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追放された絆紋使いの穏やかな冒険譚〜辺境の街ではぐれ者たちと最強の居場所を作ります〜  作者: 盆ちゃん


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第143話 潮騒の港街と、海を繋ぐ造船技師

第143話 潮騒の港街と、海を繋ぐ造船技師

 辺境の街アシュタルの東、小高い丘に広がる特級クラン『絆紋亭』の拠点であり、『絆紋公国』の中心地であるこの場所は、世界が真の平和と調和に向けて歩みを進める中、今日もまた、この星のどこよりも優しく、奇跡のような温もりに満ちた朝を迎えていた。

 庭の中央にそびえ立つ巨大な精霊樹は、深淵の虚無や旧魔王城の怨念を完全に浄化した極上の光をたっぷりと吸収し、もはや一つの大森林と見紛うほどの神聖なる大樹へと成長を遂げている。その豊かに茂ったエメラルドグリーンの枝葉が朝の心地よい風に揺れるたび、チリン、チリンと微かな鈴の音のような魔力の波紋が広がり、拠点全体を極上の癒やしのオーラで包み込んでいた。

「ウォンッ!」

「キュイッ!」

「きゅるるーっ!」

 澄み切った青空の下、縁側で朝の空気を胸いっぱいに吸い込んでいる俺の足元へ、一番最初に俺の固有スキルである『絆紋』を受け入れ、共に歩み始めた最古参の相棒たち――銀色のウルフ『フェル』、純白のポーションラビット『ピコ』、そして空色小竜の『ソラ』が競い合うように飛び込んできた。

 彼らの後に続くように、水豹のリン、幻宝石獣のキラ、白銀の幼熊ブラン、空間転移を操る銀狐のギン、鋼棘の鎧獣マル、疾風の隼ゲイル、影猫のシャロ、水妖の獺ミロ、風精のリスのルル、土精の土竜ドロ、星翼の梟ステラ、幻影の蝶ファル、雲羊のモフ、木精の栗鼠コノ、鎌鼬のタマ、鋼殻の戦亀カメ、雷雲の幼鳥ライたちが一斉に集まってくる。

 極北の遠征や各地の迷宮で家族となった魔物たち。次元を司る星天の神狼シリウス、時空の鯨クジラ、星喰いのバク、星の精霊であるルミ、コア、ジュジュ。虚無から生まれ変わった虚空の精霊ゼロ、時空猫のチク、星屑の幼竜アストラ。

 日々の救済活動で仲間になった琥珀の狐コハク、翠玉の螳螂ジェイド、紫水晶の蝶アメ、鋼角の猛牛バフォ、土塊の猪ブブ、豊穣の案山子ワラ、蜜の妖精蜂ハチ、水水晶の亀スイショウ。

 最近の開拓地や闇夜の救出劇、天空の遺産から仲間になった白磁の巨象マク、風見の鶏カゼ、掘削の土竜ドリ、癒やしの綿毛獣ワタ、幻影の黒豹クロ、月光の梟ツキ、隠密の晶蜥蜴カゲ、空泳ぐ雲鱏フウ、古の機巧梟ギア、陽光の小結晶サン。

 そして、結晶変異ダンジョンや地下水脈の探求で仲間になった晶光の狐クリ、プリズムの宝鹿プリ、鏡盾の亀カガミ、水晶の蝙蝠バト、発光の魚ルミ、岩石の妖精ロクたちも、すっかり拠点に馴染み、わらわらと俺の周囲に集まり、心地よさそうに喉を鳴らしている。

「おはよう、みんな。今日もいい天気だな」

 俺が彼らの頭を順番に優しく撫でると、魔物たちは心底嬉しそうに目を細め、尻尾を振って応えた。庭の奥では、漆黒の竜ノヴァや紅蓮の火蜥蜴ガエン、鋼角の犀ザイン、岩砕の巨獣ダグといった大型組も、朝の日差しを浴びて気持ちよさそうに背伸びをしている。平和な空気が、この庭には満ち溢れていた。

「レイン様、朝食の準備が整いましたよ!」

 厨房から、見習い魔導士のエリスと元宮廷料理人のセシルが、賑やかな声を上げた。

 ダイニングルームの巨大なテーブルには、特製の魔力小麦で作った『焼きたてのガーリックトースト』に、農学者セリーヌが育てた新鮮なアスパラガスをふんだんに使った『濃厚なクリームスープ』、そして砂漠の巫女ナディアが持参したスパイスで味付けされた『特大オーク肉の香草グリル』が並べられている。

