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#80 第四のツテ

「ルブルム、いいこと教えてやるよ」


 フリーズしていた俺の代わりに答えてくれたのはメリアンだった。


「そうやって手や思考を止めることで、判断が遅れて大事なものを失うかもって考えてごらん」


 ルブルムは肩を震わせる。


「あとはな、時々でいいから、今なにか起きたらどう行動する、ってのをあらかじめ予想しておくんだ。何かあってから考えるんじゃなく、何かあったときにはな、既に考えてあった幾つかの中から最高の一つを選択できたらいいじゃないか」


「メリアン、ありがとう」


 その「ありがとう」は、ルブルムとレムと二人の声が揃った。


「メリアン、ありがとうです」


 少し遅れてから、マドハトも。


「僕、ずっと、楽しいことばかり考えて生きてくって思っていたです。昔はそうだったです。でも、今はわかったです。楽しく生きるには、楽しくないことも、考えなきゃいけないってことがわかったです」


 マドハトは俺の顔を見て笑う。

 あのマドハトが、こんなことを言うなんて。

 感慨深さもあり、そして、俺も改めて紳士であろうと心に誓ってみたり。

 仲間には本当にいろんなことで助けられている。感謝しかない。


「さてと。あいつら、多分用があるのはあたしにだ。ちょっと思い出したこともあってね。今後のことを考えると、一度どこかでちゃんと顔を向き合わせなきゃいけないと思うんだ。申し訳ないが、ちょっとだけ時間もらってもいいかな」


 メリアンの要望をルブルムは了承し、少しひらけた場所を探して馬車を止めた。

 馬を休ませ、俺はルブルムたちへさっき教えた魔法代償の常駐を指導する。


 さほど時間が経たないうちに、さっきの馬車が追いついてきて、停まった。


「よーお。さっき、随分熱心に誘ってくれたじゃないか。その気持を足蹴にするのは申し訳ないと思ってね」


 メリアンは明るく声をかける。


「悪いねぇ。うちの馬は昨晩もずっと走らせていたからねぇ」


 さっきの折り紙兜みたいなのを被った猿種(マンッ)の男が降りてきた。

 話しぶりからすると、ニュナムの王冠祭りで閉ざされた門に締め出されたクチか。

 そして、デッドヒートしていたときに比べ感情は押し殺されている感じ。


 猿種(マンッ)のあとには、馬種(エポナッ)が二人……若い男と、初老の男。

 初老の方は顎髭が長く伸び、寿命の渦も小さい……って眼鏡?

 この世界で初めて見る眼鏡。

 もうひとり、小柄マッチョな両生種(ヘケトッ)……なんだあの兜。

 最初のやつの折り紙兜とはまた別の異様な形……言い方悪いけど、カブトムシの被り物みたいな兜。

 もしもメリアンがあの兜着けていたら、きっと馬車の幌屋根に穴を開けちゃうだろう。

 最後に御者をしていた猿種(マンッ)が降りてきて、向こうは総勢五名。


「あれ? 見た感じ、どこぞの領兵さんっぽい格好をしているけれど、揃ってないよね。そういや、その辺りで大きな盗賊団との戦いがあったって聞くけど……」


 言われてみればエクシ(クッサンドラ)はクスフォード虹爵(イーリス・クラティア)領兵、レムとロッキンさんは名無し森砦……管轄は王国直轄だからラトウィヂ王国正規兵の格好だ。

 盗賊団の残党が、戦いで死んだ兵士の装備を剥ぎ取った……とか誤解される可能性もあるってことか。

 それとも、襲いかかるための口実を探している?


