#86 キス
遅かった?
何が遅かった?
まさか、メリアンが気づいてて、それをラビツたちに伝えていた?
「傭兵契約、今朝にもうしちゃったんだと」
メリアンが代わりに答えた。
ほんの少し前の自分の思考について、心の中でメリアンに詫びる。
ここんとこ、メリアンには申し訳ない濡れ衣の想像ばかりしているな、俺。
そういう思考を排除しないことが、最悪の事態へ供えることだとは納得できつつも、心の隅に罪悪感が吹き溜まる。
「ふーむ。それはまずいなぁ。君らが触れた娼婦は君らじゃないとわからないし、早めに上書き伝染させないと、想定以上に広まってしまうかもしれないし……契約の破棄はできないかい?」
モクタトルが尋ねると、ラビツが右手の袖をまくる。
その手首には腕輪のようなものがはめられている。
「できなくはないが、自己都合の除隊は、罰としての寿命提出量がそこそこ多い。期間も三ヶ月契約だし」
「三ヶ月?」
メリアンがラビツを睨む。
「一ヶ月の予定じゃなかったか?」
「ま、待ってくれメリアン。ラビツを責めないでやってくれ。ラビツがお前に贈ろうとしていた武器がな」
猫種の先祖返りのロブストが横から口を挟む。
「ロブスト、言うなむぐっ」
それを遮ろうとしたラビツの口を、猿種のパンスが塞ぐ。
「ラビツよ。お前がメリアンを驚かせたい気持ちはわかる。でもよ、今はそうも言ってらんないだろうよ」
「見つけちまったんだよ。あのカシナトの業物をな。金額的には俺たち四人で三ヶ月ってとこでね。もう手付は払ってあって、取り置きしてもらっている状態だ。式を延期してでもそれだけのモノを贈りたいってラビツが言いやがってな。まぁ、俺たちもメリアンには幾度となく背中を預けてきた。メリアンのためだったらタダ働きしてやるよっつうことになったんだ」
ロブストが、悪さをしたときの猫っぽい表情で溜息をつく。
その猫耳も申し訳なさげに伏せている。
「この腕輪さえなんとかできればなぁ。実績紋は実際にはまだ更新されてないし」
「そうなのか?」
モクタトルの目の奥が光った気がした。
「ああ。入隊試験で脱落者となった場合は更新内容が変わるからな」
眉間にシワを寄せながらそう言ったのは、猿種のオールだった。
「入隊試験? それって普通、契約した直後じゃないのか?」
メリアンが尋ねる。
「いや、名前を告げたら、試験免除ですって言われたよ」
「ふぅむ。それは、受付係が名前だけ聞いてヴォールパール自警団だって勘違いしている可能性があるってことだな?」
モクタトルが悪そうな顔をする。
「いやいや、契約の腕輪は除隊まで外すことができないし、街を出ようとしても止められるぜ」
オールは口をへの字に曲げた。
「どれどれ」
モクタトルはオールの腕輪に触れ、魔法代償を集中する……と、外れる。
そしてまた、オールの手首へと戻す。
まさか、この腕輪もコーカ・スレースの魔導研究所で開発されたもの?
「あー、なるほど。そういうことなら、ラビツ、ロブスト、パンス、オールという名前の四人が揃っていれば、なんとかなるってことだな? 乗った」
メリアンも手をポンと打つ。
「そ、そんな簡単にごまかせるんですか?」
思わず口を挟んでしまう。
「まぁ、素性を隠したまま傭兵するなんて珍しくもないからな。本名じゃなくとも怒られやしない。部隊に同じ名前の奴が居たとき、部隊長の独断で違う名前なりあだ名なりを与えられることもあるくらいだし。実際、あたしらも名前よりも二つ名で呼ばれることの方が多いよ……もっとも、そういうのは戦場で敵方への威嚇が目的なんだけどな」
となると、メリアンと俺と、ルブルムとレムってこと?
