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#74 挑戦

 レムが尋ねたことに対し、ウォッタは口を閉ざしたまま。

 俺たち三人を乗せた馬の蹄の音だけが時を数える。


 俺もレムと同じ考えだった。

 彼らが一度酷い目に合ったから、二回目は最初から攻撃してきた……というなら、どうして明らかに足手まといになる小さな子まで一緒だったのか。

 まるで追い立てられたような。誰かに脅されて無理しているような。


 それに。俺が助けに行くと言った時、子供達は一瞬、嬉しそうな表情を見せた。

 だけど、俺とレムが行くことが決まった時、彼らのうち年長なほど喜びの表情が薄くなっていた。

 彼らは俺が魔法で治療できるということは知らないが、それにしても、あからさまにがっかりしている子も居た。

 助けは欲しい。だけど俺やレムでは物足りない、ということは……彼らの第一希望は圧倒的な強さを見せたメリアンか。

 武力が必要ということは、彼らはまだ脅威に曝されたままって可能性が高い。

 彼らの仲間が他にいて、人質を取られているとか。


 街道から外れて森の中へと続く轍を見つけ、俺は馬を止めた。

 ウォッタが俺達に嘘をついているのならば、助けられるかもしれない誰かがいた場合、その確率が極端に下がる。


「怪我人が居る、ということは本当なのか?」


「……うん」


 怪我人である大人が人質か。

 もしくは怪我人は子供で、その馬車とやらに襲撃者が残っていて、そいつらが大人って線もある。


「ウォッタ。誰をかばっているのか知らないけれど、同じ様に俺も自分の仲間が大事だ。もしも俺たちを騙して何か悪いことをしようとしているのなら、俺は仲間を優先するよ。このまま仲間の所へ戻って、食料は少し分けてあげるけれど、そのまま行ってしまう選択だってある」


「……なんで……なんであの強い人は来てくれなかったの?」


 やっぱりか。


「メリアンは戦闘に長けている。もしさっき話した四人というのが本当だったとしたら、きっと一人で勝つことができる。だけど、勝つために人質を見捨てると思う。それでもいいなら、今から戻って呼んでくるけど」


 半分はカマかけ。半分は本心。

 それにメリアンはルブルムの護衛として残しておきたい。

 ドマースへの疑念だって晴れたわけじゃないから。


「……山羊種(パーンッ)の男が四人。一人が見張りで、一人がメド……五歳の猫種(バステトッ)の女の子を人質にして、残り二人でカーン……さっき僕らと一緒に居た馬種(エポナッ)の女の子、タベリーのお姉ちゃん……が僕たちをかばって……酷いことをされるのを我慢している」


 酷いこと。

 それ以上言う必要はないけど……もし、それに夢中になっているのなら、見張りと女の子を人質にしてるやつを最初に無力化できれば、なんとかできるかもしれない……いや、しなきゃいけない。