 と、そこでメリアンが一歩前へ出る。


「おう。意味のない前置きは抜きにしようぜ。用はあたしにあるんだろ? その兜、思い出したよ。ウォーリントの内乱で敵方に見たぜ」


 ウォーリント……このラトウィヂ王国の南にあるヨクシャ王国、そのさらに南にあるウォーリント王国のことだろう。

 腐った貴族が多く、王が怪しい死を遂げた後、王子派と王弟派とに分かれて後継争いの内乱が起きた国。

 なぜそんな知識を俺が持っているのか……それは、カエルレウム師匠の書棚にウォーリントに関する資料があったから……きっと、ディナ先輩を守るために調べたのだろう。

 ディナ先輩とそのお母さんが酷い目に合わされたモトレージ白爵(レウコン・クラティア)領は、ウォーリント王国の有力貴族だったから。


「すまんな……俺たちは傭兵だ。いつどこで敵同士になろうとも、再び味方になろうとも、恨みなんざ持っちゃいけねぇ……だがな、噛み千切る壁、あんただけは別だ。俺が、俺を囚えて離さない過去の牢獄から抜け出すには、あんたとの勝負が必要なんだ」


 折り紙兜の猿種(マンッ)は、馬車から槍……いや、穂先が真っ直ぐではなく刀のように湾曲して長いのを出してくる。

 槍というよりは薙刀か。中国の武将が持っていそうな感じの。


 対するメリアンは円盾とスパイク付きのプレートナックルを両手に装備済。

 そして数歩下がって、あのゴツい小剣を抜いて構えた。


「金も貰えないのに勝負を受けるんだ。理由ぐらい聞いてもいいだろうよ」


 メリアンは、相手の薙刀がギリギリ届かないくらいの距離を保っている。


「この兜はもともと俺のじゃねぇ。俺の……俺たちの仲間の形見だ。戦場で心を病んで戦えなくなった……あのとき、俺が……俺が守りきれるはずだった」


 男のその言葉を聞いて、メリアンは一歩前へ出た。

 男は即座に薙刀を引いて突いた……が、メリアンは二本の小剣でその薙刀を捌き、さらに数歩詰め寄った。

 薙刀を鋭く回転させながら男はさらに距離を取ろうとしたが、メリアンの方が素早い。薙刀の刃より内側に入ったまま離れない。

 左手の小剣は相手の薙刀の動きを制限しながら、右手の小剣は空中で純手から逆手へと一瞬にして持ち替え、握りしめたかたと思うと相手は大きく体勢を崩した。

 なんだ?

 今、メリアンは拳を飛ばしたのか?

 魔法代償の消費も感じたから……まさか、今のが『戦技』ってやつか?

 なんて驚いているうちに、メリアンは男の右手を切り落とし、薙刀が地面に落ちたときにはもう男の首筋に小剣を突きつけていた。


「あの戦場は、兵士か傭兵しか居なかった。非戦闘民ならともかく、戦場において守りきるだのなんだのってのは、その形見を持っていたお仲間への侮辱にはならないかい? 例えどこかを病んだ状態だとしてもだ」


 男は複雑な表情でメリアンを見つめている。

 そのとき、男の後ろに立っていた初老眼鏡が魔法代償を集中した。

 俺は即座に矢を番えて弓を引いたが、射るよりも早く初老眼鏡の魔法が発動した。

 魔法発動時にそいつが叫んだ言葉を聞いて、俺はとっさに弓を空へと逸らしてしまった。

 わざとではなく、ほぼ無意識に近かった。

 初老眼鏡が魔法代償を消費するときに叫んだ、恐らく呪文……が、『カマイタチ』だったから。


 矢は、初老眼鏡のわずか上を飛び、彼らの馬車の外壁へトンと刺さった。


 俺が矢を放つのを止められなかったせいで、にわかに向こう側も殺気立つ。

 もちろん、こちらも同様だ。


「落ち着け!」


 メリアンが叫んでいなかったら、きっと集団戦が始まっていただろう。


「同士討ちに、あたしらを巻き込まないでくれ」


 ん?

 同士討ち?