「ガハハ! 今日も飯が美味いねぇ! 最近は新しく加わった貴族どもや、内政組の連中がしっかり国を回してくれてるおかげで、アタシらは面倒な書類仕事から解放されて最高だよ!」

 女戦士のアイラが、オーク肉を豪快に頬張りながら大笑いする。

「ええ。ですが、平和な時代においてこそ、物流の要となる交通網の整備は急務ですわ。特に海路の開拓は、世界の復興を加速させる重要な鍵となります」

 少女魔導士のルウも、優雅にスープを飲みながら的確な分析を口にする。

「海の向こうにも、我々の救いを待つ民や魔物がいるやもしれません。常に剣の手入れは怠らずにおります」

 剣聖シルヴィアが静かに紅茶のカップを置いた。

潮騒の港街と、海将の憂鬱

 朝食を終えた俺たちが執務室へ向かうと、そこには首席文官のエレナと特級密偵のシオン、そして東方諸島の海路を統括するセドリック海将が、巨大な海図を広げて深刻な表情で話し込んでいた。

「レイン様、おはようございます。本日はセドリック海将から、公国の南東に位置する港湾都市『ポルト』の復興に関する急ぎの相談が持ち込まれております」

 エレナが深く一礼し、海図の一点を指し示した。

「ポルトは、かつて大陸間の交易で栄えた美しい港街でしたが、魔王軍の残党が海を荒らした影響で、長らく寂れていました。現在、アシュタルからの潤沢な復興資金と、セドリック海将の指揮によって再建が進められているのですが……」

「……お恥ずかしい話ですが、復興の要となる『大型交易船』の建造と、安全な航路の確保が暗礁に乗り上げているのです」

 セドリック海将が苦渋の表情で言葉を継ぐ。

「実は、港の沖合に、突如として巨大な『異常渦潮』が発生し、港に出入りする船を次々と飲み込もうとしているのです。我々の気象魔導士リアナの調査によれば、自然現象ではなく、海底から強大な魔力の乱れが検知されたとのこと。さらに、その渦潮の影響で、造船所で働いていた凄腕の職人たちが海に出られず、船の建造が完全にストップしてしまっています」

「異常渦潮か……。海底から魔力が噴出しているとなると、過去の魔王軍の兵器の残骸が暴走しているか、あるいは海に住む魔物が何らかの理由で苦しんで暴れている可能性があるな」

 俺が推測を口にすると、シオンが頷いた。

「その可能性は極めて高いと思われます。隠密部隊の潜水調査を試みましたが、水流が激しすぎて接近できませんでした。レイン様と、主力陣のお力をお借りしたいのです」

「ガハハ! 海の底だろうが空の果てだろうが、アタシらの敵じゃないよ! 港街の復興を邪魔する厄介者は、アタシが真っ二つにしてやる!」

 アイラが戦斧を担いで豪快に笑う。

「海中での戦闘となれば、炎の魔法は分が悪いですが、海そのものを凍らせてしまえば問題ありませんわ。私の絶対零度を試す良い機会です」

 ルウが炎の杖を弄びながら冷たげに微笑む。

「いかなる水圧の中であろうと、我が剣の神速は鈍りません。お任せください」

 シルヴィアが静かに愛剣の柄に手を添えた。

「よし。フェル、ピコ、ソラも一緒に行くぞ。空間転移のギン、港湾都市ポルトまで一気に跳躍だ!」

「ウォォォンッ!」「キュイッ!」「きゅるるーっ!」

 俺たちは万全の準備を整え、ギンの空間転移魔法によって、潮の香りが漂う港湾都市へと一気に跳躍した。

港の造船所と、海を愛する職人たち

 空間跳躍を終え、俺たちが降り立ったのは、港湾都市ポルトの巨大な造船所だった。

 かつては活気に満ちていたであろうその場所は、今は静まり返り、建造途中の巨大な木造船が虚しく骨組みを晒している。

 その船の甲板で、図面を広げて頭を抱えている二人の人間の姿があった。

「ああもう、ダメだ! このままじゃ、最高の竜骨キールを使った大型船が腐っちまう! 沖の渦潮のせいで、仕上げに必要な『海竜の鱗』も『深海樹の樹脂』も採りに行けねぇ!」