 ウォッタに話させた以上、俺にはもう責任があるから。


「レム、あれ、まだ持ってる?」


「これのこと?」


 レムは俺の右手を誘導し、自分のふとももを触らせる。

 指先に革のケースとベルトとが触れる。


「そう。何本ある?」


「砦で補充してから使ってないから五本。でも塗ってないから……塗って少し乾かさないと、吹き筒の中で詰まっちゃう」


「準備ってすぐできる?」


「お兄ちゃんの矢に塗るの?」


「いや、矢はレムの方のを借りたい。一本試して、うまくいくなら二本……で、レムもいけそうなら一人お願いしたい」


 矢だと音が大きすぎる。

 最初の二人はできれば気づかれずに無力化したい。


「いいけど、吹き筒が一つしかないよ?」


「それは大丈夫」


 馬を降り、吹き矢にカウダの毒を塗る間にウォッタに手順を説明する。

 馬を一頭貸してもらえたから、と、ウォッタが馬を一頭連れて馬車の所へ戻らせる。

 ウォッタは馬に乗れないらしいので、ここから先は徒歩で向かってもらう。

 俺とレムは寿命の渦を偽装して……存在を消して、ウォッタ&馬とは距離を置いて二方向から回り込みながら近づいてゆく……そんな作戦。


「お兄ちゃん、私、だいぶ上手になったでしょ?」


 レムの寿命の渦が、ぱっと見にはわからないくらいに偽装されている。


「すごいね。レムは上達が早いよ」


 寿命の渦の偽装は、『魔力感知』や『気配感知』を使えない人にとってはほとんど意味がない。

 ウォッタは不思議そうな表情で俺たちを眺めている。

 いつもなら撫でてと要求するレムが、ウォッタの思いつめた表情に遠慮したのか、おとなしくしている。


 レムはこういう空気を読む所はすごくちゃんとしている……俺が勉強になっているくらい。

 そんなレムのことを、今ではちゃんと大切に想っている。

 元の世界とのつながりがなくとも、レムは人として素晴らしい所がある。

 素直で、健気で、注意深く思慮深く、好奇心と向上心が旺盛。

 そんなレムに慕われている俺は、本当に、もっとしっかりしなきゃいけないって感じる。


 自分の手のひらを見つめる。

 何かあったら、この手で守るんだ。

 守るためならば、人を殺す、ということも乗り越えていかないといけない。それも迷わずに。

 ケティが死にかけたときのことを思い出せ。

 迷ったら、大切な、かけがえのない仲間が死ぬ。

 ルブルムもレムもマドハトも、そしてリテル自身のことも、(トシテル)は守らなければいけない。

 とりあえず山羊種(パーンッ)四人の無力化が目標だが、自分達やウォッタ達の身に危険が迫るようなら、躊躇してはダメだ。


 心の中で何度も自分に言い聞かせる。

 こういう自問自答を、覚悟の確認を、元の世界に居た頃はほとんどしたことがなかった。

 でもこの異世界(ホルトゥス)では、自分というものを流されずに留めるための(いかり)みたいに重要なものに感じられる。


 同じくらいの速度で馬だけを連れて歩いているウォッタの姿が木立の陰に見えなくなる。

 ウォッタよりも向こう側から回り込んでいるレムの姿は当然見えないし、寿命の渦も見失いかけるほどに偽装されている。

 さてそろそろ俺も構えておくか。


 カウダの麻痺毒が乾いた吹き矢を一本、毒のついてない根本を左手の小指と薬指とで挟み込み、左手自体は弓を持つ握りの様に構える。

 よしよし。二投目の吹き矢を持ったままでも構えられるな。


 一投目の吹き矢を右手で、弓の弦につがえるように持ち、矢を射るときのモーションを軽くやってみる。

 左肩にかけたままの本物の弓が、邪魔にならないことを確認する。

 いける。

 いつでも『見えざる弓』を撃てるように……枯れ葉や小枝を踏まないよう足元にも注意を配りながら、静かに進む。




 見えた。

 獣種は山羊種(パーンッ)……と、その傍らに猫種(バステトッ)は子供っぽい。

 ということはメドって子か……おいちょっと待て。何でこっちに向かって来てる?

 しかも走ってる?

 二人の速度が一緒ということは、抱えて走っているのか?

 仲間割れか?


 『見えざる弓』を発動する。

 普通の矢を射るように、ある一定サイズ以下のものならなんでも発射できる、ロービンに教えてもらったホブゴブリンの魔法。

 射線が通りやすいよう走って向かってくる正面側に移動しつつ……視界に入った途端、撃った。


 俺の出現に焦ったのか、山羊種(パーンッ)は走っていた足を止める。

 おかげで、綺麗な弧を描いて飛んでいった吹き矢は、そいつの右の鎖骨付近に命中した。

 革鎧で止まってなければ良いが……と祈りつつ、すぐに次の吹き矢を構える。


 おおっ!

 山羊種(パーンッ)が、膝をついた……ってことは刺さったな?

 抱えられていた子供は、地面へと落ちる。

 ウォッタが駆け寄って行く……そこまでは良かった。

 さらに二人走ってきている。

 山羊種(パーンッ)と、猫種(バステトッ)……片方はカーンさんと見て良いだろう。

 この感じなら、もう少ししたら射線が通る場所まで出てきてくれそうな……『見えざる弓』を準備する。

 ここまでも良い。


 問題はその後だ……何だこれ……見たことがない寿命の渦を捕捉した。


 すぐに判った。

 樹々をなぎ倒す音が聞こえてきたから。

 ウォッタは、村に魔獣が出たって言っていた。

 そいつかどうかはともかく、これは普通じゃない。

 音から受ける重量感の印象からすると、象。


 象の魔獣?

