第123話 廃都アラオザルの消滅
「ヨグ=ソトース、ナイアーラトテップ、話しは聞いてたよね。
他の神の居場所を教えて。」
ロッカAOの質問に神格融合した2柱のペルソナが現れる。
ヨグ=ソトースはハゲでデブな中年男性で、ナイアーラトテップは長身痩身のイケメンであった。
そして何故かアルジーのペルソナも現れる。
赤い髪をショートボブに切り揃えたスタイル抜群の美女であった。
「昔のゴジラに出て来て宇宙人だな!Xなんちゃら!」
「はいその通りです。茜の記憶から気に入った姿をイメージ化しました。カッコいいでしょう!」
「おう!すっげーカッコいいぜ!」
目は特徴的なサングラスで覆われていて見えないが、口角が上がったことでとても喜んでいると分った。
「あのうよろしいでしょうか?」
ヨグ=ソトースがハンカチで脂汗を拭いながらペコペコと頭を下げる。
その度に頭皮が光を反射するの見てロッカAOが吹き出した。
「ごめんごめん!それで本題に戻るけど数と場所を教えてください。」
腹を抱えるロッカAOの質問にヨグ=ソトースが淡々と答え始めた。
「主神のアザトースはノーデンスとの戦いで行方不明となりました。
今現在この宇宙でアザトースの神格を感じることはできません。
ウボ=サスラは星辰天軍の本拠ベテルギウスに捕らわれております。
ですのでこの2柱が関与することは不可能でしょう。
残る神達でありますが、現在封印を解かれているのはツァールのみで、他は封印されておりこちらも関与は不可能です。」
「ならそいつが一番の容疑者ね。早速カチコミをかけます。」
ロッカAOはツァールの居住地「伝説の廃都アラオザル」の場所を特定し転移した。
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伝説の廃都アラオザルは亜空間に存在する浮遊大陸である。
オーストラリア大陸と同程度の面積を持ち、大地全てがツァールの眷属であるチョーチョー人の家屋で覆われている。
ツァールの居城は大陸中央部にあり、その周囲10kmだけ緑なす大地に覆われていた。
「あいつらの巣がここだったわけか。」
灰色の石作りの家屋からチョーチョー人が姿を現し、ロッカAOを見上げて何か騒ぎ立てている。
「害獣退治は後にするとして先ずはツァールね。」
城に向かい高速飛行をはじめた途端に地上から無数のエネルギー弾が発射される。
家屋の屋根に取り付けられた高射砲が次々とエネルギー弾を吐き出し、命中するも全てロッカAOのエネルギーに変換された。
「ふむ、障壁を展開してるのか。」
城の手前10kmで停止して障壁に手を当てると、かなりのエネルギーが変換蓄積された。
「せーの!破っ!」
腕を振り抜くと七色の光弾が障壁を貫きそのまま城の上半分を消滅させる。
上から丸見えの城内の玉座で腰を抜かした神格を見つけ降下した。
「ツァールね。あなたどこかで会ったことがあるかしら?」
「し、知りません!は、初めてです!」
「そう、ところであなた最近人の女を誘拐したりした?
こんな女達なんだけど。」
突き出された立体ホログラムを見て高速で首を横に振る。
「ウソはツイてないかぁ、残念。
でもね、チョイ訳ありでさ。あなたを吸収するね。」
「えっ?!」
「理由はヨグ=ソトースに聞いて。」
「ちょっ!」
逃げようとするも頭をガシッと掴まれ宙吊りにされる。
漆黒の大きな瞳の中に万色の揺らぎを見る。
恐怖に駆られたツァールはありったけの力を放出するが、全てを吸収され力尽き意識を失った。
「久しいなツァール!」
「ハエッ?!誰?!」
「なんじゃヌシの主人を忘れたのか?ヨグ=ソトースじゃよ。」
「私はナイアーラトテップだ。」
「エッ?エエー!」
「そして今のヌシの姿がこれじゃ。」
ヨグ=ソトースが手鏡をかざしツァールを映しだす。
手鏡の中には瘦せこけた一匹の黒い犬がいた。
ロッカAOはツァールを吸収すると急上昇してアラオザルを見下ろす。
主を失ったチョーチョー人が慌てふためいているのが見えた。
「必殺技その1を試してみようかな。」
両手をかざすと右手に光玉、左手に闇玉を作り出す。
二つの玉を合わせようと近づけると反発が起こり、凄まじい力の奔流が白と黒の竜巻を発生させた。
「調整が難しいな・・・まあいいか。」
力任せに合わせると交わることの無い白と黒の力が激しくせめぎ合う光玉となる。
ロッカAOは掛け声と共に光玉を放出した。
「天国と地獄!」
抑圧する力から解き放たれた光玉はみるみると大きくなり、浮遊大陸の全てを飲み込む。
光子エネルギーと暗黒エネルギーのサイクロンは物質を素粒子に分解し素粒子さえも対消滅させ波に変えてしまう。
破壊の余波は亜空間にも及び隣接する通常空間を巻き込み、運が悪い星系を消滅させた。
幸いにも星系に自発した生命体は存在せず、ドラコニアンの地球侵略前哨基地を消滅させたのみで済む。
この事故でドラコニアンの総戦力の30%が消失した。
「ちょっとやりすぎたかなぁ・・・まあいいか。
この際だからウボ=サスラも回収しょっか。
ええと、ベテルギウス、ベテルギウスと。ああここね!」