 見ると、派手に血を吹き出しているのは、メリアンではなく、メリアンに挑んだ折り紙兜のほう。

 メリアンは、折り紙兜から数歩下がり、小剣を二本とも鞘へと戻す。


「すまない。私だ。私がトレインへ『カマイタチ』を放った」


 初老眼鏡が両手を天へと向け、無抵抗を示す。


「どういうことだ! ムニエール!」


 カブトムシ兜の両生種(ヘケトッ)が、手にした戦槌を構えたまま、ムニエールと呼ばれた初老眼鏡のもとへ駆け寄る。


「チケを……スマコを殺したのは、噛み千切る壁じゃない。トレインだよ。こいつは、スマコの言うことを信じなかった。俺たち傭兵団の頭でありながら、その自覚もなく、自分が理想とする美学の中へ一人で突撃していって……その決断がスマコを殺したんだ」


 なんだなんだ。

 何が始まった?


「悪い。ムニエール。俺の解釈は違うよ。もともとトレインと恋人同士だったチケが、よりによって戦場でトレインを捨ててムニエールと急に仲良くなった……そういう痴話喧嘩の類だと思っていたよ」


 若い馬種(エポナッ)……声が異様にしわがれている……そう言いながら、倒れている折り紙兜トレインへと近寄る。


「いつか、こうなると思っていた……それが戦場じゃなくて良かったと、俺は考えている」


 仮にも自分たちのリーダーが倒れたってのに冷静だな。


「おい! アスペールっ! 今、そんなこと言っている場合かよ! このままだとトレイン死んじまうぞ! ムニエール! 魔法で傷口塞いでくれよっ!」


 御者をやっていた猿種(マンッ)が、慌ただしく仲間たちの間を動きまわっている……そして、懐から紫色に光る……魔石(クリスタロ)らしきものを取り出し、今度は俺たちの方へ。


「すまない。あんたらの中に回復魔法を使えるやつはいるか? ここに紫魔石(モヴ)がある。魔法代償がそこそこ入っているはずだ。これをやるから、トレインを治療をしてくれないか?」


 そう言いながら、切られた腕を革紐でぎゅっと縛って止血を始める。

 しかしルブルムは動こうとしない。


 どうするべきか。

 戦いはもう終わったって思っていいんだよな?

