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六花と槍の物語  作者: hiddenkai
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第111話 珊瑚と紗英と知佳

AKBFマギカは4チームに分かれ日本全国に散らばる。


札幌:紗英マギカ隊(チームSPリーダー)


仙台:満理奈マギカ隊(チームSPサブリーダー)


名古屋:知佳マギカ隊(チームAリーダー)


大阪:紗季マギカ隊(チームAサブリーダー)


彼女達の目的は負の感情で魔物化した人間を歌と踊りで癒し人の心を取り戻すことであった。


「石を求める人達の心は悲しみと苦しみに満ちているわ!

そんな傷付いた心を慰め立ち直らせることが出来なきゃアイドルを名乗ることが恥ずかしいと思う!みんななら出来る!さあ特訓よ!」


珊瑚の提案で筋力養成ギプスと鉄下駄を履いての特訓は苛烈を極めたが、誰一人脱落することなく今日に至り確実にレベルアップを果たしていた。


「これは変身ステッキでち。各自好きな掛け声で変身してくださいでち。

それと歌声を浄化の波動に変換するマイクになっているでち。

心を込めて歌えばより強力になるでち!検討を祈るでち!」


桔梗から渡されたステッキは全て同じデザインであったが、メンバーはそれぞれデコレーションを施し原型を留めていない。


また好きな姿に変身できるとあって髪型メイク衣装の研究に余念がない。

そして予行演習の日は渾身の力作を披露しては皆で品評を行いより完成度を高めていた。


紗季マギカ隊はえびす橋で暴れる魔物を発見すると周りを取り囲む。

5mを超える漆黒の巨体の表面には体に取り込まれた少年・少女達の悲痛な顔が幾つも浮かび上がり助けを求めていた。


「みんな待っててね!必ず助けてあげる!

ステージ展開!Lone Spectator's Prison(孤独な観客の牢獄)!」


紗季マギカの掛け声でメンバーがステッキを頭上に掲げると、魔物の頭上からガラスのような障壁が展開し閉じ込める。

魔物が腕を振り回すが障壁はビクともしない。


紗季マギカ隊がフォーメーションを組むとどこからともなく演奏が流れはじめた。


「私達の歌を聞いてー!」


圧倒的な声量とキレのあるダンスがはじまる。

まだ誰も聞いたことの無い紗季マギカ隊のオリジナルソングが歌われると、遠巻きに見ている人々が続々と集まってきた。


(この詩は私が絶望に打ちひしがれていた時の気持ちよ!

あなたもそうなんでしょう!悲しいよね!苦しいよね!辛いよね!

でもね大丈夫!私が姉御に助けられたようにあなたを助けてあげる!

だから聞いて!私達の歌を!届け!響け!癒せ!)


