神々の集まり
そこには幾つもの白い影たちで溢れかえっていた。中心に立つ年寄りのような形をした影が周りの影たちに告げる。
「ついにワシの世界で黒の獣が目覚め始めたわい。まだごく一部じゃがのう」
すると周りがざわめき出す。しばらくざわついた後、一人の影が一歩前へと出て来た。
「その黒の眷属はどうしたんだよ」
「橘四郎という若者が退けたようじゃ」
すると再び周りがざわつき始める。
「橘四郎ってあんた様の世界の人間じゃなかったよな?」
「元は私の世界の人間よ、ガンラン」
男、ガンランの問いに若く美しい女性が答えた。
「ほう、アースの世界の住人か。何者なんだ。その橘四郎って奴はよ?」
ガンランはクククと意地の悪い笑い方をしながら獲物を見るような眼で女、アースを見た。
「ガンラン!!今はそんなことどーだっていーのよっ!!問題なのは黒の獣の目覚めよっ!!どうなの準世界神様!?」
背の低い少女の影が老人、準世界神のベースに続きをうながす。
「そうじゃのー。恐らくワシの世界は根幹世界じゃから黒の獣が目覚めにより他の世界にも異変は起きるのぉ。特に人間は黒、すなわち闇の耐性が低いから呑まれかねん」
「なら!!人間は滅ぼせばいい!!!だいたい人間は不完全すぎる!!神の姿を模しながらもあんなにも不完全な人間を生かしておく必要がどこにある!?人間が黒に呑まれ、暴れ出したら世界は壊滅するんだぞ!!」
どこか神経質そうな男の影が叫ぶように言った。周りの影たちも少なからず頷いているものがいる。
「ならん。人間の創造は世界神様の意志でもある。ワシらが人間を滅する訳にもいかぬわ」
「ならそーゆう肝心の世界神様はどこにいるんですか!?最近ちっとも姿を現さないじゃないですか!!」
「世界神様は別の用事で今は手が離せないの。これは大事な事よ」
アースがヒステリックな男に牽制するように言った。ガンランは何が面白いのか笑っている。
「そういうことじゃ。幸いまだ黒の獣はまだ目覚めかけておるだけじゃ。問題なのは眷族じゃがこれは人間たちが何とかするじゃろう。眷属どもも橘四郎や祈祷魔法の使い手たちを中心に何とかするじゃろう。じゃからワシらはその間に黒の獣との戦いに備えて力を蓄えておかねばならん。分かれば今日はこれで解散じゃ」
そう言うと周りにいた白い影たちが一斉に消えていく。最後に残ったのは準世界神ベースとガンラン、アースの三人(柱?)であった。
「ククク、世界神様が何を考えてるかは知らんがせいぜい俺を楽しませてくれよ」
ガンランは睨みつけるように言ってその場を去っていった。
「ガンランは血の気が多すぎていかんのぅ」
ホッホッホッと準世界神ベースは愉快そうに笑っている。
「準世界神様、本当に橘四郎は大丈夫なんでしょうか?」
アースはどこか遠くを見るような感じで言った。
「大丈夫じゃよ。全て世界神様の計画通りじゃ。まぁ最もワシも計画の一部しか知らんがのぅ」
「計画…ですか?」
「そうじゃ。神々の計画は運命と同義でもあるんじゃから大丈夫じゃよ」
準世界神はさり気なくアースの引き締まったお尻に手を伸ばす。しかし途中でアースの手によってペシンと払われる。
「セクハラです」
「ホッホッホッ、冗談じゃよ、冗談」
「…………………(ジー)」
「うぐっ…わ、ワシは悪くないんじゃ!そのお尻がワシを呼んでたんじゃー!!」
アースの非難の視線に耐えきれなくなった準世界神は頭を抱えて叫びながらその場から姿を消していった。
「はぁ…本当に大丈夫なんでしょうかね」
最後にぽつりとそう呟きアースも姿を消してしまった。