 あの折り紙兜もそうだし、スマコっていう聞き慣れないけれど日本人女性の名前と思えなくもない名前も気になりはしている。

 敵対までした彼らに自分の素性を明かすつもりは毛頭ないが、もしもツテ……地球から、日本から、転生してきたってんなら、話だけでも聞いてみたい気はする。


 俺は弓と斧を地面に起き、無抵抗のバンザイをしながら、倒れているトレインへと近づいた。


「あっ、ありがとう! トレインは、俺にとっては恩人なんだ! 頼む。背中は傷口が広すぎて止血できない。せめて背中の傷口だけでも!」


 御者の猿種(マンッ)は俺に紫魔石(モヴ)を手渡す。

 中に入っている魔法代償を確認する……確かに、このくらいあれば背中の傷くらいは治せるだろう。


「彼を治療している最中に、攻撃されたりしないか?」


 俺はムニエールを見つめる。


「さっき、矢を外してくれたろう。それにはちゃんと報いるよ」


 寿命の渦に感情が乗っていない。

 嘘かどうかはわからない……というか、相手は魔術師だ。

 馬種(エポナッ)を偽装している別の獣種ってことも考えられる……そうか、獣種偽装している場合、感情が寿命の渦に乗ってこないんだな。

 見えているつもりで見抜けていないことに気付けないってのは一番危険な状態だ……今後は気をつけていかないと。


 俺は改めて、地面に横たわるトレインの傷口を見た。

 御者の猿種(マンッ)とカブトムシ兜の両生種(ヘケトッ)はトレインをうつぶせにひっくり返し、自分の懐から出した布で傷口を必死に押さえている。

 布をどかしてもらい、紫魔石(モヴ)を握った手で患部に触れる。

 背中が革鎧ごとバックリと割れていて物凄い出血だ。


「傷口が塞がるよう、両側から押さえてくれないか?」


 トレインの止血をしようとしていた二人は言われた通り傷口がくっつくように押さえてくれる。

 俺はそこに『生命回復』を発動させた。

 まずは血管をつなぐ……それから神経と……筋肉……最後に皮膚。

 そこで紫魔石(モヴ)の中の魔法代償はほとんど使い切る。


「しばらくは激しく動かさないように。背中の方は大丈夫だが、紫魔石(モヴ)の中の魔法代償はもう尽きた」


 地面に落ちているトレインの右腕を見つめながら、人の体の一部が落ちているのに動揺が少ない自分に驚く。

 慣れたのか……そりゃ(エロ)への耐性もつくんだ。グロへの耐性もつくよな。

 俺は確実に、この世界(ホルトゥス)に馴染んできている……元の世界での自分を思い出す。

 あそこで、自分がどう生きていたか。


 家族とは不和があった。

 でも、家庭そのものがギクシャクしていたわけじゃない。

 俺が異物だっただけで、他の人たちはうまくやっていた。

 無関心な父、自分の言う通りに動ける子だけを優遇する母、俺を見下しストレスのはけ口にする姉、要領も顔もよく才能があり俺に呆れていた弟、英志(ヒデシ)

 一緒に居る時間が長かったからあの家族がまるで世界そのものに感じていたし、だからこそ、利照(おれ)はあの世界でも、異物のように感じていた。

 あそこで唯一の救いだったのは、ハッタ。

 拾ってきたのは英志だったけど、あいつは習い事だの塾だので忙しかったから、代わりに俺がそばに居た。

 ハッタと一緒に居た時は寂しさとか異物感とか感じなかった。

 丈侍(ジョウジ)と一緒に居たときもそうだ。

 丈侍とその家族も皆、暖かかったし優しかった。あそこには、自分の家族にはない温もりを感じたし、俺だけ余所の子だったのに、まるで本当の家族のように扱ってくれた。

 他人の家族と一緒に居るのに、異物感なんて感じなかった。


 今もきっと一緒だ。

 世界っていうのは、物理的な空間のことじゃなく、自分を取り巻く人間関係のことなんだ。

 世界に馴染む、というのは、その人間関係の中に、自分が居てもいいんだっていう安心感を持てること。

 そんな世界を構成する人たちを信頼できるっていうこと。


 リテルの家族は暖かったけれど、あの世界はリテルの世界であって利照(おれ)の世界ではない。

 だから、違和感を覚えていたんだ。


 紫魔石(モヴ)を御者の猿種(マンッ)へと返す。

 ムニエールの方をチラ見すると、馬車から何やらゴソゴソと出していた。

 もう一人の馬種(エポナッ)も同様だ。


「お、おい。ムニエールにアスペール。お前ら何してるんだよ」


「お互いに信用できなくなったら一緒には居られないだろう。チケは確かにトレインの恋人だったよ。だけどスマコの魂はあのとき突然降って湧いたわけじゃない。ずっと……私たちが出会ったときから既に、チケの内側に感じていた。スマコはチケの、双子の妹のようなものだった」


 一つの体に二つの魂。俺やナイトさんと同じだ。

 そのチケさんというかスマコさんって人が、恐らくは転生者なのか。


● 主な登場者


有主(アリス) 利照(トシテル)/リテル

 利照として日本で生き、十五歳の誕生日に熱が出て意識を失うまでの記憶を、同様に十五歳の誕生日に熱を出して寝込んでいたリテルとして取り戻す。ただ、この世界は十二進数なのでリテルの年齢は十七歳ということになる。

 リテルの記憶は意識を集中させれば思い出すことができる。利照はこれを「記憶の端末」と呼んでいる。

 ケティとの初体験チャンスに戸惑っているときに、頭痛と共に不能となった。不能は魔女の呪詛による。

 その呪詛を作ったカエルレウムに弟子入りした。魔術特異症。猿種(マンッ)