部屋の中を見回す俺の視線に気づいたモクタトルが口を開く。
「なぁ、契約紋の最終更新はいつまでだ?」
「日没だ……試験に受かってから準備をする奴も居るからな」
ようやくラビツが会話に復帰する。
「ふぅむ。あの馬車、普通の馬車よりも早かったな。彼らは夕方前に着けるかな? ……というのも、ルブルムにはクスフォード虹爵様への報告という大事な任務があるのだ」
……ああ、そうなるよね。
となるとマドハトか……マドハトの体はそんなに強くはないが、大丈夫かな……。
「いろいろ迷惑かけたな……いや、まだかけることになるのか、すまない」
ラビツが立ち上がるのと同時、ロブスト、パンス、オールも立ち上がり、四人で俺たちに向かって目線を外した丁寧なお辞儀をした。
モクタトルがラビツたちに近づき、一人ずつゆっくりめの握手をしながら立たせて回る。
呪詛を上書きする解呪の呪詛か……ようやくラビツたちに届いた。
あの日、ケティから呪詛を移されてから十六日……十進だと十八日が経った。
長かったようであっという間だったようにも感じる。
そうだよ。
一つ、忘れちゃいけないことがあった……ケティとリテルのためにも。
「ラビツ……ケティから伝言がある」
俺はラビツの頬めがけて思いっきり拳を振り抜いた……ラビツはいったん避けかけたが、すぐに頬をその場に留める。
頬骨に当たったのか、拳が少し痛い。
人の顔なんて利照としてもリテルとしても人生初めてのこと。
「あれは本当に悪かった」
ラビツは、ケティの唇を無理やり奪ったことについて、改めて謝罪する。
「その言葉、ケティに伝えておきます」
ケティと、俺の中のリテルは、これでちょっとは溜飲を下げてくれただろうか。
ラビツたちのおごりで豪華な昼飯をいただきながら、俺とレムは傭兵についての基礎知識や、入隊試験が実施される場合の対策などを学んだ。
今回の作戦で行くとなると、急遽、入隊試験を受けさせられる可能性もあるということで。
食後の腹ごなしも兼ね、模擬戦めいたこともする。
マンクソム砦でヒューリとケンカしたときに編み出したあの技を練習させてもらったりもした。
実際には帰ることが決まっているルブルムも、興味津々で一緒に学んだ。
……傭兵か。
まだ実感が湧かない。
ちなみに、わざと試験に落ちるのは、実績紋に「そういう実力」として記録されてしまうため、やめた方がいいとのこと。
マドハトたちが到着したのは、日没にはまだ少し間がある頃。
事情を軽く説明すると、マドハトは尻尾を振って快諾した……しかし、ロッキンさんがまた真面目ぶりを発揮する。
「レムペーさん、あなたはだめです。私と彼は、あくまでもルブルムさんの護衛ですから。名無し森砦までは一緒に帰らないといけません」
「一人居ればいいじゃない! エクシさんだって、一人なんだし!」
「それは、レムペーさんが死亡した扱いになるってことですよ? 生きていることが発覚すれば、脱走兵として処理されちゃいます」
「でも私が居なかったら人数足りなくなっちゃうじゃない」
「兄貴ぃ、何もめてるんでやす?」
突然、山羊種の男が一人、会話に参加してきた。
見覚えがある……ニュナムの手前でウォッタやカーンさんたちを襲った四人組山羊種の一人だ。
「……お前、ニュナムに居たはずじゃ……」
「兄貴ぃ、やだなぁ。お前じゃなくファウンでさぁ。兄貴ほどお強い人だ、きっと戦いの場を求めているんでしょう。だとしたらあっしがお手伝いをせねばっつって追いかけてきたんでやす。戦争の噂が立っている今、行き先はマンクソム砦じゃなくギルフォドだろうと、あっしの勘がですねっ!」
「知り合いか? 頭数的にはちょうどいいじゃないか」
モクタトルが安堵の表情を浮かべる。
「いや、こいつは知り合いではなく、移動中に捕まえた犯罪者で」
「いやいや兄貴ぃ、それは言いっこなしですぜ。罪の分はちゃんと寿命で払ったし、それにあの小さな子……メドちゃんだったけかな、あっしが連れ出さなきゃ、とっくにルージャグの腹の中ですって……それにそもそも、あっしはあの三人とは違いやすぜ? あっちは元々連れ合い、こっちはアイシスの酒場でばったり会って同じ山羊種つうことで意気投合して道中一緒に居ただけでさぁ」