 ルブルム経由で見せてもらったカエルレウム師匠のとこの魔獣資料を思い出してはみるが、象っぽいのなんてすぐには出てこない。


 やがて飛び出してきた山羊種(パーンッ)……下半身丸出しかよ……そいつの下腹部あたりに吹き矢を命中させると、俺は本物の弓矢を構えながら近づいてゆく。

 猫種(バステトッ)の方は、スピードが明らかに遅い。

 まだ視界には入って来てないが、魔獣から距離があまりないのが心配だ。


「ウォッタ! メドを連れて街道まで戻れ!」


「はい!」


 馬の手綱をウォッタから受け取ったが、馬が怯えて進もうとしない。


「ウォッタ! やっぱり馬も一緒に!」


 手綱をウォッタへと渡しに戻る。

 くそっ。

 判断ミスで時間をロスした。


 カウダの麻痺毒で地面に硬直して倒れている二人の山羊種(パーンッ)は無視し、まっすぐに猫種(バステトッ)の方へ走る。

 樹々をなぎ倒す音もどんどん近づいて来る。


 居た。

 足を引きずっている……ほぼ全裸の猫種(バステトッ)


「カーンさんかっ!」


「そ、そうです!」


「傷口、ちょっと見せてください」


 左足のスネあたりに、血の滲んだ布が巻いてある。

 その布を急いで剥ぎ取る……鋭い刃物の切り傷のような……これなら。

 『生命回復』をかける。

 倒木がもう視界に入っている。

 その魔獣って奴も……魔獣?


 それは獣というよりは人の形をしていた。

 全身に赤黒いボロ布をまとった女巨人……とはいっても普通の獣種の三倍ほどの背の高さ。

 振り乱した髪で顔の半分ほどが隠れてはいるが、口元に赤い血がべったり付いているのはここからでもよく分かる。

 ああ、このむさ苦しい特徴……魔獣資料にこれっぽいの居たよ。

 確かルージャグ……元々は地界(クリープタ)の種族で、こちらの世界(ホルトゥス)に稀に出現するけど、その危険性ゆえにすぐ討伐される……とか、書いてあった気がする。


 異世界モノの物語では定番の鑑定系の能力みたいなの、あったら便利だなぁとか思ってたけど、ルブルムが真面目に本から知識を蓄えていてくれたおかげで、魔物ならそこそこ鑑定できるの、本当にありがたいよ。


 何回かに分けて『生命回復』を使い、カーンさんの足の傷をとりあえずは塞げたっぽい。

 ただ、すぐに走ったりしたら、せっかくつなげた傷口が衝撃でまた開いちゃうかもしれない。

 『生命回復』はゲームによくあるような便利な全快魔法なんかじゃなく、あくまでも本人の治癒力を高める魔法だから。


「傷口は一応塞ぎましたが、激しい運動はすぐには控えてください……ということで、背負います」


 カーンさんに背中を向けると、すぐにしがみついてくれる。

 両手はカーンさんの脚を抱えないといけないので、俺の首に回した手に弓を渡し、持ってくれるようにお願いする。

 うわ、ルージャグ、こっち向かってきてる……スピード上がってないか?

 ダッシュしかないだろこんなのっ!


 必死に走る。

 最初のうちはお礼を言おうとしていたカーンさんだが、舌を噛みそうになってからずっと黙ってもらっている。


「お兄ちゃん、何アレ」


 しばらく走っていると、レムが並走を始めた。

 良かった。レムも逃げてくれていたか。


「多分、ルージャグって魔獣」


 人型だけど魔獣。

 違和感あるけど魔獣。

 異世界……地界(クリープタ)天界(カエルム)からこちらの世界へ迷い込んできた連中の総称が魔物。

 その中で会話などコミュニケーションを取れる連中が魔人、それ以外はどんな姿をしていても魔獣と呼ぶためだ。


 きっと本来の言葉だったら違和感ないんだろうけれど、俺がこの世界(ホルトゥス)で使っている言葉は、リテルの知識……今はルブルムの知識も、だけど……その知識の中で、(トシテル)の思考や知識と一致する言葉を使っているだけ。