 レムールの「ポー」と契約。伸ばしたポーの中においても、自分の体の一部のように魔法代償を集中したり魔法を使えることがわかった。

 現在は、呪詛持ちのラビツ一行を追跡している。

 元日本人のナイトに、就職を持ちかけられた。


・カエルレウム師匠

 寄らずの森に二百年ほど住んでいる、青い長髪の魔女。猿種(マンッ)

 肉体の成長を止めているため、見た目は若い美人。家では無防備な格好をしている。

 寄らずの森のゴブリンが増えすぎないよう、繁殖を制限する呪詛をかけた張本人。

 ディナ先輩、ルブルム、リテルの魔法の師匠。ストウ村の住人からは単に「魔女様」と呼ばれることも。

 自分の興味のないことに対しては、例え国王の誘いであっても断る。


・ルブルム

 寄らずの森の魔女カエルレウムの弟子。赤髪の美少女。リテルと同い年くらい。猿種(マンッ)のホムンクルス。

 かつて好奇心がゆえにアルブムを泣かせてしまったことを、気にしている。

 カエルレウムの弟子を、リテルのことも含め「家族」だと考えている。

 質問好きで、知的好奇心旺盛。驚くほど無防備。

 ケティがリテルとキスしたり痴話喧嘩したりするのを見て涙を流した理由に気付き、それでまた自分を責めていた。

 いつの間にかレムと仲良くなっている様子。


・マドハト

 赤ん坊のときに『取り替え子』の被害に遭い、ゴブリン魔術師として育った。

 今は犬種(コボルトッ)の先祖返りとしての体を取り戻したが、その体はあんまり丈夫ではない。コーギー顔。

 ゴブリンの時に瀕死状態だった自分を助けてくれたリテルに懐き、ずっとついてきている。

 フォーリーの街中で魔法を使ってしまい、三年分の魔法代償徴収刑を受けた。

 勇敢なのか無謀なのかわからないときがある。いつも明るい。

 クッサンドラを救うためにエクシとクッサンドラの中身を『取り替え子』で入れ替えた。


・ディナ先輩

 フォーリーに住むカエルレウムの弟子にしてルブルムの先輩。

 男全般に対する嫌悪が凄まじいが、リテルのことは弟弟子と認めてくれた。

 アールヴと猿種(マンッ)のハーフ。ウォーリント王国のモトレージ白爵(レウコン・クラティア)領にて壮絶な過去を持つ。

 フォーリー以北への旅について、大量の忠告をしてくれた。


・メリアン

 ディナ先輩が手配した護衛。リテルたちを鍛える依頼も同時に受けている。

 ものすごい筋肉と、角と副乳を持つ牛種(モレクッ)の半返りの頼もしい傭兵。二つ名は「噛み千切る壁」。

 円盾と小剣(ごつい)を二つずつ持ち、手にはスパイク付きのプレートナックルを装備。

 騎馬戦も上手く、『戦技』や『気配感知』を使う。どうやらラビツと結婚間近。


・ラビツ

 ゴブリン魔術師によって変異してしまったカエルレウムの呪詛をストウ村の人々に伝染させた。

 兎種ハクトッのラビツをリーダーに、猿種マンッが二人と先祖返りの猫種バステトッが一人の四人組。傭兵集団。

 ラビツは、ケティの唇をリテルのファーストキスよりも前に奪った。おっぱい大好き。

 北の国境付近を目指している。本人たちは呪詛にかかっていることに気付いていない。

 リテルたちより二日早くアイシスを出発した。ギルフォドに向かっているらしい。


エクシ(クッサンドラ)

