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第9話 Rebirth


その次の日から3日間、私とターニャさんは学園を休んだ。


服屋では私の注文品を急ピッチで作って貰ったり……

エステにはターニャさんと一緒に3日間通い詰めたり……

魔道具屋では以前王都に来た初日に助けたおじさんが店主だったので、多少無理な注文をしたが笑顔で了承してくれたり……

雑貨屋でターニャさんと楽しく買い物したり……

ターニャさんのバイトを手伝ったり……

学園長にお願いをしに行ったり……


とても慌ただしい3日間だった。


そして、最終日にターニャさんの家にも招待して貰った……


「何も無い所ですが……。ターニャが友達を連れて来るなんて嬉しい限りです♪」

「市場で食材を買って来たので召し上がって下さい」

「まあ!ありがとうございます!……ゴホッ!ゴホッ!!」


屋根にも床にも穴が開いている一軒家で家財がほぼ無い。

しかも、母親は寝たきりだった……


「はは♪私が働けたら良かったんですが……」


私が中を見渡しているのに気付いたのかターニャさんの母親は乾いた笑いを溢した。


「私の家、凄く貧乏なんです。表面だけ取り繕ってもすぐにボロが出ると思います」

「それは大丈夫ですわ、表面だけにはならない筈ですから。それより人気が出たターニャさんが私から離れて行かないかが心配ですわ」

「!?絶対に離れたりしません!ティアさんとはずっと友達です!」

「ありがとうございます♪」


それから3人で色んな事を話した。

急に実家のお母様に会いたくなっちゃった……


帰り際にターニャさんの母親と握手して家を後にしようとすると、2人には涙ながらに感謝された……

ついでに魔道具屋のおじさんが接客をしてくれる店員を募集していたので、近々希望者が来るので募集の枠を空けておいてと頼んだ事を母親に伝えたら暫く泣き続けた……



いよいよ明日が本番ね!

いじめっこ達よ!ターニャさんをいじめてしまった事を後悔するが良いわ♪





翌朝……



「や、やっぱり恥ずかしいです……」

「あ~ん♪可愛いですわ♪私がずっと飼って差し上げますから♪」

「でも、これって何がモチーフなんですか?見た事が無いんですが……」

「ハムスターと言って、凶悪な可愛さを持つ魔物ですわ♪」

「凶悪な可愛さ?」


教室に着くまでの間、ターニャさんは好奇の視線に晒されていた。

ハムスターの着ぐるみを着て不安そうに顔を覗かせるターニャさんを見ていると、余りのキュートさに発案者の私ですら彼女の虜になってしまいそうだ。


私と言うボディーガードが居なければ彼女は既に野次馬によって揉みくちゃにされていたに違いない。

もしもの時のために、防犯用に改良した魔道具も身に付けて貰ってるから安全面でも問題無い。

可愛さ余ってお持ち帰りする輩が現れないとも限らないし、嫉妬からのいじめ対策も兼ねている。


それくらいに今のターニャさんは可愛くて愛くるしいのだ!




ターニャさんに魔道具の使い方を教えながら歩いていると教室の前に着いていた。

私はわざと大袈裟に扉を開けて、クラスメイトの注意を引いた。


「おっ?やっとお越しなすった……ぞ?」

「えっ?何あれ……」

「可愛い……」


雑巾ターニャとほざいていた男子も大口を開けて放心していた。

作戦成功ね♪

作戦名は『ターニャさんが可愛すぎて辛い……』よ


「……っ!おい!そんなもん被ったって雑巾ターニャには変わりねえだろうが!」


雑巾ターニャ男子が近付いて来てターニャさんの着ぐるみの頭の部分を強引に捲る。


「きゃっ!」

「……………………実は前からターニャの事が気になってたんだ。俺と付き合ってくれ!」

「無理です!ごめんなさい!」


雑巾ターニャ男子は新生ターニャさんの顔を拝んだ直後に告白してフラれた。



ここで説明しよう!


新生ターニャさんとは……

艶のあるボリューミーな黒髪を服屋に作って貰ったシュシュで括っており、ピンとハネたアホ毛はドジっ娘的な女性としての隙をアピールしている。

更に、連日通い詰めたエステの効果で肌には潤いが戻り、頬には赤みがさしている。

そして、私が直々に伝授した潤んだ上目遣いを使いこなす事により、その可愛さは天元突破してしまった……

着ぐるみを着れば老若男女に愛され、着ぐるみを脱げば男子に特化して好かれると言う二段構えで、一部の隙も無い愛されキャラとなったのだ!



「ターニャさん!それ凄く可愛いね!どこで売ってるの?」

「ちょっと割り込まないでよ!私がターニャさんと話すんだから!」

「ターニャさん、好きだ……」


そして、ターニャさんはあっという間にクラスメイトに囲まれてしまった。


1人取り残される私……



……泣いてなんか無いんだからね!






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