紗季マギカ隊の癒しの波動を伴った歌声が耳から、ダンスが目から入り込み魔物の黒曜石なような心にヒビを作っていく。


魔物のみならず体表に浮かび上がった顔の目から涙がとめどなく流れ落ちていた。


小さくはじまった手拍子はあっという間に街全体にエールの波動を伴い広まっていく。

それは魔物に大きな影響を与えていた。


「なんだあの化け物!手拍子してやがる!」


「ええっ!ステップはじめたぞ!」


「やだ!ダンスいけてる!」


紗季マギカ隊に合わせて踊る魔物を見る観客から次々と歓声に似た声が上がり、周辺が熱狂に満ちた雰囲気に変貌していった。


僅か7分程で周辺の観客の全ての心を魅了したミニライブが終わると、万雷の拍手と歓声で道頓堀一帯に地響きが起きた。


魔物は跪くとゆっくりと前のめりに倒れ、体から漆黒のモヤが立ち上がり障壁内に満たされる。

障壁がモヤを包み込むように急速に収縮し漆黒の石に変わり地に落ち、地面には10数名の男女が折り重なるように倒れていた。


「ご苦労様、これは回収していくよ。」


QBEは何食わぬ顔で石を口に含むとゴクリと飲み込んだ。


「とても濃度が高くて一人だと酩酊状態になってしまうからね。

戻ったら樽に漬け込んで良い酒にして皆で楽しむとするよ。

さて、役目も終了したし帰るとするか。」


「待って、魔物化した人達はどうなるの?」


紗季はゲートを開き跳び込もうとしたQBEを呼び止めた。


「心配いらないよ。彼らの心は幸福で満ちている。

覚醒したら何か良い夢を見た程度にしか覚えていないよ。

ああ!君らの司法に関しては一切関知していないから、どのように裁かれるかは分からないとだけ言っておくよ。」


それだけ言い残すとさっさとゲートの向こうに去ってしまった。


「・・・あの紗季ちん、私達どうやって帰るん?」


「あっ!」


手荷物の一切を秋葉原劇場に置いてきたチームは無一文であり、連絡手段さえない状態である。


マギカ活動は世間に秘密でありマギカスタイルによって素性は隠され、観衆には派手なコスプレヤーの集団にしか見えていない。

スタイル解除して観衆に紛れ込むこともできすチームは途方に暮れていた時、中年男性を先頭に4名の男女が近づき声を掛けてきた。


「お疲れ様です。NMBF劇場の関係者です。劇場まで先導するさかい着いて来てくれへん。」


中年男は見慣れたグループ身分証をかざし手招きをする。

チームは無事劇場に保護された。


▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽


六花はN.Y.マンハッタン・セントラル・パーク・タワー最上階ペントハウスを窓の外から魔物を眺めている。

魔物化した家主は何をするでもなくコレクションの宝石を見ながら酒を煽りながら悦に入っていた。


「なあ、こいつセレブでコレクターって奴だろう?