こいつが俺のように寿命の渦を偽装できるのでもない限り、一般人が嘘を言うときのような乱れは特に感じられない。
「あいつらケンカっぱやいんでやすよ。あっしがあそこで人質取らなきゃ、あの子ら全員皆殺しになりかねなかったんでさぁ。死んだのが一人だけで済んだのはあっしのおかげでやすからね? カーンちゃんだって、察して自分から股を開いたんでやすよ。でもあっしはメドちゃんを人質取るフリしてずっと守ってたんで、腰振ったりはしてないんでやす。どうでやす?」
このドヤ顔。
ただ、こいつが本当に嘘をついていないのなら、毛嫌いするのもアレだよなぁ。
なんかいまいち胡散臭いんだが、現状、こいつが仲間として振る舞ってくれれば、ルブルムとラビツたちが帰途につけるのも見過ごせないし。
「あんた、ファウンだっけ? 腕の方はどうなんだい?」
「まぁ、それなりに。ちょっと前に仕事を失くしちまって。しばらく傭兵でもしようかとここを目指してたくらいでさぁ」
「俺が見てやる。武器も同じようだからな」
オールが短剣を抜いたかと思うとファウンへと踏み込み、鋭い突きを放つ。
「わっ、わっ、わっ、突然ですかい?」
おどけながらもファウンはちゃんと全て避ける。
ヴォールパール自警団の「夜爪」オールが、手加減しているだろうとはいえ放ったあれだけの攻撃を、ちゃんと見て避けている実力はなかなかのものなんだろう。
「ファウンと言ったな。お前はこれからの三ヶ月、オールと名乗っていいぞ」
「またまたぁ、買いかぶり過ぎでさぁ。ヴォールパール自警団の夜爪と同じ名前だなんて!」
ファウンの一言で、さっきまで張っていた場の空気が一気に和らいだ。
仕方ない。
ファウンに協力してもらうか……。
その足で入隊受付まで行った。
メリアン、マドハト、ファウン、俺の四人で。
もちろん、契約の腕輪は付け替えてもらっている。
「あれ? ……なんか雰囲気が……」
受付の人は、そばかすの印象的な河馬種のお姉さん。
耳をくるくると動かしている。
「あー、見た目が変わる魔法をかけてもらってたのを忘れてたよ。今はもう効果時間が切れているから……」
メリアンが用意していた答えをそれとなく呟く。
「まさか、試験免除を狙ってのことでしたか? だとしたら、知りませんよ? 強い人ってことでタール大隊長のとこに配属が決まっちゃってますから……あの方の期待を裏切ったら、どんな仕打ちを受けることやら」
「タール大隊長? もしかして、漆黒の風か?」
メリアンが聞き返す。
「ご存知ないまま入隊ですか……本当に知りませんからね。自ら招いた毒虫ですからね。ハイ。この巻物に四人分の紹介状が書かれています。まずは魔術師組合へ言ってこの巻物を見せてから実績紋を更新してください。巻物は返してもらってから傭兵部隊の隊舎へ移動してください。外区画の北東付近です。入り口入ってすぐの受付に巻物を渡してくださいね」
自ら招いた毒虫っていうのは、要するに自業自得ってことだ。
入隊試験は免除のままだったのでそれはそれで助かるけれど、タール大隊長かぁ……怖そうだな。
憂鬱な気持ちを抱えたまま、日没前にと魔術師組合へ急ぐ……なんとか四人とも無事に入隊が果たされた。
傭兵部隊の隊舎へと移動する前に、南門までルブルムたちを見送りに行く。
任期満了まで三ヶ月もあるし、ショゴちゃんはルブルムに使ってもらうことにした。
「お兄ちゃん!」
別れを惜しむレムが抱きついてくる。
「絶対に、死なないでね」
「うん。頑張るよ」
と答えつつも、妹、妹、妹……頭の中で念じる俺。
呪詛が消えて健全となったこの身に、無防備に寄せられる胸元の凶器は実に破壊力がある。
「リテル!」
ルブルムも加わり、胸囲いや脅威は二倍に跳ね上がる。
いやいや、俺、紳士たれ。
紳士たれ。
紳士たれ……そうだ。これは姉さんだと思おう。
元の世界の姉さんのあの、見下すような不快感を露わにした表情を思い出す……あっという間に下半身が落ち着きを取り戻す。
