影の小狐:絆レベル5
・黄金の女王蜂:絆レベル5
・黄昏のグリフォン(シエル):絆レベル5
・銀色の空飛ぶ絨毯:絆レベル5
・夢紡ぎの獏:絆レベル5
・癒しの水妖精:絆レベル5(※絆深化)
・焔の不死鳥の雛:絆レベル4(※絆深化)
・古の樹精:新規合流 / 絆レベル3
・巨木の守護獣:新規合流 / 絆レベル3
・ウールシープの群れおよび森の小動物たち
・アイラ(女戦士・正式なクラン協力者)
・ルウ(魔導士・正式なクラン協力者)
・ゴット(薬師・正式なクラン協力者)
・エリス(見習い魔導士・クランメンバー)
・ドーラ(ドワーフの若き職人・クラン専属建築士兼鍛冶師)
・リナ(服飾職人・クラン専属仕立屋)
・シオン(元王都特級密偵・クラン専属防衛担当)
・セシル(元宮廷料理人・クラン専属料理人)
・フレア(元聖騎士・クラン専属護衛担当)
・ノエル(天才錬金術師・クラン専属錬金術師)
・ライラ(流浪の精霊弓士・クラン専属狩人)
・ミーア(猫耳の行商人・クラン専属商人)
・シルヴィア(元Sランク冒険者の剣聖・クラン専属剣術指南役)
・アクア(元宮廷魔導水質管理官・クラン専属水場管理係)
・カノン(流浪の吟遊詩人・クラン専属音楽家)
ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!
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