 なんてことを考えながら逃げているうちに、ウォッタたちに追いついた。

 ウォッタもメドを背負って走っていた。


「レム。いったんウォッタたちを乗せて皆の所へ」


「お兄ちゃんは」


「大丈夫。無茶はしないから」


 ウォッタから手綱を受け取ったレムはひらりと騎乗する。

 俺は両手をカーンさんの脚から足の裏へと持ち直し、カーンさんには俺の手を踏み台にしてレムの後ろへとまたがってもらう。

 ウォッタの背中のメドをカーンさんへ手渡し、弓を返してもらう。

 そして最後にウォッタをレムの前へと乗せた。


「お兄ちゃん、本当に、無事でいてね」


「ああ。ちゃんと戻るから……早く行って」


 レム達の乗った馬は森を抜け、街道まで出ると皆の居る方へと駆けてゆく。

 さて、ルージャグは……なんか急に引き離せたなと思ったら、あの下半身丸出しのやつを喰っている。

 しばらく肉は食いたくないなと思いながら、俺は弓を構えた。


 一発くらい試したいじゃないか。

 自分の魔法がどこまでやれるのかを。


● 主な登場者


有主(アリス) 利照(トシテル)/リテル

 利照として日本で生き、十五歳の誕生日に熱が出て意識を失うまでの記憶を、同様に十五歳の誕生日に熱を出して寝込んでいたリテルとして取り戻す。ただ、この世界は十二進数なのでリテルの年齢は十七歳ということになる。

 リテルの記憶は意識を集中させれば思い出すことができる。利照はこれを「記憶の端末」と呼んでいる。

 ケティとの初体験チャンスに戸惑っているときに、頭痛と共に不能となった。不能は魔女の呪詛による。

 その呪詛を作ったカエルレウムに弟子入りした。魔術特異症。猿種(マンッ)

 レムールの「ポー」と契約。伸ばしたポーの中においても、自分の体の一部のように魔法代償を集中したり魔法を使えることがわかった。

 現在は、呪詛持ちのラビツ一行を追跡している。

 アイシスでチェッシャーに告白されたり、死刑を宣告されたり、フラマからラビツ情報を聞いたり。

 その後、エクシに殺されかけたり、初めての殺人を経験したり、ゴーレムを起動したり。


・カエルレウム師匠

 寄らずの森に二百年ほど住んでいる、青い長髪の魔女。猿種(マンッ)