 油と潮風にまみれた作業着を着た、筋骨隆々の若い男性が、図面を叩いて叫ぶ。

「落ち着きなさいよ、バルド。焦っても渦潮は消えないわ。アシュタルの本部に救援要請は出したんだから、今は私たちができる設計の調整を完璧にしておくのよ」

 その隣で、眼鏡をかけた知的な雰囲気の女性が、冷静に計算尺を動かしながらなだめている。

「こんにちは。アシュタルから視察と問題解決に来た、レインだ」

 俺が声をかけると、二人は驚いて振り返った。

「れ、レイン公王様!? も、申し訳ありません、我々のような下っ端の職人が、直接お目にかかれるとは……!」

 男性が慌てて膝をつく。

「俺は『バルド』。この造船所の設計と現場監督を任されている造船技師です。こっちは海洋学者の『マリン』。海の生態系と海流の研究をしています」

「バルド、マリン。復興のために尽力してくれてありがとう。君たちが手掛けているこの船、すごく立派な骨組みだな」

 俺が建造中の船を見上げて感心すると、バルドは嬉しそうに顔を輝かせた。

「へへっ、ありがとうございます! これは俺の最高傑作になる予定なんです。どんな荒波でも沈まない、公国の物流を支える夢の船です! ……でも、あの沖合の渦潮のせいで、船を海に出すことも、素材を集めることもできないんです」

「その渦潮の原因について、マリン、何か心当たりはあるか?」

 俺が海洋学者であるマリンに尋ねると、彼女は分厚いノートを開いた。

「自然発生したものではないことは確実です。私の研究によれば、あの渦潮の中心から、微弱ですが『悲鳴』のような魔力の波動が感じられます。過去に魔王軍が海を汚染した際、深海に追いやられた魔物たちが、何らかの理由で苦しみ、暴走しているのだと推測しています」

「なるほど。やはり、助けを求めている命があるってことだな」

 俺は即座に決断した。

「よし。俺たちがその渦潮の中心へ向かい、原因を取り除く。バルド、マリン、船の完成を楽しみにしていてくれ」

「ほ、本当ですか!? ですが、海中での戦闘は極めて危険です!」

「心配するな。俺たちには、どんな波も乗り越える『絆』の力がある」

異常渦潮と、海中の激闘

 俺たちは港の桟橋に立ち、沖合で荒れ狂う巨大な渦潮を見据えた。

 海面がすり鉢状に凹み、周囲の海水と魔力を無差別に吸い込んでいる。その中心部は暗く淀んでおり、ただならぬ瘴気が立ち込めていた。

「フェル、ピコ、ソラ! 俺たちが渦の中心へ突入するための道を作るぞ!」

「ウォォォンッ!」「キュイッ!」「きゅるるーっ!」

 ソラが上空へ舞い上がり、神聖なブレスを渦潮の表面に吹きかける。浄化の光が水面の瘴気を一時的に中和し、視界を開く。

「行くぞ!」

 俺たちはフェルの雷速に乗って跳躍し、渦潮の中心、海中の暗闇へと一気に飛び込んだ。

 水中に入った瞬間、凄まじい水圧と激しい水流が俺たちの体を襲う。

「『マルチ・エレメンタル・シールド・極』!!」

 ルウが即座に多重の水圧耐性結界を展開し、さらに息ができるように空間を確保する。

「ガハハ! 水の中だろうが、アタシの斧の重さは変わらないよ!」

 アイラが戦斧を構える。

 海底の岩場に辿り着くと、そこにはおぞましい光景が広がっていた。

 かつて魔王軍が不法投棄したと思われる巨大な魔力兵器の残骸が、海底の地脈に突き刺さり、そこから漏れ出した猛毒の瘴気が、三匹の海の魔物たちを縛り付け、狂わせていたのだ。