ロッカAOはベテルギウスの方向を指差すと転移する。
去ったあとの亜空間が修復を試みるが受けたダメージが大きく、次第に散り散りとなり最後は霧散してゆらぎのみが残った。
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星辰天軍の本拠星ベテルギウス。
赤色超巨星でありその半径は太陽系木星軌道に匹敵する。
超新星爆発が懸念される年老いた星とは全くの虚偽であり、内部は人工構造物で構成された人工恒星であった。
100万℃を超えるコロナ(水素ガスプラズマ)で覆われ、コロナは自在に制御可能であり、近接での攻防一体のプロミネンス攻撃、遠距離は2000万℃のフレア放射を備える。
また厚さ100kmを超える装甲は建造されてから一度たりとも貫通を許したことがなかった。
内部は球状の層が幾重にも積み重なった構造となっていて、下層ほど重力が強くなりコア部は巨大ブラックホールと同等である。
ウボ=サスラはコア部に収監され、更に何億もの障壁に覆われていることから脱走は不可能と見られていた。
「大きな太陽ね。」
「正確には恒星です。まずは平和的な交渉を提案します。」
「アルジーの意見に賛成するわ。平和的にね。」
眼前がコロナとプロミネンスしか見えなくなる迄近づくと表面が爆発しフレアが直撃する。
ロッカAOは恒星の爆発現象を目の当たりにして心を躍らせた。
「凄い!熱電磁波のシャワーとか初めて!もっと爆発しないかな!」
進行を防ぐかのように次々とフレアが放射されるが、撤退するどころかむしろ喜び当たりにいく。
やがて表面から無数のプロミネンスが燃え立ち、触手のように絡みつくが全く気にも留めず大気を突っ切り表面に降り立った。
「太陽に地表があるよ?」
「この星は恒星に擬態した人工恒星です。
先程の恒星活動は自衛攻撃と思われます。
敵意の無い事を念話通信しますので待機してください。」
「了解。」
アルジーは共通宇宙言語でベテルギウスに平和的会談を申し入れるが答えは拒絶と徹底抗戦であった。
「外なる神の神格を察知したとの事で拒絶されました。
これより総力で迎え撃つとのことです。」
「ええ!ノーデンスの友達だよ!」
「それも伝えましたが効果がありません。
上空に多数の転移反応あり。総数は億以上です。」
あっという間にロッカAOの頭上が星の戦士に埋め尽くされる。
一斉に放たれた光線は七色の大瀑布となり降り注いだ。
「攻撃を止めてくださーい!私は敵ではありませーん!」
無傷のロッカAOが直径3km深さ10kmに渡り抉り取られた大地装甲上で手を振り呼びかける。
戦士は呼びかけに応えることなくローテーションで光線を浴びせ続け、とうとう装甲を突き抜け最上層部に達した。
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「第1層に・・・侵入されました。」
施設管理オペレーターが呆れたように報告をした。
「なんてこった!上空の戦士達を追撃させろ!
被害を恐れるな!なんとしてでも進行を止めろ!」
ベテルギウス建立以来初めての内部侵入を許した屈辱に打ち震えながら、総司令官が両手を振り回し激を飛ばした。
「意見具申!
あのう総司令官殿、これは明らかな作戦ミスかと思われますが。」
「黙れ!参謀長!戦士は全力を尽くしている!それを愚弄するか!」
「いえいえ、滅相もありません。
ただですねぇ総司令官の采配がよろしくなかったのではと。」
「儂の作戦に間違いはない!
奴の能力が想定を上回っているだけだ!
机上の空論を並べるキサマに何が分かる!
大人しく見ておれ!」
「はっ!承知いたしました!」
参謀長は敬礼すると副官の元に戻り小声で話しかけた。
「あれはロッガーロボの別形態だ。」
「やはりそうか。」
「計画発動の絶好のチャンスだ。」
「そうだな。あのボケ老害は必ずやらかす。」
「女皇に作戦発動の承認を貰ってくるよ。」
「頼んだぞ。
戦士はまだしも非戦闘員は最悪の状況に対応できないからな。」
参謀長は司令部を抜け出すと急ぎ女皇の元に向かった。
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「目標、排気管を使い降下!コア到着まで30秒を切りました!」
ロッカAOは被害拡大を防ぐ為に反撃せずただ逃げ回っている。
しかし戦士はその思惑を知ってか知らずか光線を放ちまくっていた。
当然のように施設に流れ玉が当たり爆発炎上する。
非戦闘員はパニックを起こし、攻撃を続ける戦士に襲い掛かっていた。
非戦闘員といえども戦士に準ずる肉体と能力を持つ。
たちまち激しい同士討ちが始まる。
ロッカAOはその隙に天井に繋がるダクトを見つけ内部に突入した。
「S・Wならこのまま心臓部に繋がってるぜ!」
「肯定します。前方に超重力源を感知。コア部と推測します。」
「ヒャッハー!」
背後からの光線をかわしながら、複雑に入り乱れる管内を高速ですり抜ける。
叫び声を上げながら映画さながらの逃走劇を楽しんでいた。