 肉体の成長を止めているため、見た目は若い美人。家では無防備な格好をしている。

 寄らずの森のゴブリンが増えすぎないよう、繁殖を制限する呪詛をかけた張本人。

 ディナ先輩、ルブルム、リテルの魔法の師匠。ストウ村の住人からは単に「魔女様」と呼ばれることも。

 自分の興味のないことに対しては、例え国王の誘いであっても断る。


・ルブルム

 寄らずの森の魔女カエルレウムの弟子。赤髪の美少女。リテルと同い年くらい。猿種(マンッ)のホムンクルス。

 かつて好奇心がゆえにアルブムを泣かせてしまったことを、気にしている。

 カエルレウムの弟子を、リテルのことも含め「家族」だと考えている。

 質問好きで、知的好奇心旺盛。驚くほど無防備。

 ケティがリテルとキスしたり痴話喧嘩したりするのを見て涙を流した理由に気付き、それでまた自分を責めていた。

 いつの間にかレムと仲良くなっている様子。


・マドハト

 赤ん坊のときに取り換え子の被害に遭い、ゴブリン魔術師として育った。犬種(コボルトッ)の先祖返り。コーギー顔。

 今は本来の体を取り戻しているが、その体はあんまり丈夫ではない。

 ゴブリンの時に瀕死状態だった自分を助けてくれたリテルに懐き、やたら顔を舐めたがる。

 リテルにくっついてきたおかげでちゃっかりカエルレウムの魔法講義を一緒に受けている。

 フォーリーの街中で魔法を使ってしまい、三年分の魔法代償徴収刑を受けた。

 勇敢なのか無謀なのかわからないときがある。いつも明るい。

 クッサンドラを救うためにエクシとクッサンドラの中身を『取り替え子』で入れ替えた。


・ディナ先輩

 フォーリーに住むカエルレウムの弟子にしてルブルムの先輩。

 男全般に対する嫌悪が凄まじいが、リテルのことは弟弟子と認めてくれた。

 アールヴと猿種(マンッ)のハーフ。壮絶な過去を持つ。

 フォーリー以北への旅について、大量の忠告をしてくれた。


・メリアン

 ディナ先輩が手配した護衛。

 リテルたちを鍛える依頼も同時に受けている。

 ものすごい筋肉と、角と副乳を持つ牛種(モレクッ)の半返りの頼もしい傭兵。

 円盾と小剣(ごつい)を二つずつ持ち、手にはスパイク付きのプレートナックルを装備。

 謎の襲撃犯を撃退し、リテル達と合流。

 騎馬戦も上手く、『戦技』や『気配感知』を使う。どうやらラビツの知り合いより近い仲である様子。


・ラビツ

 ゴブリン魔術師によって変異してしまったカエルレウムの呪詛をストウ村の人々に伝染させた。

 兎種ハクトッのラビツをリーダーに、猿種マンッが二人と先祖返りの猫種バステトッが一人の四人組。傭兵集団。

 ラビツは、ケティの唇をリテルのファーストキスよりも前に奪った。おっぱい大好き。

 北の国境付近を目指している。本人たちは呪詛にかかっていることに気付いていない。

 リテルたちより二日早くアイシスを出発した。ギルフォドに向かっているらしい。


・エクシ

 ビンスン兄ちゃんと同い年で、リテルが小さな頃は、ビンスンやケティと一緒に遊んでくれた。

 村一番の絶倫ハグリーズの次男で、今はフォーリーで領兵をやっている筋肉自慢。

 ちょいちょい差別発言や嫌味を吐き、マウントを取ってくる面倒な人だったが、それは父ハグリーズからの虐待に端を発していた。

 彼を唯一守ってくれていた姉キッチが隣村へと嫁いだせいで、闇を深くした。

 ルブルム一行の護衛として同行していたが、ドマースから交渉を持ちかけられたとき、自分が認められるチャンスと喜んだあとで、交渉希望相手がリテルだったと知り、希望を打ち砕かれる。

 そしてドマースが用意した交渉の場を利用して、リテルを脅すつもりだったが、何の因果か殺し合いへと発展してしまう。

 マドハトの『取り替え子』により、自ら殺しかけたクッサンドラと体を交換された直後、その傷がもとで死亡した。


・クッサンドラ

 病弱だったマドハト(中身はゴブリン)の世話を焼いていたゴド村出身の犬種(アヌビスッ)の先祖返り。ポメラニアン顔。

 フォーリーで領兵、それも偵察兵をやっている。

 ルブルム一行の護衛として同行。

 ドマースがリテルと交渉しようとした用意した場で、壊れたエクシからマドハトをかばって殺されかけるが、マドハトの『取り替え子』により今は、エクシの肉体の中に居る。

 エクシの闇の理由を知り、エクシとして罪を償うことを決意した。


・レム

 バータフラ・レムペー。クラースト村のバータフラ世代の五番目の子。

 魔法に長けた爬虫種(セベクッ)の少女。

 リテルより若いが胸はかなり育っている様子。髪型はツインテール。

 その母親は利照同様に異世界イギリスから来た。

 現在は、リテルのことをお兄ちゃんと呼び、魔法の使い方を習ったりもしている。

 ルブルム一行の護衛として同行。最近、ルブルムと仲が良さげ。

 お兄ちゃんとは結婚できるとか言い出した。最近はトシテルも大事に想っている。


・ロッキン・フライ

 名無し森砦の兵士。

 フライ濁爵(メイグマ・クラティア)の三男。山羊種(パーンッ)