 一匹は、全身が鋭い棘で覆われ、海流を強制的に捻じ曲げている巨大な海竜――『渦潮の狂竜メイルストロム・ドラゴン』。

 一匹は、美しい真珠を生み出すはずが、瘴気によって黒く濁り、巨大な殻に閉じ籠もっている貝の魔獣――『黒真珠の呪貝カースド・パール・シェル』。

 最後の一匹は、本来は海を浄化するはずの珊瑚が、毒々しい赤紫色に変異し、毒素を撒き散らしている妖精――『猛毒の珊瑚妖精ポイズン・コーラル・ピクシー』。

「あの機械の残骸が原因だ! 魔物たちを操り、苦しめている!」

 俺が叫ぶと、渦潮の狂竜が赤く濁った目を光らせ、凄まじい高圧の水流ブレスを放ってきた。

「させませんわ!『極氷結界グラシアル・ウォール』!」

 ルウが展開した分厚い氷の壁が、水流ブレスを受け止め、海中ごと凍てつかせていく。

「機械の残骸はアタシがぶっ壊す!『極大旋風・星砕き』!!」

 アイラの戦斧が巻き起こす水中竜巻が、魔王軍の兵器の残骸を正確に粉砕し、瘴気の供給源を断ち切る。

「我が剣に、水圧の抵抗など無意味です。『神速・絶空の剣』!!」

 シルヴィアの神速の剣閃が、魔物たちを縛り付けていた呪いの魔力鎖だけを豆腐のように斬り裂いた。

「フェル、ピコ! 追撃だ!」

「ウォォォンッ!!」「キュイッ!!」

 フェルの天雷が海中を眩く照らし出し、ピコの浄化の蹴りが残骸の破片を粉々に砕く。

 俺たち『絆紋亭』の圧倒的な力の前に、異常渦潮を生み出していた元凶は完全に排除された。

海の浄化と、新たなる家族

「今だ!」

 俺は海中を蹴り、苦し気に身をよじっている三匹の魔物たちの中心へと飛び込んだ。

 右手の甲の『絆紋』の光を限界まで解放し、彼らの体へと手をかざす。

「お前たち、長い間苦しかったな。俺が全て調和させてやる!」

 ズバァァァァァァァァァァァンッ!!!!

 翠色の極限浄化の光が、海底を明るく照らし出した。

 光の波紋が海水を伝い、狂竜の棘を滑らかにし、黒真珠の濁りを払い、猛毒の珊瑚を本来の美しい桜色へと変えていく。

 魔物たちの体に染み付いていた瘴気と痛みが完全に浄化され、彼らは本来の美しく神聖な姿へと戻っていった。

 渦潮の狂竜は、透き通るような青い鱗を持ち、海流を穏やかに導く『清流の海竜』へと変化した。

 黒真珠の呪貝は、眩いばかりの白銀の殻を持ち、周囲の水を浄化する『白真珠の聖貝』へと生まれ変わった。

 猛毒の珊瑚妖精は、桜色の美しい珊瑚の冠を戴き、命を育む光を放つ『桜珊瑚の精霊』として蘇った。

(……あたたかい。痛みが、消えた……。お前が、私たちを縛る呪いを解いてくれたのか?)

 清流の海竜から、深い海のように静かで穏やかな思念が伝わってくる。

「ああ。俺はレイン。お前たちをこんな目に遭わせた奴らの残骸は、もう完全に壊しておいた。辛い思いをさせて悪かったな」

 俺が微笑みながら海竜の滑らかな鱗を撫でると、彼は深く喉を鳴らし、俺の手に顔をすり寄せてきた。白真珠の聖貝もパカッと殻を開いて美しい真珠の輝きを見せ、桜珊瑚の精霊は俺の肩に留まって楽しげに舞う。

「ウォンッ♪」「キュイッ♪」「きゅるるーっ♪」

 フェルやピコたちも近寄り、新しい仲間を優しく迎え入れる。

「もしよかったら、俺たちの家族にならないか? 上の港街には、お前たちのように海を愛し、一緒に船を出してくれる人間たちがいる。お前たちの力があれば、この海をもっと安全で豊かなものにできるはずだ」

