表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
六花と槍の物語  作者: hiddenkai
110/128

第109話 横浜アリーナライブ

中華三国連合国から戻り数週間後の2月初旬、3月25日に開催される横浜アリーナライブ出演者選挙がメンバー、スタッフ、協賛各社によって行われる。


チームRこと六花と珊瑚が鍛え上げた研修生チームKの12名は確定枠であり残りの席数15はチームAから仏8と4名、チームBから2名、チームCから1名で決定した。


「チームB・Cのメンバーは枕営業で票を稼いだ。」

選ばれなかったチームAメンバーからB・Cメンバーの選出への不満が上がり、急遽リハーサルが行われる事が決まった。


チームKと「ハード・ローテーション」を「踊り」ながら「歌う」だけの課題であったが、選ばれなかったチームAは皆脱落する。

選出されたB・Cメンバーはなんと最後まで踊り歌いきった。


「へえ、根性あるじゃん。」


「実は彼女達は姉御がいらっしゃる直前に昇格しまして、私の同期でもあるんです。

それで・・・姉御に内緒でトレーニングしてました!ごめんなさい!」


チームKリーダー古井 紗英は珊瑚に向かい腰をきっちり90度に折り詫びをいれる。

不安定な姿勢でありながら全くブレない姿勢を30秒続けた。


「別に謝らなくていいよ、戦力が増えるのはいいことだし。」


「もう一つお願いがあります!」


「あの3人をチームKに降格させるんでしょ。」


「え?あっ、はい!」


「サッシーさんの許可は取れてるの?」


「はい!ばっちりです!」


「なら、あなたがチームKのリーダーなんだから好きにしていいよ。」


「ありがとうございまフッ!」


咬んだ古井 紗英は飛ぶように3人の元へ向かうと4人揃ってピョンピョンと飛び跳ね回った。


メンバーが確定し指差総括から今後の活動方針について発表がされる。

チームSPを新設しチームKメンバーをそれに充てる。


今後はチームSPがセンターを務めチームA以下が周りを固める。

チームRは映像露出をせず舞台コンサートのみに出演し特殊性を高める。

指差総括は「六花レア構想」と名付けメンバー全員に知らしめた。


「それって映像にするとチームRの顔が分からなくなるから、それの対策って噂で聞いたことがある。」


都市伝説のようにSNSで広まった噂話は1月下旬に発売されたチームR写真集Vol.1「六花の軌跡~序~」で現実と証明された。


写真集には特典映像ビデオが添付されており、それは聖夜のライブを撮影したものだった。


映像を見た者は六花の顔をまるで覚えていない。

そこで写真集を見て「ああこんなに可愛い!」と改めて映像を見直す。

そして映像を見てまた分からなくなり写真集を見直す。

それが延々とループした。


話題が話題を呼び、300万部用意した写真集は3日で完売し、重版の予約待ちが3ヶ月先という社会現象になる。

それでも手に入れた者は後に「祝福を受けし幸運なる者」と末代まで称えられた。


▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽


ステージ正面アリーナ席は最前列から4列目迄は六花の近親者で固められ、ママ、狼牙、薄葉、お糸、7令嬢らの六花ファミリーと四具祖ファミリーの姿が見える。

それぞれ推しカラーのペンライトと法被を着こみ鉢巻を締めていた。


会場先行販売のサイン入り写真集VOL.2はあっと言う間に完売し、指差と木荒の結婚は確約された。


「AKBF33!行くよー!」

珊瑚の号令で皆が右手を高く上げる。

その手の平には絆を示すマーキングが七色に光っていた。


チームA NO.2 佐藤 美波

「そりゃ滅茶滅茶悔しかったですよ!

なんで研修生が私達の上に居るのかって!

総括の話を聞いたその晩は寝れませんでした!

でもね、合同練習した時にはっきり分かりました。

私達には実力が足りなかったてね。

本気度も彼女らに足りてなかった。」


「それでヤル気を失ってあんな無茶をしたんだ。」

佐藤は顔を真っ赤にしてグヌヌと呻いた。


「そりゃ荒れましたよ。

自棄になって滅茶苦茶になりました。

記者さんの方がよく知ってるでしょう。」


「連日連夜のホストクラブ通いとホテル前での2ショットだね。」

記者は平然とした顔で手帳を捲り上目遣いで佐藤を見た。


「勘弁してくださいよ!あの時は頭狂ってたんです!」


「普通ならクビになると思うけどね。」


「それはですね・・・姉御、いや珊瑚さんが助けてくれたんです。」


「へえ初めて聞くね。サッシーさんがお咎めなしと聞いたけど。」


「珊瑚さんが口添えしてくれたんです。」


「詳しく聞かせてもらってもいいかな?」


「いいですよ、総括に今日は何を喋ってもOKって許可貰ったんで。」


佐藤は珊瑚が如何に自分を立ち直らせたかを自慢げに語り始めた。


「週刊誌が発売された当日です。

家で引き籠ってた私の前に突然現れてですね。

あ!突然現れた方法は分かりません。

姉御は魔法って言ってました。


え?正気かって?!私は極めて正気です!

それでですね姉御はどうしたいって聞いたんですよ。

どうでもいい!って答えたらキツイ張り手を一発喰らいまして。

あんなに痛いのは生まれて初めてでした。


その後一瞬で四次元って場所に連れていかれたんです。

何度も言いますけど私は正気です!