癒しより反省をさせた方がいいじゃねえかな。」


茜が鼻をホジホジした指を窓に擦り付けた。


「そもそも人に接していないのに念を吸収したのは何故?QBE。」


「いい質問だね蒼。宝石に限らず人間のコレクションになるものは過去現在の持ち主達の念が宿るんだよ。

石はそれらに蓄積された膨大な量の念を吸収したわけだ。

困ったものだね。」


QBEは表情を全く変化させずに困った素振りを見せた。


「あんたって何か凄いドライよね。」


「ボクらは感情を制御する知性と理性を司る精霊だからね。

なんてことないよ珊瑚。」


「喜怒哀楽を感じないのかしら?」


「そんな事はないよ夜花子、普段は顕著に表さないけど酒が入ると豹変する者が多いね。」


「なんか日本人サラリーマンみたいね。」


「そうだね萌葱、ボクは彼らにとても親近感を持っているんだ。」


「そうでち!今度ネクタイをプレゼントするでち!」


「桔梗ありがとう。社畜の象徴だね。ボクはデザインにうるさいよ。」


どうやらQBEはネクタイを欲していることを理解した六花だった。


「取りあえず反省を促す方針でいこう。

瞬間移動で取り囲んで障壁展開、聖波動で浄化しましょう。」


「異議なーし!」


10秒後漆黒の石を飲み込んだQBEと共に次の現場に転移した。


20分後全ての魔物を浄化した六花はQBEと別れ秋葉原劇場に転移し、各チームが現場に置き去りにされたと指差総括から告げられる。

六花は関連劇場へ赴きチームを回収してまわった。


その後、六花がクレームを入れるとQBEのおさが菓子折りを持って訪れ、今後の再発防止を約束しマギカ活動は継続することになった。


「代表なんだね。名刺に役職書いてある。上司の辛さが共感できて身に染みるよ。」


「本当にそう思います。」


指差総括が六花に名刺を差し出し小茂呂プロデューサーと溜息をついた。


後日、MX系列メディアが発信源となり魔物化の話題が取り上げられたこともあり、多くても3件程度の発生で抑えられている。

AKBFメンバーはすっかりマギカ活動にハマり魔物の出現を心待ちにしていた。


▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽


「珊瑚!私達を正式にあなたの妻にしてください!」


古井チームSPリーダーと新井チームAリーダーに「大事な用がある」と呼び出された会議室で結婚を迫られた。


「独占しようなんて金輪際思いません!数ある妻の一人でいいです!」


「二人で考え抜いた結果です!よろしくお願いします!」


90度に腰を折り頭を下げるアクションが見事にシンクロしていた。


「えーっと、人間を辞める事になるけど本当にいいの?」


「構いません!珊瑚と永遠に一緒なら何も怖いモノなどありません!」


「むしろこれからAKBFを永久に存続させるために好都合です!」


「・・・分かったわ。ここじゃムードないから他所に行こうか。」


珊瑚は二人と共にお気に入りの場所に転移した。


「凄い!周りが海ばかりで何もない!」


「空がとても青い!海がエメラルドグリーンで綺麗!」


古井と新井は転移先の景色を見て驚きの声を上げる。

ここは大海原にポツリと立つ棟の最上階にあるペントハウスであり、珊瑚の秘密の隠れ家であった。


「ここに私以外の人が来るのはあなた達が初めてよ。

二人とも一緒に相手してあげる。おいで。」


珊瑚はキングサイズのベッドに腰掛け二人を手招きする。

古井と新井は誘蛾灯に誘われるように全裸で珊瑚の前に立った。


「うん!よく鍛えてあるね。お腹割れてるし絶対空域も見える。」


二人の6つに割れた腹筋から股間に指を這わせると「クチュ」と湿った音が大きく響いた。


「うわあ、ビチョビチョじゃない!前戯の必要ないね。

じゃあ二人とも並んでベッドに寝てくれる。」


クスッと笑みを漏らす珊瑚と体中を真っ赤にする古井と新井。

指示通りに並んで横になると珊瑚が服を脱ぎ始めた。


「なんて綺麗なの!無駄なお肉がどこにも無い!」


「二の腕、腹筋、太もも全部引き締まってる!羨ましい!」


古井と新井は鍛え抜かれた身体を見て感嘆の声を漏らした。


「ありがとう、でもね残念なことにオッパイが小さくなっちゃった。」


緊急再生時の絶乳から涙ぐましい努力の結果、なんとかBカップまで戻したがまだまだ不満がある。

二人の上に覆い被さるとCカップの4つの山をわざと強く揉みしだいた。


「あなた達のオッパイが羨ましいわ。」


痛みよりも快感が勝り二人は悲鳴に似た嬌声を上げた。


「二人とも処女なの?」


言葉なく古井と新井が頷いた。


「なら私好みの女に仕上げてあげるね。」


「お願いします!」


「私達を珊瑚の女に作り替えてください!」


珊瑚はニコリとほほ笑むと二人の顔の上に股間を晒す。


「よく見ていてね。」


珊瑚の膣口から二対の触手に似た肉塊が二人の口元まで伸びていく。


「口を開けなさい。」


二人は蕩けた表情で餌をねだる鯉のように口を大きく開け舌を伸ばした。


珊瑚は二人の貫通式を同時に済ませ胞子を放出する。

胞子は卵巣の卵子と受精すると子宮まで下り着床し根を伸ばす。

5分もすると脊髄から脳へ神経ネットワークを接続し基礎を構築した。


(ようこそ古井 紗英、新井 知佳、あなた達を新しい家族として迎え入れます。これから永遠とも言える時間を共に生きていきましょう。)


アルジーが心話を通して二人に挨拶を告げた。


「アルジー、二人には私から全ての真実を告げるわ。」


(承知しました、珊瑚。)


珊瑚は紗英と知佳に腕枕をしながら六花ファミリーの事を話しはじめる。

それは一晩を費やしたピロートークであった。

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