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召喚者たちから返書を

受け取ったビリブは、怒り狂った。

元々、我儘に育ち、周囲もそれを

増長させるように接していた。


「これはどういうことだ!」


ビリブは、見栄えの良い女がいれば、

勇樹を迎え入れたオリガのように

側室として迎え入れるつもりだった。


返書を受け取る前は、取り巻き達と

召喚された娘について上機嫌に話していた。

しかし、今は、ビリブの怒声のみが

部屋に響いていた。


「行くぞ、準備しろ」


「はっ?ビリブ様、

何処へ向かうのでしょうか?」

そう言った取り巻きの一人が

ビリブにぶん殴られて、床に転がった。


「この愚図がぁ。一々説明させるな。

召喚者共が住んでいる屋敷に決まっているだろう。

一人二人、女を掻っ攫って来るぞ」


誰もが無茶ぶりだと思った。

しかし、そうでもしないと殴られ、

無様に床に転がるのが目に見えていた。

ビリブの機嫌を損なう事を恐れ、

取り巻き達は粛々と準備を開始した。

無論、如何なる被害にも巻き込まれないように

細心の注意を彼らは払っていた。


外より来るもの全てを拒絶し、

牢獄の様に内から逃げ出す者を

防ぐように高い柵が召喚者たちの

住まう屋敷を囲んでいた。

醸し出す雰囲気は不気味そのものだった。

それは、見ているだけで

鬱蒼とした気分にされた。


その外観を見ただけでビリブの取り巻き達は

ここへ来たことを後悔した。

しかし、ビリブは感性が鈍いのか

まるで頓着していなかった。

彼は、ふくよかな身体を揺らしながら、

自ら正門を押し開けた。

その後に取り巻き達が恐る恐る続いた。


「誰かおらぬか!」

ビリブは、大声をあげて、

屋敷の玄関を叩きつけた。


「ここを開けよ。

我はレガリアス聖王朝、

王太子のビリブなるぞ」

その声は、無論、屋敷の中の召喚者たちにも

聞こえていた。


「なっ何なのよ。

あのアホ、何で直接、ここに来る訳?」

屋敷の外で喚き散らす男の行動に

玲奈の理解は全く追いつかず、隣の美樹に

ぶつぶつを愚痴った。


「知らないわよ。圭太、何か分かる?」

圭太は、どうも言いにくそうだった。

再三、美樹が促すと、しぶしぶと話した。

「側室を物色するためにここを訪れたみたい」


「はっ?何それ、どういうことよ」


「くくっそういうことか。

まあ、そうだな。

理解できないことではないな」

司はくぐもった笑いを上げて、

それ以上、何の説明もしなかった。


「あーうるせえな。

会って話を聞けば、良いだろ」

粗暴そうな数人のグループが

周囲の静止を無視して、玄関を開けた。


「遅い。だが、まあ、今回は許そう」

ビリブは、屋敷の中に入ると、

すぐさま、そこに居る女性の召喚者たちの

全身を舐め回す様に一人一人じっくりと見た。

「女は、ここに居るものたちで全員か?」


ビリブの視線は、玲奈、美樹、

そして、圭太の方を落ち着きなく動いていた。


「ああ、そうだよ。だからどうした?」

ドアを開けたグループの一人が怒鳴った。


「ぎりぎり及第点だな。

そこの二人とその後ろに隠れている小娘を

頂くとするか」

ビリブが玲奈、美樹、そして圭太を指差した。


「何のつもりよ」

玲奈の問いにビリブの取り巻きたちが

大仰な態度で答えた。


「おおっ何たる幸運。

次代の王のお眼鏡に叶うとは」


「本来なら選ばれることがないが、

王の慈悲に感謝するのだな」


「さっさと、王の前に傅かぬか。

無知な無礼者が!」


玲奈も美樹もさっぱりと

意図が掴めずに困惑するばかりだった。


「ふむ、まあ、そちは少しボリュームが足りぬが、

容姿はまあ良い。閨でいじめがいありそうだな。

そちらの娘は、身長が足りぬが、

抱き心地はよさそうだな。

その後ろの小娘は、そうだな、色々と儂好みに

教育のやり甲斐がありそうだな」


「ぼっ僕は男だ!」

圭太はか細い声で主張した。


「よい、気にするな。

男女共々可愛がってやろう。

おい、連れて行くぞ」


先程まで怖気づいていた取り巻きたちは、

元気を取り戻したようで、意気揚々と

玲奈たちに近づいた。

誰も動くことが出来ない中で

司が彼女たちの前に立った。


「じゃまだどけ」

取り巻きの一人が司を押しのけようとした。

その瞬間、男は床に転がった。


「つまらないな。

底が浅いとオリガ様に笑われますよ、ビリブ様。

勇樹を得たオリガ様、いやオリガの二番煎じでは、

オリガの猿真似と世間の物笑いの種になるでしょう。

それにビリブ様ほどの御仁、この娘たちでは

直ぐに飽きますよ。その時、処遇に困るでしょう」

司は、ビリブに近づき何事かを耳打ちした。


ビリブは、愉快そうに笑った。

「ははははーそうだな。

それもそうだ。貴様の名は何という?」


「司といいます」


「そうか司というか。

確かにここの娘どもでは興奮せんな。

それよりお前、儂に仕えぬか。

面白い男よな。勇樹は貴様の仲間だろうに」


司は膝を付き、仰々しく答えた。


「我が心は故郷にあり。

お力添えはいたしますが、

宮使えは堅苦しく、ご容赦ください」


「まあ良い。

貴様の知恵を借り受けるとするか。

おい、戻るぞ」


上機嫌でビリブは、怪訝な表情の取り巻きを

連れて、王宮へ戻って行った。

そして、狐につままれたような同級生たちに

司は何も説明をせずにさっさと自室に籠ってしまった。


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