そこで古井の時間の窓を見せられたんです。

驚きました。


寝食を惜しんでってああいう事を言うんですね。

走りながら大声で歌うとか傍から見たら狂人じゃないですか。

それをほぼ毎日してるんですよ。雨の日も欠かさずに。

そしてゲリラライブの日も走って向かうんですよ。

長い時は2時間走ってたかなぁ私は絶句しましたよ。


人って自分より努力してる人なんかいないって思い違いするけど、古井の姿を見て恥ずかしくなって大泣きして姉御に謝りました。」


「それがきっかけでヤル気を出したわけだね。」


記者は嫌らしくにやけて煽る態度をした。


「ヤル気はありました!覚悟が足りなかっただけです!

姉御に「覚悟はあるか」って聞かれてなんの覚悟ですかって聞き返したら、「人を辞める覚悟だ」って言われてその時の雰囲気もあって、姉御が人間に見えなくなって怖くなったんです。


四次元に連れていかれた時に私の運命は決まってたんですよ。

人を辞めるかこのまま行方不明になるかってね。

それで人を辞める覚悟をしました。


それがこの印です。

今は人を辞めて良かったと心の底から思います。

これのお陰で本物の歌って踊れるアイドルになれたんですから!」


「それはタトゥーシールか何かなのかな?」


「いいえ、一生消えることが無い絆の証です!」


誇らしげに手の平を見せる彼女の笑顔に後悔は微塵も見えなかった。


▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽


「今回チケットを入手できた幸運な観客にライブの様子をお聞きしたいと思いまーす!」


リポーターの地見じみ 茄子なこが笑顔でガッツポーズを作り駆けてゆく。

MXテレビロケハンはAKBF33スペシャルライブ会場前で退出してきた観客にインタビューを行おうとしていた。


一般チケット販売はネットのみで開始時間になると即サーバーが落ちるほどで僅か10秒でソールドアウトとなる。

手に入れられなかった者は違法チケット販売やオークションを探す。

チケットを求める者が値を釣り上げ一時100万円に達したが1枚も出品される事がなかった。


「それほどのチケットを入手できた人達がどんな人なのか特集したら面白そうではないか?」


ディレクターの嬉無うれない 英蔵えいぞうの企画にプロデューサーの小茂呂おもろ 奈記なきがGOを出し、奇跡の聖夜を撮影したスタッフが再び集結した。


地見は長身の男性と2人の少女の組み合わせを見て「親子にしては珍しい組み合わせだな」と好奇心を持ち声を掛けた。


「こんにちは!MXテレビです!ライブの様子のお話を聞かせてもらってもいいですか?」


3人は振り向くと一同顔を見合わせコクリと頷くと男が「よいのである」と返答した。


「歌舞伎町ライブで様々な演出がありましたが今回はありましたか?できれば内容も教えてください。」


「ありましたよ!今回は何と!会場が魔法の国になったんです。

どう見ても別の世界に紛れ込んだみたいな!


まず空気が違うんです!花とか森のいい匂いしかしないの!

深呼吸すると肺の中が綺麗になっていく感じ!


もう大興奮してはしゃぎすぎてエネルギーがゼロになったわ!」


胸に大きくマリリンと書かれたプラカードを下げた少女が語る。


「ライブもただ歌って踊るじゃなくて、ミュージカルみたいに物語があってその中の主題歌みたいな感じ。

物語に合わせて背景と登場人物も変わるの!


そう、登場人物が精霊とかモンスターとか天使・悪魔なの!

みんなとっても綺麗でかっこよくて可愛いの!

私は五色の竜がチョーお気に入り!」


同じく大きくカレンと書かれたプラカードを下げた少女が語る。


「でも一番綺麗なのは?!」


「珊瑚ちゃん!」


「そして1番可愛いのは?!」


「桔梗ちゃん!」


突然3人がハモって大声を上げた。


「それは凄い仕掛けですね!」


「仕掛けではござらん、魔法でござる。

実際に見て触れないと理解できないのである。」


プラカードにとしあきと書かれた男が斜に構えた。


「皆さんが集団催眠に掛かっていたのでは?」


としあきの態度にカチンときた地味が皮肉を込めて言い返した。


「もう!としちゃんたら何で女子にマウント取りたがるかなぁ。」


「そんなんだから童貞=年齢なのよ!」


マリリンとカレンにたしなめられるとしあき。


「あら、あなた達親子じゃなかったの?」


「失敬な!僕が子持ちなわけなかろう!謝罪を要求する!」


「もうとしちゃんは黙ってて!」


「ごめんなさいね、トッシーは3次元の女子に免疫がないの。」


マリリンとカレンはとしあきの前に出て地味との壁になった。


「証拠になるか分からないけど妖精さんからのお返しを見せてあげるね。」


「客席を飛び回ってた妖精さん達に甘いモノあげたらお返しを貰ったの。」


マリリンとカレンは六花が愛用する同じガマ口ポシェットから色とりどりの美しい石を手の平一杯に取り出した。


「妖精さん達にキャンディをあげたら代わりにくれたんです。」


「妖精さん達の住む国のあちこちに落ちている小石なんだって。」


あまりの美しさに地味は魅入られて我を忘れてしまう。

嬉無は一旦カメラを止め地味を引き離した。


「 茄子ちゃんどうしたの?」


「す、すいません。あまりに綺麗な石で・・・」


「女の子の宝石好きは理解できるけど仕事中なんだからさ。」


地味は嬉無の小言を聞き流し石を見つめる。

彼女は石の魔力に心を奪われていた。


後日、インタビューがテレビ放送されるやいなや世界中から「あの石を持った少女の身元を教えてほしい」と問い合わせが殺到する。

個人情報を一切聞いていない局スタッフは知らぬ存ぜぬを通すが、中には脅迫をしてくる者も居て只事ではない様相が見えてくる。


大事になりそうな気配を察知した小茂呂は探偵を使い少女を探しはじめるが、意外なところから身元が判明した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