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六花と槍の物語  作者: hiddenkai
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第108話 理想郷の未来と「おもてなし」外交

「私達には大きな構想があり蜀こそがその構想達成に不可欠だと思っています。話しを聞いて貰えますか?」


劉備は身を乗り出し「勿論です」と答える。

寿子は構想の内容を書き出したレポートを取り出し説明をはじめた。


①貨幣制度の廃止

チベット・ウイグル・モンゴル各自治区を魔法によるテラフォーミングを行い、巨大穀倉地帯とし地球人類に無償提供を行う。

テラフォーミング技術が確立すれば地球上の砂漠地帯を全て穀倉地帯に変え食料の過剰供給をめざす。


先進国家にはAIによるフルオートメーション工場を設立し工業製品の無料供給を図る。


エネルギー・原材料については桔梗・康子・恵三子の3人が主導となり、日本の研究機関で「元素固定装置」を作成中であり、簡単な原子配列の素材であれば無限に作り出せるとレポートに記載されていた。


京極「供給が需要を上回れば貨幣に価値が無くなります。」


劉備「それでは全ての資本主義者を敵に回すことになるのでは?」


財前「その点については既に有効な対策を実施しており今も継続しております。」


劉備「そもそもですが魔法は存在する・・・してましたね。茜さん達が使っていたのは魔法ですよね?」


茜「そうだ!でもよ、あんなのほんの一部だぜ!なっ!桔梗!」


桔梗「はいでち。あたちは土壌改良と大気調整をせーれーさんにたちけてもらう魔法を開発したでち!」


劉備「あなたが魔法を開発したのですか!超重要人物ですね!素晴らしい!」


オーバーリアクションで桔梗を褒めるが不思議と嫌味を感じない。


「あれが劉備の特技というか特性なのですよ。

人をおだてて自分の思い通りに動いてもらう。

しかし大抵良い方向に進むので本人達も悪い気がしない。

扇動者ってやつですな。」


少し難しい顔をした山城 萌に関羽が耳打ちをした。


「お父様と似たタイプの政治家ですか。気が合いそうです。」


僅かに上がった口角を関羽は見逃さなかった。


「そうすると働かなくて生きていけることになり、人が堕落するのでは思えますがその点は如何にお考えか?」

最年長の黄忠が渋い顔をして寿子の顔を見た。


「黄忠様は地獄の存在を信じていらっしゃいますか?」


「うむ、勿論です。

自堕落、犯罪者は皆地獄送りで良いと思っております。」


「ならば話しが早いですわ。

近く地獄の存在を全人類が知る事となります。

そうなれば堕落しようと思う者などいなくなるでしょう。

魔法やAIで無くなる仕事もありますが、目を宇宙に向ければそれ以上に人が行わなければならない仕事がたくさんあります。

私達は世界中に教育機関を設けて就業のお手伝いをいたします。」


「地獄が本当に存在するならば是非一度見てみたい!」


「ご安心ください、後ほど皆さんをお連れいたします。

地獄の「地獄巡りツアー」へと。」


そう答えた寿子が笑顔を作るが目が全く笑っていなかった。


②地球統一政府の樹立

前提として地球をひとつにまとめ上げ異星文明との交流を目指す。

手始めにユーラシア大陸そしてオセアニア・アフリカと最後に南北アメリカを統一政府に加盟させる。


「世界大戦になりませんかな?」


馬超の顔が不安で強張っているが六花ファミリーは平然としていた。


「そうですね、その気力が残っていればあるかもしれませんが、まあ無理だと思います。

地獄巡りツアーに参加すればご理解いただけるかと。」


能面のような綾小路 理恵子の返答に蜀の重鎮の背筋に汗が流れる。


「それで統一後の最高指導者はどなたをお考えですかな?」


劉備の真剣な眼差しが寿子の瞳を見た。


「僭越ながら私達が務めさせていただきます。」


「これまでの話を聞いているとあなたが力任せに世界の独裁者になろうとしているようにしか聞こえませんが?」


「独裁者ですか・・・そうですね、そうかもしれません。

ですがこの役目は私にしかできないものと確信しております。」


「その根拠をお聞かせ願いたい。」


「私達は地球文明をより高位の次元に導く使命を授かりました。

私達にとって地球は守り導き育てる我が子となったのです。


母は子にとっては独裁者でしょう?