 俺の誘いに、三匹の魔物は嬉しそうに大きく頷いた。

「よし。海竜のお前は『ウズ』だ。聖貝は『パール』。精霊は『サンゴ』だ。今日からよろしくな、みんな!」

「ギュルルッ♪」

「パカッ♪」

「ポワァッ♪」

 新たなる家族、ウズ、パール、サンゴを迎え入れ、俺たちは完全に浄化され、穏やかさを取り戻した海を抜けて、港湾都市の造船所へと帰還した。

夢の船と、海を繋ぐ職人たち

 俺たちが海面に姿を現すと、桟橋で待っていたバルドとマリン、そして港の住民たちが歓喜の声を上げた。

 荒れ狂っていた異常渦潮は跡形もなく消え去り、海は太陽の光を反射してキラキラと美しく輝いている。

「レ、レイン公王様……! 本当に、あの渦潮を消し去ってくださったのですね!」

 バルドが信じられないものを見るように目を見開く。

「ああ。原因は海底の機械の残骸だった。もう安全だ。それに、新しい仲間も連れてきたぞ」

 俺が合図すると、清流の海竜ウズが海面から顔を出し、白真珠の聖貝パールと桜珊瑚の精霊サンゴが楽しげに水しぶきを上げた。

「なんと……! 彼らは、この海域の生態系の頂点に立つ固有種です! まさか、彼らが渦潮の原因で、それを浄化してテイムしてしまったなんて……!」

 マリンが分厚いノートを落としそうになりながら、興奮して叫ぶ。

「ウズたちは、海流を読み、嵐を避ける力を持っている。パールとサンゴの力があれば、船体の防腐や浄水も完璧だ。バルド、マリン。彼らと協力すれば、君たちの夢の船は、最高の完成度になるんじゃないか?」

 俺の言葉に、二人は顔を見合わせ、大粒の涙を流しながら力強く頷いた。

「はいっ……! 彼らの力があれば、絶対に沈まない、世界一の船を造ってみせます!」

「海の生態系と調和した、真の海洋航路を開拓してみせます!」

「バルド、マリン。君たちのその技術と、海を愛する心は、これからの世界に絶対に必要なものだ。……どうだろう、アシュタルへ来て、いや、この港湾都市ポルトの『公国直属・造船および海洋調査局』の責任者として、俺たちの正式な仲間になってくれないか?」

 俺の誘いに、二人は感動で胸を熱くし、深く深く頭を下げた。

「はいっ……! 私のようなしがない職人と学者でよければ、この命と技術の全てを、絆紋公国の海のために捧げます!」

 こうして、優秀な造船技師バルドと海洋学者マリンという逸材が、新たな人間の仲間として陣営に加わったのである。

潮騒の宴と、広がりゆく海の絆

 その夜。

 港湾都市ポルトの広場では、渦潮の消滅と新たな海路の開拓を祝う、盛大な宴が開かれていた。

 新鮮な魚介類を使った極上の料理が振る舞われ、バルドとマリンは、セドリック海将や内政官のエレナたちと、今後の造船計画や海洋物流について熱く語り合っている。

 魔物たちも、新しく加わった清流の海竜ウズが岩砕の巨獣ダグと背比べをし、白真珠の聖貝パールが子供たちに美しい真珠をプレゼントし、桜珊瑚の精霊サンゴがフェルやピコたちと一緒に広場を飛び回って楽しんでいた。

「ガハハ! 大地を平定して、今度は海までアタシらの庭になっちまったね! これで世界中どこへでも行けるってもんだ!」

 アイラが樽ジョッキでエールを煽りながら大笑いする。

「ええ。海路が開けたことで、他大陸との交流も劇的に進むでしょう。公国の繁栄は、新たなステージへと入りましたわ」

 ルウが優しく微笑み、シルヴィアも深く頷いた。

「ウォンッ!」「キュイッ!」「きゅるるーっ!」

 フェル、ピコ、ソラが俺の膝の上に飛び乗り、顔をすり寄せてくる。

 彼らの温もりと、潮風の心地よさを感じながら、俺は満天の星空と、笑顔に溢れる新しい家族たちを見渡した。

 大地から海へ。

 世界が平和になったことで、この星が隠していた美しい謎と命が、次々と姿を現し始めている。

 造船技師バルド、海洋学者マリン、そして新たなる海の魔物たち。

 絆紋公国に集う全ての人々と魔物たちが紡ぎ出す、海と大地を結ぶ調和の輪は、明日もまた、この星をどこまでも温かく照らし続けるのであった。

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、現在新作もよろしく(*´∀`)ノ

しがらみだらけの人生に疲れたので、記憶を消して無人境へ転生します〜無限魔力の【万能創造】で理想の拠点を作ってたら、最強の魔獣たちが勝手に懐いて最高の家族になりました〜

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