 クッサンドラは、病弱だったマドハト(中身はゴブリン)の世話を焼いていたゴド村出身の犬種(アヌビスッ)の先祖返り。ポメラニアン顔。

 フォーリーで領兵をしていたが、マドハトの『取り替え子』により、瀕死の状態からエクシを体を交換された。

 クッサンドラの肉体を傷つけ、その中に入ったエクシは死亡。

 エクシはリテルと同郷で幼馴染の一人。ビンスン兄ちゃんと同い年。フォーリーで領兵をやっていた。

 父ハグリーズからのエクシへの虐待を防いでくれていた姉が、クッサンドラの兄のもとへ嫁いだせいで、守ってくれる者が居なくなり、エクシは歪んだ。

 クッサンドラは、エクシから姉を奪ったことに責任を感じており、エクシが犯した罪を償うべく、エクシが殺しかけたドマースへ、その代償としてエクシ(クッサンドラ)が寿命の渦を売った。


・レム

 バータフラ・レムペー。クラースト村のバータフラ世代の五番目の子。

 魔法に長けた爬虫種(セベクッ)の少女。

 リテルより若いが胸はかなり育っている様子。髪型はツインテール。

 その母親は利照同様に異世界イギリスから来た。

 現在は、リテルのことをお兄ちゃんと呼び、魔法の使い方を習ったりもしている。

 ルブルム一行の護衛として同行。最近、ルブルムと仲が良さげ。

 お兄ちゃんとは結婚できるとか言い出した。最近はトシテルの方からも大事に想っている。


・ロッキン・フライ

 名無し森砦の兵士。

 フライ濁爵(メイグマ・クラティア)の三男。山羊種(パーンッ)

 ウォルラースとダイクの計画を知らされていなかった。正義の心を持っているが影が薄い。

 ルブルム一行の護衛として同行。指笛で相棒の馬を呼べる。兄弟は皆、強い騎士。

 本当はルイース虹爵(イーリス・クラティア)領の領都アンダグラにある図書館で働きたかった。


・ケティ

 リテルの幼馴染。一歳年上の女子。猿種(マンッ)

 旅の傭兵ラビツに唇を奪われ呪詛に伝染し、それを更にリテルへと伝染させた。

 カエルレウムが呪詛解除のために村人へ協力要請した際、志願し、リテル達がフォーリーを発つ時、メリアンと共に合流した。

 盗賊団に襲われた際は死にかけたり、毒で意識不明になったり。

 足手まといを自覚し、ストウ村へ先に戻った。


・ナイトさん

 元の世界では喜多山(キタヤマ)馬吉(ウマキチ)。元の世界では親の工場で働いていた日本人。

 四十五歳の誕生日にこちらへ転生してきた。馬種(エポナッ)。元はニュナム領兵の隊長をしていた。

 今は発明家兼ナイト商会のトップ。宿難民と化したリテル達に宿の提供を申し出てくれた。

 ヒモパンやガーターベルトやコンドームの発売もしている。リテルを商会に誘ってくれた。


・トレイン

 日本の折り紙の兜みたいな兜をかぶっている猿種(マンッ)。ボロ馬車の五人組の一人。

 かつてウォーリントの内乱で敵方にいたメリアンに仲間(恋人)を殺されたっぽく、メリアンに一騎打ちを申し込み、返り討ちにあった。


・チケ(スマコ)

 どうやら利照同様に異世界から来たスマコが、チケという女性の中で目覚めたっぽい。

 今は亡き人のようだが、ボロ馬車の五人組の仲間だったようだ。


・ムニエール

 ボロ馬車の五人組の一人。初老の魔術師。この世界(ホルトゥス)で初めての眼鏡をかけている人。

 馬種(エポナッ)に獣種偽装しているっぽいが、真の獣種は不明。

 メリアンに返り討ちにあったトレインを、『カマイタチ』という魔法で攻撃した。


・アスペール

 しわがれ声の若い馬種(エポナッ)。ボロ馬車の五人組の一人。ムニエール派。


・ビトル

 カブトムシ兜を被った小柄な両生種(ヘケトッ)。ボロ馬車の五人組の一人。トレイン派。


・ナット

 ボロ馬車の御者をしていた猿種(マンッ)。トレイン派。

 トレインを治してほしいと、紫魔石(モヴ)を手にリテルたちへお願いしてきた。


・キカイー

 モトレージ領を治める白爵(レウコン・クラティア)