ですがその代償に無限の慈愛を捧げ奉仕します。

私達は地球の母となり無限とも言える命を得ました。

これからの人生は全て我が子の為に捧げます。


これが答えとなりますが信用することは難しいでしょうね。

地獄へ行きご自分の目で真実を確かめて下さい。」


寿子の合図で執務室の全員が地獄の閻魔の元へ転移した。


「大いなる慈母「女媧」の生まれ変わり寿子様!我々は生ある限りあなた様に仕え忠誠を誓います!」


地獄から戻るなり「蜀」の面々は地に片膝を着き忠誠の誓いを立てる。

その後、魏、呉を訪れ地獄巡りツアーに強制参加させると、蜀同様に忠誠を捧げられた。


チベット・ウイグル・モンゴル各自治区のテラフォーミングは地元からの積極的な協力もあり、僅か1年で死の砂漠が小麦・大麦・大豆が実る緑の大地に生まれ変わった。


その後予定通りに地球上の砂漠の全てが緑の大地に生まれ変わり、更には穀物の他にも様々な農産物が無料供出され餓死する人間はいなくなり、精霊によって改良された作物は病や遺伝病から人を救い病死が消えた。


日本に工業製品のフルオートメーション工場が作られ、日々大量の製品が地球上に無料供出されるようになると、貨幣制度は崩壊し資本主義社会が消滅し人々は貧富から解放される。


何もしなくても好きなだけ食べられ、欲しいモノが手に入る。

想定通り自堕落な者が激増したが、夢によって地獄の存在を知り徳を積むために生きるようになる。

それでも改めようとしない者は六花ファミリーによってツアーに強制参加させられ改心した。


▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽


6年後、全ての国がまとめられ地球統一政府が樹立する。


初代知事 西園寺 寿子

副知事 財前 康子

副知事 伊集院 侑加

副知事 綾小路 理恵子

副知事 京極 恵三子

副知事 黒川 優

副知事 九条 沙也加


いずれも10代にしか見えない少女達が要職を占めたが、男女含めて誰からも反対意見は出ずに満場一致で採決された。


政府の目は宇宙に向けられ、衛星軌道上にコロニーを建設すると統一政府施設は全て宇宙に移される。

その後多数のコロニーが建設され月の地下に宇宙開発の為の拠点が作られると一気に宇宙進出が始まった。


月基地で核融合エンジンが作られると大型宇宙船が次々と就航し太陽系内惑星の調査が始まる。

人々は火星をテラフォーミングすると金星、水星、木星・土星の衛星のテラフォーミングを行い人類生活の場が内太陽系全域に広がった。


そしてついに念願の宇宙間航行システムの開発に成功する。

船体を四次元空間に落とし、行きたい場所の好きな時間に跳躍するという画期的な航行システムであった。


1年の期間をかけて作られた宇宙船は「大和」と名付けられる。

独特な船体フォルムはアニメで登場した宇宙戦艦とそっくりで一部のマニアから大絶賛をされている。

試験航行は6人の少女と6人の成人女性1人の成人男性で行われることが決まった。


月ドックから現れた大和は光速の99.9%で推進しラグランジュ点に停止すると、カウントダウン後ユラユラとゆらめきながら四次元空間に落ち消えたかと思いきや、1秒後に船体がほぼ融解し原型を留めていない状態で再び出現した。


誰もが失敗と確信したが乗員からの通信で生存が判明すると管制室は歓喜の声に包まれた。


科学者達は大和が持ち帰った記録を見て我が目を疑う。

映像には宇宙創生「ビッグバン」が記録されていたからである。

この記録の解明分析に半年以上の時間が掛けられたが99%の確率で本物の映像であると発表された。


この一連の出来事は地球文明のみならず異星文明にも衝撃を与えた。


統一後100年の期間に満たない文明が、未だ5次元以上の文明しか持たないタイムシフト航行をやり遂げ、3次元文明では成功した事例のない「ビッグバン」の記録に成功したことを危惧した。


