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ゴブリンスタンピード ③

もうめんどいから不定期更新


「あ、あれはもしかして………「火山の地雷原」ですか!!?」



「火山の地雷原ってぇと、時々『ファスト』の南の方で起こる死亡報告のことか?」


「何!?あれを持ち込んだプレイヤーがいるのか!」


「で、でもおかしいわよ!あんなに仕込まれてて、なんで開始前に一度も爆発してないのよ!?あれだけゴブリンがいたら、すぐに踏まれてるはずだわ!!」


「……たしか爆発する前に『索敵』で発見できたという報告がありました。それによると、スイッチのようなものはなく、かわりに導火線があったらしいです!」


「え、それって地雷とは言えないんじゃ……と、とにかく火気厳禁だ!『火魔法』、火属性の攻撃は禁止だ!!」



 地面に埋まった爆弾を起爆させないように、簡潔な指示を出す。わざわざ導火線をつけているのなら、火がなければ爆発しないだろうと予想してのことだ


 『ファスト』の南、ファイアリザードのいる場所よりも奥の通称火山の麓では、この地面に埋まった爆弾──長いな、もう地雷でいいか──地雷がたまに埋まっているらしく、時折爆音が響き渡っている


 中には運悪く巻き込まれるプレイヤーもいて、タンクでも下手したら即死するレベルの火力らしい


 噂によれば、どう見ても自然物ではなく、人工物らしい。誰かが作って設置したのではという意見もあったが、こんな威力のものをプレイヤーが作れるわけがないということで、あまり有力ではない


 現在の主力な説は、「昔の文明の不発弾 (というフレーバーでポップしている)」らしい。ここから飛躍して、古代文明は今より発展しているのではという考察もあるんだとか




「……これ、どこまで埋まってるのかしら」


「わからない。とにかく足元には気をつけよう。衝撃で爆発するものもあるかもしれないし」


「誰だよこんなの持ち込んだやつ……ゴブリンだけ一掃できると思ったのか?」


「だがたしかにゴブリンの量はかなり減ったぞ!プレイヤーの被害は、ワシらが注意してたらいいだろう!」


「奥のほうに『火魔法』を撃ち込めたら、ゴブリンだけ爆破できませんかね?」



 未だに爆発が続いているが、その数も少なくなってきている。地雷が爆発し切ったのか、指示が行き届いて火属性を控え始めたのがよかったのか………しかし、『火魔法』を封じられたのは痛いな


 『フレアボム』は魔法の中でも火力が高いアーツなため、魔法ジョブで『火魔法』特化なプレイヤーはかなり多い。そんな彼らのダメージソースが削られてしまった


 フィルが、この状況を利用してゴブリンを殲滅する方法を考えているが、それでも足元にあるかもしれない爆弾には着火できない


 こういう時こそロウガンさんみたいな人の頭脳が欲しいんだけど……街の中はどうなっているんだろうか?





◆Side:ロウガン





「『パワースラッシュ』!ダメだ!やっぱり物理は効かない!!」


「物理職はゾンビをやれ!ゴーストは魔法職で倒す!」


「『ウィンドボール』!ボール魔法でも倒せるぞ!」


「『ガードスタンス』!うわっ!?盾をすり抜けてきやがった!!」


「エンチャントだ!エンチャント魔法か属性結晶使った武器ならダメージ通るぞ!!」




 『ファスト』の街の中、普段は平和で人気も少ない集団墓地。そこは今プレイヤーとアンデッドが入り混じる戦場と化していた


 [ゾンビ]や[スケルトン]という、まだ肉体を持った敵は簡単に屠れているが、物理無効らしき[ゴースト]という霊体の魔物には苦戦しており、対処が遅れている


 むう、我々が察知していれば、事前に対策を立てられたものを……。まさか、この私が「先入観」という初歩的なミスをするとはな



「『ターンアンデッド』!『退魔の祈り』!ロウガンさん!これいつまで続くんですか!?」


「わからん。だがスタンピードと同時に発生したため、ボスを倒せば後は残党処理となるだろう。それが[ゴブリンキング]でよいのか、こちら側にもボスが出現するのか………。不甲斐ないものだ。これも前からわかっていれば調べられたかもしれんというのに」


「後悔は後にしてください!『エンチャント・ライト』!『ライトヒール』!『回復の祈り』!」



 気づく要素はいくつもあった。街中のクエストに、それを隠すように振る舞うあのギルド……


 クエストは「街の清掃」「夜の見回り」「犬の散歩代行」「迷子猫の捜索」などと一見なんの変哲もないが、依頼者の話を聞くと関連性が見えてくる


 「最近街がよく荒らされている」「夜に何かの影を見たという住人がいた」「最近よく吠えるからストレスが溜まっているのかも」「近頃脱走することが増えた」


 そして、それらのクエストはこの墓に位置的に近いことが多かった。清掃依頼は墓周辺でよく起こり、犬・猫の依頼者の家はこの周辺だという



 おかしな点はまだあった。あのギルドは素材売買でのランクアップ判定が異様に緩いのだ


 ドロップ品の売却、特に闇属性の素材はギルド貢献度が高く設定されていると検証結果が出た。闇属性素材をドロップする敵は、少々倒しづらいからと説明はつけれるが……


 中には、クエストを一回もこなさず、納品だけでSランクに行ったという者までいる。このような序盤も序盤に最高ランクだろうものに行けるということもおかしい


 他のギルドではCランク、最前線の者でもBランクが限界のようだ。それにギルド職員の話によれば、Aランク以上に上がるためには本来試験を受けなければならぬという



 この事件の黒幕も大体予想はできる。と言っても、ゲーム慣れしている者なら「明らかに怪しい」と言えるレベルに露骨ではあったが。だが動機・手段の見当がつかないか……





「『ライトボール』!『ライトスフィア』!『ライトアロー』!ど、どうしましょう、魔力が持ちません!!」


「ふむ、流石は『光魔法』の第一人者。もうアローを使えるのか。今度検証に協力してくれないかね?魔法同士をぶつけると弱い側に余波が行くのだが、光属性と闇属性はお互いが弱点であってだね。だが現状『光魔法』を高レベルで持っているものが少なく……」


「それ今頼むことですか!?検証には協力するので、今は知恵を貸してください!!」


「ふむ、なら君は補助に専念するといい。前衛物理職に光属性を付与すれば、殲滅力は何倍にも増すだろう」


「わ、わかりました!『魔力増幅』!『エンチャント・ライト』!」



 おっと、怒られてしまった。考察を巡らせるのは後にして、いまは目の前のことに対処することにしよう


 そう思考を切り替え、正面を向くと、ちょうど墓の中央から黒い瘴気が立ち昇ったところであった

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