「お兄ちゃん、何を考えてるの?」
不自然さを見抜く女の勘か……レムはこういうとこ鋭いんだよな。
よく見ればルブルムも不安そうな表情をしている。
ああ、そうだよな。
俺、バカだな。
二人がこんなに心配してくれているのに、俺は何と戦っているんだっていうね。
今、二人に向き合わないでどうするんだよ。
傭兵というのは、死ぬかもしれない仕事だということ。
そして殺す覚悟もしなくちゃいけない仕事でもある。
「ごめん。不安にさせて」
改めてルブルムとレムとを抱き寄せる。
ぎゅっと抱きしめる。
胸の奥底から二人への想いが溢れてくる。
「俺は大丈夫。必ず生きて、また二人に会いに戻るから」
言い終えたときだった。
ルブルムが、背伸びをして俺の唇に唇を重ねた。
口を塞がれたからかな、なんか、目から涙が勝手にこぼれる。
なんで、溢れてくるのが止まらないんだろう。
ルブルムの唇が離れたあと、レムの唇も勢いよく飛んでくる。
俺がうっかり口を開けたせいか、レムとは歯がぶつかってしまう。
「ごめ」
言いかけた俺の手をルブルムが下へ引っ張る。
ああ、そうか……膝を少し曲げてかがむと、今度はレムの唇の柔らさかだけが俺の唇を覆った。
キスを終えたあと、二人をもう一度抱きしめる。
「行くね」
「またね」
二人が離れると、ほんの今さっきまで二人が触れていた部分が妙に寒く感じる。
ルブルムもレムも、涙を流しながら無理して笑顔を作っていた。
俺も、笑顔を作った。
ちょっと不満げなモクタトルとマドハト以外は皆、笑顔……というか、ニヤニヤしていた。
「メリアン」
ラビツがメリアンに近づき、濃厚なキスをする。
「償ったら、真っ先に揉みにくるから」
「バカだな」
メリアンもまんざらじゃないといった顔で再び濃厚なキスをする。
「馬がだいぶ弱っていたから、元気なのに交換してもらってきたよ。この費用も俺たち持ちでいいからな」
こんなときでもしっかり仕事をしていたオール。
さすがヴォールパール自警団。
「では、行こうかね。トリニティはこの馬車を追いかけてきてくれ」
モクタトルが仕切り、ショゴちゃんが出発した。
街の外には街灯などない……ショゴちゃんは夕闇の向こうへと消えた。
「元気だしな!」
メリアンが俺の背中を勢いよく叩く。
俺たちは気持ちを切り替え、傭兵部隊の隊舎へと向かった……いや、これは嘘だ。
ルブルムとの、レムとの、キスの感触がまだ唇から消えないで残っている。
● 主な登場者
・有主 利照/リテル
利照として日本で生き、十五歳の誕生日に熱が出て意識を失うまでの記憶を、同様に十五歳の誕生日に熱を出して寝込んでいたリテルとして取り戻す。ただ、この世界は十二進数なのでリテルの年齢は十七歳ということになる。
リテルの記憶は意識を集中させれば思い出すことができる。利照はこれを「記憶の端末」と呼んでいる。
ケティとの初体験チャンスに戸惑っているときに、呪詛にて不能となったが、ようやく解放された。
その呪詛を作ったカエルレウムに弟子入りした。魔術特異症。猿種。
レムールの「ポー」と契約。伸ばしたポーの中においても、自分の体の一部のように魔法代償を集中したり魔法を使えることがわかった。
・カエルレウム師匠
寄らずの森に二百年ほど住んでいる、青い長髪の魔女。猿種。
肉体の成長を止めているため、見た目は若い美人。家では無防備な格好をしている。
寄らずの森のゴブリンが増えすぎないよう、繁殖を制限する呪詛をかけた張本人。
ディナ先輩、ルブルム、リテルの魔法の師匠。ストウ村の住人からは単に「魔女様」と呼ばれることも。
自分の興味のないことに対しては、例え国王の誘いであっても断る。
・ルブルム
寄らずの森の魔女カエルレウムの弟子。赤髪の美少女。リテルと同い年くらい。猿種のホムンクルス。
カエルレウムの弟子を、リテルのことも含め「家族」だと考えていたが、とうとうリテルとキスをした。
質問好きで、知的好奇心旺盛。リテルと一緒に旅に出るまでは無防備だった。
利照へ好意を持っていることを自覚し始めている。レムとも仲が良くなった。