宇宙連盟はこの事実を重く受け止め地球の連盟加入を採決する。

アンドロメダ星人は古くから友好的である立場を利用して正式な親善使節として立候補し地球を訪れた。


「いやはや物凄い数の宙船ですな!どこかの銀河を征服されるおつもりですかな?」


「地球の船には一切の武装を許可しておりませんし、資源は自星系内で十分間に合っております。」


アンドロメダ星人使節キュキュイ・ピルルは着岸したドックからの景色を見て、これが全てこの星だけで作られた宙船なのかと驚く。

建造ラッシュの真っ最中で統一感のない様々な形状の船が数万隻単位でドックに係留されている風景に警戒心を高めた。


宇宙進出前の地球人には何の脅威も感じず、他星に都合よく利用されるのを見て憐れみを感じていたが、この宙船の数を見れば脅威を感じずにいられない。


更には地球人を洗脳し利用していた異星人の気配を感じられないことも不安を感じさせる要因のひとつである。

彼らはそれなりの武力を有しその気になれば地球ごと消し去ることも可能だったはずだ。

それが宙船からのスキャンで見つけることができなかった。


「確かドラコニアンの影響を強く受けていたと思いますが、どのように払拭されたのですかな?」


「それは地球人類の意思の強さが勝ったとだけお伝えします。」


伊集院 侑加はキュキュイにニコリと微笑みながら手を握りしめる。

キュキュイは数百年振りに触れられた素肌の感触に感情を揺らされた。


「ようこそいらっしゃいました。代表知事の西園寺 寿子と申します。

今後ともよろしくお願いいたします。」


映像で見ていたが実物を見てその若さを実感する。

長命種たるアンドロメダ星人の寿命は2000年で300歳で成人して以降あまり外見が変化せず一生を過ごす。

アンドロメダ星人に換算すると寿子の年齢は200才程度で学生と変わらない外見をしていた。


(まるで子供ではないか。しかも地球年齢で100歳を超えているとあるが寿命はせいぜい100年だったはず。もしかして人工生命体なのでは?)


まじまじと観察する視線に気づかされた寿子はキュキュイに近づくと素手で両手を握りしめた。


「他の星の皆様は敬意を払いアンドロメダ星人に触れないと聞いておりますが、それは望まれたことでしょうか?」


「い、嫌!そのような事を望んだことは一度もありません!」


「ならば不敬行為に当たらないと思ってよろしいですね?」


「も、勿論です!」


「よかった。」


寿子はキュキュイの手の平に頬を擦りつける。

キュキュイは数百年振りに感情と心音の高まりを感じた。


(どうしてこうなったのだ?)


昨晩、キュキュイは西園寺にディナーに誘われ美味い料理と酒、そして会話を楽しんだ。


久しぶりの念話を使わないお喋りに夢中になり酒もそれなりに飲んだ。

途中酔いで意識が混濁し、翌朝目覚めると全裸の寿子が自分の上で寝息を立てている。

そして自分の生殖器が寿子の生殖器内にあることに驚愕した。


(まてまて待て落ち着くんだ。

そもそも私の繁殖期は500年前に終了し、生殖ホルモンが分泌されないことから交尾可能状態にならない。

ということは通常状態で生殖器内に挿入されたことになる。

私は強制行為をされたということか?!)


確証を得るために体内走査をして更に愕然とする。


(しゃ、射精しているだとぉ!)

それも1回、2回の量ではない。少なくとも5回以上の精液量であった。


「お目覚めですか?」


寿子は目を見開き脂汗を流すキュキュイを見て「重かったですか?」と問いかける。

キュキュイはフルフルと首を振る。

寿子はクスッと笑みを溢し膣を動かし始める。

陰茎に血液を送り込む膣の動きで、たちまち充血し性交可能状態になった。


「昨晩は私ばかり楽しんでしまい申し訳ない気持ちでしたの、今度はキュキュイ様が存分にお楽しみください。」


1000年振りに理性を失ったキュキュイが寿子を組み伏せ腰を振る。

160cmに満たない寿子の体が2mを超える巨体を易々と受け止め、しきりに愛の言葉を囁く。

キュキュイは寿子の「おもてなし」にあっけなく堕ちた。


後にプレアデス星人、シリウス星人等、地球に有効的な異星人が訪問してはことごとく「おもてなし」外交の虜となる。


宇宙連盟に加入してから僅か69年後、宇宙連盟で初めて3次元人の議長として西園寺 寿子が選出され当選を果たす。

この時寿子は地球年齢で170歳を超えていたが、その容姿は若々しく20代前半にしか見えなかったという。


「地球人は肉体の楔から精神を解き放つことができない。」


第5次元異星人は西園寺の「おもてなし」外交を皮肉るように警告する。

その警告通り、地球は異星文明との接触から1万年が経ち飛躍的に文明レベルを向上させるが、未だ3次元の壁を超えることが出来ずにいた。


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