 ディナ先輩とその母を欲望のままに追い込んだ。


・元の世界の母さん

 元の世界における利照の母。利照に音楽の才能がないとわかると習い事をやめさせ、一切期待しなくなった。

 公演やら取材やら練習やらでなんだかんだ家に居ない。CDを出している。


・元の世界の姉さん

 元の世界における利照の実姉。

 才能に恵まれた完璧主義者だが、才能がない者の気持ちはわからない。

 コンクール前でピリピリしているときは利照を言葉責めしてストレスを発散している。


英志(ヒデシ)

 元の世界における利照の一つ下の、できのいい弟。音楽の才能がある。

 ハッタを拾ってきたが、稽古事で忙しいため、ハッタの世話を利照に丸投げした。


・ハッタ

 元の世界において弟の英志が拾ってきた仔犬コーギー

 拾ってきたので血統書はないが、純血っぽいと判断されている。

 利照にすごく懐いていたが、利照が高校へ入学する前に、天へと召された。


幕道(マクドウ) 丈侍(ジョウジ)

 元の世界における利照の親友。

 小三からずっと同じクラス。頭が良い。

 実家に居場所がなかった利照は、学校帰りはしょっちゅう丈侍の家に入り浸っていた。


・レムルース

 地界(クリープタ)に存在する種族。肉体を持たず、こちらの世界では『契約』されていないと長くは留まれない。

 『虫の牙』の呪詛のベースにされていた他、スノドロッフ村の人達が赤目を隠すために『契約』している。

 レムルースは複数形で、単体はレムールと呼ぶ。

 ディナ先輩の体からリテルの腕へと移ったレムールは、リテルと契約し「ポー」という名を与えられた。



この世界(ホルトゥス)の単位


・ディエス

 魔法を使うために消費する魔法代償(寿命)の最小単位。

 魔術師が集中する一ディエスは一日分の寿命に相当するが、魔法代償を集中する訓練を積まない素人は一ディエス分を集中するのに何年分もの寿命を費やしてしまう恐れがある。


・ホーラ

 一日を二十四に区切った時間の単位(十二進数的には「二十に区切って」いる)。

 元の世界のほぼ一時間に相当する。


・ディヴ

 一時間(ホーラ)の十二分の一となる時間の単位(十二進数的には「十に区切って」いる)。

 元の世界のほぼ五分に相当する。


・クビトゥム

 長さの単位。

 本文中に説明はなかったが、元の世界における五十センチくらいに相当する。

 トシテルが元の世界の長さに脳内変換しないでもいいくらい、リテルが日常的に使っていた単位。


・アブス

 長さの単位。

 元の世界における三メートルくらいに相当する。


・プロクル

 長さの単位

 一プロクル=百アブス。

 この世界は十二進数のため、実際は(3m×12×12=)432mほど。


・通貨

 銅貨(エクス)銀貨(スアー)金貨(ミールム)大金貨(プリームム)

 十銅貨(エクス)(十二進数なので十二枚)=一銀貨(スアー)

 十銀貨(スアー)(十二進数なので十二枚)=一金貨(ミールム)

 十金貨(ミールム)(十二進数なので十二枚)=一大金貨(プリームム)


・暦

 一年は、十ヶ月(十二進数なので十二ヶ月)+「神の日々」という五~六日間。

 それぞれの月は、母の月、子の月、大地の月、風の月、水の月、海の月、光の月、空の月、星の月、火の月、父の月、闇の月と呼ばれる。

 各月は、月の始めの十日(十二進数なので十二日)間は「月昼」週。次の六日間は「月黄昏」週、最後の十日(十二進数なので十二日)間が「月夜」週。トータルは十二進数で三十日間。

 毎月の、月黄昏週の一日が満月で、月夜週の九日が新月。月は二つあるが、大きい月の周期が基本で、小さい月の周期は二日ほど遅れている。夜が明けるまでは日付は変わらない。

 第八十話終了時点では星の月夜週の九日の日中。


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