・モクタトル
ダボっとした長衣にマントを羽織り、亀の甲羅のようなものを背負ったスキンヘッド筋肉質の中年男性。猿種。
カエルレウムがルブルムを創る際、ホムンクルスの材料を提供した。眉毛がルブルムと同じ色。イケボ。
古い遺跡の跡地に造られた研究都市コーカ・スレースで、日夜、魔法や魔術、魔法品の開発に勤しんでいる。
王国において、グリュプスを使い魔にしている唯一の魔術師。
・マドハト
赤ん坊のときに『取り替え子』の被害に遭い、ゴブリン魔術師として育った。
今は犬種の先祖返りとしての体を取り戻したが、その体はあんまり丈夫ではない。コーギー顔。
ゴブリンの時に瀕死状態だった自分を助けてくれたリテルに懐き、ずっとついてきている。
クッサンドラを救うためにエクシとクッサンドラの中身を『取り替え子』で入れ替えた。
明るい性格。楽しいことばかり追い求めるゴブリン的思考だったが、利照と一緒にものを考えるようになった。
・ディナ先輩
フォーリーに住むカエルレウムの弟子にしてルブルムの先輩。
男全般に対する嫌悪が凄まじいが、リテルのことは弟弟子と認めてくれた。ゴーレム作成の魔法品をくれた。
アールヴと猿種のハーフ。ウォーリント王国のモトレージ白爵領にて壮絶な過去を持つ。
フォーリー以北への旅について、大量の忠告をしてくれた。
・メリアン
ディナ先輩が手配した護衛。リテルたちを鍛える依頼も同時に受けている。
ものすごい筋肉と、角と副乳を持つ牛種の半返りの頼もしい傭兵。二つ名は「噛み千切る壁」。
円盾と小剣を二つずつ持ち、手にはスパイク付きのプレートナックルを装備。
騎馬戦も上手く、『戦技』や『気配感知』を使う。一ヶ月後だったラビツとの結婚はさらに二ヶ月延期になった。
・ラビツ
ゴブリン魔術師によって変異してしまったカエルレウムの呪詛をストウ村の人々に伝染させた。
ケティの唇をリテルのファーストキスよりも前に奪ったことについて謝罪した。おっぱい大好き。
高名な傭兵集団「ヴォールパール自警団」という傭兵集団に属している。ようやくリテルたちと会えた。
・ロブスト
「ヴォールパール自警団」に属する赤毛の猫種先祖返り。二つ名は「流水」。
・パンス
「ヴォールパール自警団」に属する猿種。二つ名は「流星」。ロブストと異父兄弟。
・オール
「ヴォールパール自警団」に属する猿種。二つ名は「夜爪」。細かい所まで気が回る。
・エクシ
クッサンドラは、病弱だったマドハト(中身はゴブリン)の世話を焼いていたゴド村出身の犬種の先祖返り。ポメラニアン顔。
フォーリーで領兵をしていたが、マドハトの『取り替え子』により、瀕死の状態からエクシを体を交換された。
クッサンドラの肉体を傷つけ、その中に入ったエクシは死亡。
エクシはリテルと同郷で幼馴染の一人。ビンスン兄ちゃんと同い年。フォーリーで領兵をやっていた。
父ハグリーズからのエクシへの虐待を防いでくれていた姉が、クッサンドラの兄のもとへ嫁いだせいで、守ってくれる者が居なくなり、エクシは歪んだ。
クッサンドラは、エクシから姉を奪ったことに責任を感じており、エクシが犯した罪を償うべく、エクシが殺しかけたドマースへ、その代償としてエクシの寿命の渦を売った。
・レム
バータフラ・レムペー。クラースト村のバータフラ世代の五番目の子。
魔法に長けた爬虫種の少女。リテルより若いが胸はかなり育っている様子。髪型はツインテール。
その母親は利照同様に異世界から来た。
名無し森砦の兵としてルブルム一行の護衛として同行。洞察力があり、頭の回転も早い。
利照のことをお兄ちゃんと呼び、慕っている。ルブルムやマドハト同様に頼れる仲間だが、とうとうリテルとキスをした。
・ロッキン・フライ
名無し森砦の兵士。
フライ濁爵の三男。山羊種。
ウォルラースとダイクの計画を知らされていなかった。正義の心を持っているが影が薄い。
ルブルム一行の護衛として同行。指笛で相棒の馬を呼べる。兄弟は皆、強い騎士。地元が、黒き森からそう遠くない。
本当はルイース虹爵領の領都アンダグラにある図書館で働きたかった。
