第10話 Contest
新生ターニャさん騒動も落ち着き始めた頃……
私はリース先生に呼び出されていた。
「リース先生。ただいま参上致しました」
「ティアさん!態々来てくれてありがとう!これ私の手作りなの、良かったら食べて♪」
リース先生が上機嫌なのには理由がある。
どうやら、先生は重い難病を患っていたらしいのだが、先日私がリース先生に泣きついた際に完治させてしまったらしい。
急に病が治るなんて心当たりが1つしかなく、必然的に私の所業となったらしい。
「ありがとうございます♪それでご用件とは?」
「あっ!ごめんなさいね。実は今から1ヶ月後に学内一の実力者を決める闘技会が開かれるの。それでティアさんに是非エントリーして貰いたくて……」
「私、入学したばかりですよ?」
「学年や経歴も全て引っくるめた実力って事ね。戦争や魔物との戦闘ではそんな事は何の意味も成さないから」
「確かにそうですね」
「出てくれる?」
「リース先生の頼みですから当然ですわ!」
「ありがとう♪それで、もし仮想の対戦相手が必要なら私が力になるわ!ティアさんのおかげで病も治ったから全盛期に近い力が出せると思うし」
「全盛期ですか……」
「結構強かったのよ。以前組んでたパーティーとは最難関ダンジョンと言われる『魔物の巣』の地下100階近くまで行ったんだから!」
ダンジョンも魔物の巣も全然知らないので反応に困る。
「何だか自慢話みたいになっちゃったわね。それじゃあ、1ヶ月後だから準備を宜しくね♪」
リース先生に笑顔で見送られ教職員室を後にした。
寸なりと了承してしまったが、闘技会と言っても私は好んで誰かと戦いたい訳では無いし、名声やお金が欲しい訳でも無い。
学園に来たのも純粋に攻撃魔法の習得と勉学の為だ。
その攻撃魔法も授業で教わっているのだが、私の覚えが悪いのか未だ習得には至っていない。
基礎中の基礎である魔法の詠唱の際に使う魔法言語ですら、学園に来て初めて習い始めると言う始末。
5歳の頃に来た家庭教師は初日でお役御免だったのよ……
ここに来て両親が徹底的に私を攻撃魔法から遠ざけた成果が出て来ているようだ。
でも、実技の授業でクラスメイトが使う魔法を見た時はやっぱり心が踊ったわ。
紡がれる魔法言語。
体の周囲を纏う魔力の波。
魔法名を叫んで手を突き出す仕草。
魔力が事象へと変換され、数々の奇跡を起こしていく……
その全てが私の心をくすぐるのだ!
私は周囲に誰も居ない事を確認し、前方に手を突き出した。
手の先に意識を集中させる。
「……万物を渇望する純然たる器の子達よ。我が涙は個を癒し、種を癒し、星をも癒すだろう。さあ!生を謳歌せよ!『女神の慟哭』!!!」
……なんてね♪
回復魔法でそれっぽくやってみたけど、そもそも魔法言語じゃないから何も起きてないし。
……今更気付いたけど。
これ、滅茶苦茶恥ずかしいわ!
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その日、世界各地で異変が起きた。
生命活動を営むありとあらゆる生物の傷、欠損、病が完治。
細菌やウイルスは宿主との共存関係を構築し、それらに由来する病に罹らない新生命体が誕生した。
更に、失われた大陸では封じられていた魔王が復活。
最高峰の活火山では古代竜が永い眠りから目覚めた。
あと………この星の寿命が約1億年延びた。
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