 ウォルラースとダイクの計画を知らされていなかった。正義の心を持っている。

 ルブルム一行の護衛として同行。指笛で相棒の馬を呼べる。


・ドマース

 森の中に小さなテーブルと椅子を置き、テーブルに突っ伏して寝ていた鼠種(ラタトスクッ)の先祖返り。

 睡眠することが効果に関係するオリジナル魔法を使う。テーブルも魔法の一部だった。

 王都キャンロルのさる偉いお方から「スノドロッフの一件に絡んだ者たちの一人に声をかけたい」との密命を受け、リテルと交渉しようとエクシへ接触した。

 結果的にリテルにはフラれたが、交渉自体は秘密にしてほしいと口止め料までくれた。


・ペック

 魔獣に襲われた村の村長の息子。

 生き残った子供達を馬車に乗せ、街道まで避難させた後、単身、ニュナムへ助けを呼びに。


・ウォッタ

 馬種(エポナッ)の少年。年齢は半成人くらい(中学生くらい)。

 ペックに救われた子供達のリーダー的存在っぽい。

 人質を取られていることを打ち明けた。


・四人組

 山羊種(パーンッ)の男四人組。

 ウォッタ達に助けを求められたが、非人道的なことをしているようだ。


・タベリー

 馬種(エポナッ)の少女。ウォッタ達と一緒に襲撃に加わっていた。


・カーン

 馬種(エポナッ)。タベリーのお姉さん。年下の子供達をかばって、四人組に酷いことされるのを我慢している。


・メド

 猫種(バステトッ)の五歳の女の子。

 四人組に人質にされている。


・ルージャグ

 ペックやウォッタ達の村を襲った魔獣。

 瘴気が濃いとのことなので、この世界(ホルトゥス)に迷い出て間もないっぽい。

 元々は地界(クリープタ)の種族。こちらの世界(ホルトゥス)に稀に出現するが、その危険性ゆえ、すぐに討伐される。

 ぼろきれをまとったむさ苦しい女の姿だが、獣種の三倍ほどの体長を持ち、村の防壁を壊すこともある。

 湖をねぐらにし、手当たり次第に人を捕らえて殺す。


・レムルース

 地界(クリープタ)に存在する種族。肉体を持たず、こちらの世界では『契約』されていないと長くは留まれない。

 『虫の牙』の呪詛のベースにされていた他、スノドロッフ村の人達が赤目を隠すために『契約』している。

 レムルースは複数形で、単体はレムールと呼ぶ。

 ディナ先輩の体からリテルの腕へと移ったレムールは、リテルと契約し「ポー」という名を与えられた。



この世界(ホルトゥス)の単位


・ディエス

 魔法を使うために消費する魔法代償(寿命)の最小単位。

 魔術師が集中する一ディエスは一日分の寿命に相当するが、魔法代償を集中する訓練を積まない素人は一ディエス分を集中するのに何年分もの寿命を費やしてしまう恐れがある。


・ホーラ

 一日を二十四に区切った時間の単位(十二進数的には「二十に区切って」いる)。

 元の世界のほぼ一時間に相当する。


・ディヴ

 一時間(ホーラ)の十二分の一となる時間の単位(十二進数的には「十に区切って」いる)。

 元の世界のほぼ五分に相当する。


・クビトゥム

 長さの単位。

 本文中に説明はなかったが、元の世界における五十センチくらいに相当する。

 トシテルが元の世界の長さに脳内変換しないでもいいくらい、リテルが日常的に使っていた単位。


・アブス

 長さの単位。

 元の世界における三メートルくらいに相当する。


・プロクル

 長さの単位

 一プロクル=百アブス。

 この世界は十二進数のため、実際は(3m×12×12=)432mほど。


・通貨

 銅貨(エクス)銀貨(スアー)金貨(ミールム)大金貨(プリームム)

 十銅貨(エクス)(十二進数なので十二枚)=一銀貨(スアー)

 十銀貨(スアー)(十二進数なので十二枚)=一金貨(ミールム)

 十金貨(ミールム)(十二進数なので十二枚)=一大金貨(プリームム)


・暦

 一年は、十ヶ月(十二進数なので十二ヶ月)+「神の日々」という五~六日間。

 それぞれの月は、母の月、子の月、大地の月、風の月、水の月、海の月、光の月、空の月、星の月、火の月、父の月、闇の月と呼ばれる。

 各月は、月の始めの十日(十二進数なので十二日)間は「月昼」週。次の六日間は「月黄昏」週、最後の十日(十二進数なので十二日)間が「月夜」週。トータルは十二進数で三十日間。

 毎月の、月黄昏週の一日が満月で、月夜週の九日が新月。月は二つあるが、大きい月の周期が基本で、小さい月の周期は二日ほど遅れている。夜が明けるまでは日付は変わらない。

 第七十四話終了時点では星の月夜週の七日の早朝。

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