・ケティ
リテルの幼馴染で想い人。一歳年上の女子。猿種。
旅の傭兵ラビツに唇を奪われ呪詛に伝染し、それを更にリテルへと伝染させた。
カエルレウムが呪詛解除のために村人へ協力要請した際、志願し、リテル達がフォーリーを発つ時、メリアンと共に合流した。
盗賊団に襲われた際は死にかけたり、毒で意識不明になったり。
足手まといを自覚し、ストウ村へ先に戻った。
・ファウン
アイシスの街で意気投合した山羊種三人組と一緒に居た山羊種。
ルージャグに襲われて逃げてきたクーラ村の子供たちを、彼なりに助けようとはしていたと申告。
リテルを兄貴と呼び、ギルフォドまで追いかけてきた。偽ヴォールパール自警団作戦に参加
・ヒューリ
体格が良くタレ目の犬種。ダイン兄貴の娼館遊び仲間。
「元ヴォールパール自警団」と嘘をついてモテていたため、本物であるラビツたちに遭遇してギャフンと言わせられた。
隠し武器のアイディアマンだが、リテルとのケンカを経て、真っ当な武人としての修行を心に誓った。
・ナイトさん
元の世界では喜多山馬吉。元の世界では親の工場で働いていた日本人。
四十五歳の誕生日にこちらへ転生してきた。馬種。元はニュナム領兵の隊長をしていた。
今は発明家兼ナイト商会のトップ。ヒモパンやガーターベルトやコンドームの発売もしており、リテルを商会に誘ってくれた。
サスペンションなど便利機能がついた馬車「ショゴウキ」(略してショゴちゃん)を提供してくれた。
・レムルース
地界に存在する種族。肉体を持たず、こちらの世界では『契約』されていないと長くは留まれない。
『虫の牙』の呪詛のベースにされていた他、スノドロッフ村の人達が赤目を隠すために『契約』している。
レムルースは複数形で、単体はレムールと呼ぶ。
ディナ先輩の体からリテルの腕へと移ったレムールは、リテルと契約し「ポー」という名を与えられた。
・グリュプス
鋭く曲がった嘴、耳羽に似た耳、鷲の上半身に、獅子の下半身を持つ魔獣。
もとは天界の住人だが、既にこの世界に定着している。
モクタトルの使い魔であるグリュプスの名前は、トリニティ。
● この世界の単位
・ディエス
魔法を使うために消費する魔法代償(寿命)の最小単位。
魔術師が集中する一ディエスは一日分の寿命に相当するが、魔法代償を集中する訓練を積まない素人は一ディエス分を集中するのに何年分もの寿命を費やしてしまう恐れがある。
・ホーラ
一日を二十四に区切った時間の単位(十二進数的には「二十に区切って」いる)。
元の世界のほぼ一時間に相当する。
・ディヴ
一時間の十二分の一となる時間の単位(十二進数的には「十に区切って」いる)。
元の世界のほぼ五分に相当する。
・クビトゥム
長さの単位。
本文中に説明はなかったが、元の世界における五十センチくらいに相当する。
トシテルが元の世界の長さに脳内変換しないでもいいくらい、リテルが日常的に使っていた単位。
・アブス
長さの単位。
元の世界における三メートルくらいに相当する。
・プロクル
長さの単位
一プロクル=百アブス。
この世界は十二進数のため、実際は(3m×12×12=)432mほど。
・通貨
銅貨、銀貨、金貨、大金貨。
十銅貨(十二進数なので十二枚)=一銀貨
十銀貨(十二進数なので十二枚)=一金貨
十金貨(十二進数なので十二枚)=一大金貨
・暦
一年は、十ヶ月(十二進数なので十二ヶ月)+「神の日々」という五~六日間。
それぞれの月は、母の月、子の月、大地の月、風の月、水の月、海の月、光の月、空の月、星の月、火の月、父の月、闇の月と呼ばれる。
各月は、月の始めの十日(十二進数なので十二日)間は「月昼」週。次の六日間は「月黄昏」週、最後の十日(十二進数なので十二日)間が「月夜」週。トータルは十二進数で三十日間。
毎月の、月黄昏週の一日が満月で、月夜週の九日が新月。月は二つあるが、大きい月の周期が基本で、小さい月の周期は二日ほど遅れている。夜が明けるまでは日付は変わらない。
第八十六話終了時点では星の月夜週の十日(十進だと十二日)の日没頃。




