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白の完全無欠  作者: 広瀬コテツ
ギルド編
16/105

不愉快



 その日、私はギルドのクエストで街から出ていた。正直、街にいるのは好きでは無かったからギルドのクエストとはいえ外に出れるのはありがたかった。

 街の中だと私は呪い子だからなのか不躾な視線や卑下するかのような視線をよく感じる。

 真っ赤な髪に深紅の瞳。どちらも呪い子の証だ。呪い子とは裏切りの民。即ちこのアステリ王国を100年前の戦争で裏切ぎった一族の子孫ということだ。だから私は街に、この国に歓迎されてはいない。

 それでもギルドはマシな方だった。ギルドには荒くれ者や訳ありの者、果てには亜人や魔族までいる。それにギルドはアステリ王国だけでなく他の国にもあるのであまり私が呪い子だからと言って目立つような事はない。

 が、私は別の意味で名前が売れていた。それは私の持つ二つ名だった。


“鮮血の舞姫”


私自身、ソロプレイヤーでどのチームにも所属することは無いが、その強さは人並み以上だと自負している。しかしこの二つ名は大げさだ。とは言っても二つ名は周りの人たちからの認識によるもので私にはどうしようもない。

 街の外は基本的に草原が続いているので見晴らしはいいし、敵の接近にはいち早く気付くことができる。しかし逆に大型の魔物に襲われた場合、逃げ場はないので便利だとは一概には言えないだろう。

「まぁそれに…ある程度の奴らなら誰でも魔法で姿は消せるしな…」

姿はないが気配はある。これは三流の証だ。二流なら気配は感じさせないし、一流なら姿を消さなくても接近に気付かれることはない。

「出てきな。一体私に何の用だ?」

すると前方の方から二人の男が現れた。

 一人は痩せていて手にはナイフを持っている。服装は灰色の汚れた服に左肩と胸には軽防具をつけている。

 もう一人は背の高い男で2m近くある。両手にナックルのような物をつけて頭にバンダナを巻いている。

 二人に共通するのは痩せ男は手の甲に、ノッポは肩に同じナイフの形をした刺青が入っていることだろう。

「へへへ、知ってるか?呪い子ってのは貴族にペットとして高く売れるんだぜ?」

痩せ男が言った。その言葉に表面上は反応しないが内心チクリとした。

「ほほう、つまり私に奴隷になれと?」

「話が早くて助かるねぇ嬢ちゃん。それで大人しく奴隷になってくれるかい?」

私の質問にはノッポが答える。私は細剣を抜いて構える。

「ふん。一つだけ教えてやろう。私がこんな所にいるのは最近奴隷狩りをしている二人組を討伐するためだ!」

私は走り出そうとする。二人組も拳とナイフを構えて応戦の体勢に入る。

 そして次の瞬間、轟音が聞こえた。私は動くのを忘れ音のした方を見る。二人組もそちらを見ていた。

 するといつの間にかすぐ側に轟音を放ちながら突進してくる物体があった。

 新手の魔物か!?そう思い<武>を深紅の瞳に集中させ謎の物体を見つめる。すると信じがたい事にその上に人が乗っていた。

 それはそのままこちらへ突進してきて私達たちの直前で進路方向を僅かにズラした。しかし慌てたノッポの方が逃げようとして逆に物体の進路方向へと入ってしまった。


 そして盛大な音と共にノッポが吹っ飛んでいった。ノッポを吹っ飛ばした物体に乗っていた男はそれから降りて私たちに向かって言った。


「飛んでったけど大丈夫かな?」

人を一人吹っ飛ばしたというのにその軽い感じに私は思わず笑いそうになった。しかも見た所、私と同じ年くらいの少年だ。ここらでは見かけない黒眼黒髪に、真っ黒な服。顔はかなり格好良い。ただやや女性寄りの顔であることはいなめない。

「大丈夫なわきゃねーだろ!!ぶっ殺すぞガキィ!!!」

残った痩せ男がナイフを構える。少年はやれやれといった感じに首をすくめる。

「勘弁してくれよ。わざとじゃねーんだしさぁ」

その言葉に痩せ男はナイフを前へ突き出し突撃していった。

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