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G.W.S.-グリムリーパー・ウェポンズ・サービス-  作者: 来賀 玲
作戦記録1番:ようこそ新兵ども!間違ってこんなトコ来たのかい!?
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PHASE 3 :なんで銃が主役の戦場で近接武器を使うん?






「な、ナイファー!?!

 セクター4のFive-seveN『ナイファー』だってぇーっ!?!」


「知っているのかガード4!!」


「逆にご存知無いのですか!?!

 この20年間、全セクター対抗近接格闘(CQC)技術大会にて、常にトップ3位を争う一人!!

 銃が必要かどうかも分からないレベルで強い奴でまず名前が上がるお方ですよぉー!?!」


「喋ってる暇あったらリロードしろそこの馬鹿二人!!」






 だが、こんな説明ですら納得する者が1人。



「ぐっ……!」


 片腕を鎧ごと砕かれ、呻くベルゼビュート。


「…………」


 ヒュンヒュン、とハンマーを軽快に回して左足のホルスターに入れ、ナイファーは流れるように今度はピッケルを右腰から取り出す。



(こやつ、『鎧の相手』を分かっている───ッ!!!)



 せめて、と片腕を魔力で回復させ、両腕で剣を構え即座に突きを放つ。

 横、縦、どう避けようとベルゼビュートは対応できる自身があった。

 ナイファーが避けたのは横。足を踏ん張らせ横薙ぎへ。


 攻撃を移行しようとした瞬間、ナイファーのピッケルが剣を捕らえる。


「な─────!?!」


 攻撃が読まれたことに気づいた瞬間、踏ん張りの効かない体勢と、その前に放っていた渾身の突きのパワーがベルゼビュートの身体を空へと舞い上げ、鎧の身体ごと派手に回転する。


 なんのことはない、自分のパワーがいなされればそうもなる。


(分かってしまうのが逆に悔しい────ッ!?!)


 直後、相対的な動きでは止まったその場所へ、二発弾丸が叩き込まれる。


「グッ!?」




 『デスサイズ弾』


 死神の鎌の名前の通り、古今東西の死神の加護を受けた当たればなんでも殺す鉛弾である。


 魔術や魔力の防御は無意味。

 たとえ魔界の鎧でも、自身の鉄の厚さで勝負せざるを得ず、大悪魔級の不死の再生力も無意味。



 運が悪いことに、PDW用5.7×28mm弾ベース。

 拳銃だからまだ生きているだけで、並みのアーマーは貫通し肉で止まって弾頭が体内を駆け巡る。


 魔界のフルプレートアーマーといえど、魔力防御頼みでは止めることが出来ず肉に弾頭は入っている。



(ぬかったわ……!!)


 胸に二発。浅いとも言えず肺が潰れそうな痛みを感じる。

 魔界にその名を轟かせる大悪魔といえど、死を連想するダメージを文字通り身をもって感じる。




「ならば……我が玉座よ!!!」


 ウォォォォォォォォォォォッッ!!


 判断は早く、その一言であの巨大なヒョウが狼に似た咆哮(ほうこう)と共に燃える前足をこちらに振り下ろす。


 流し目で確認し、すぐさま華麗なジャンプと新体操選手顔負けの身のこなしで除ける。


「────はぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!」


 着地後の硬直を狙ったタックルと剣の突き。

 少し驚いた顔を見せながら、剣を避けベルゼビュートの巨大な体のタックルにぶつかり、一気に壁まで吹き飛ばされる。


 ズン、とナイファーの当たった壁にクレーターが出来上がる。


「ふぅー……!!!卑怯、とは言うまい!?

 こうでもしなければ勝てぬ強敵故に!!」


 そう言うベルゼビュートだが、大きく呼吸を乱し、ゼーゼーと言いあまり逆転したようには見えない。


 そして、バンバン、と拳銃特有の軽い発砲音と共に、当たらなかったがベルゼビュートの方向に弾丸が飛んでくる。


「────そこまで言うのなら追撃してくると思った、です」


 壁に空いたクレーターから無造作に自分であるFive-seveNを構えたナイファーが出て来て、軽く血反吐をそこら辺に吐き、そう言う。


「…………」


「どうした、です?息、切れてる。

 こちらも半殺し、弾も切れてるのに、攻撃しないのか、です?」


 ブローバックしたままの自分のスライド。

 弾切れのマガジンを落とし、新しいマガジンを入れて、コッキング。


「ほら、もうこっちは準備ができた。

 大悪魔、ここで手打ち、って言うならそれもよしです。

 まだあなたが有利。

 だと言うのに動かない。


 ならつまり…………そんなに余裕、無い。

 違うか、です?」


 言葉は向けても、視線は自分が撃てるかどうかの確認のみ。

 異常なし、そしてナイファーは腰の後ろから()()()()()を握る。


「……ふっ、急に喋るようになったか。

 怖くなったか?」


「あんたは、喋りに余裕なさすぎ、です」


「…………ふっ」


 シャン、と抜く大型サバイバルナイフ。

 TACネームの元にもなった愛用の物を、静かに順手で持つ。


「…………」


「…………」


 ベルゼビュートの額から汗が落ちる。

 瞬間、2人はお互いに向けて走り出す。


「我が玉座よぉ!!!」


「───『ミニー』!!!!」



 再び振るわれる巨大なヒョウの前足。





 プゥゥゥゥン!バババババババババババッッ!!





 だが、その時、

 真横から吹いた暴風───いや、弾丸の雨が一瞬にして巨大なヒョウの怪物の前足を切り飛ばし、顔に無数の穴を開ける。


 ギャァァァァァァァァァ!?!?!


「何ィ!?!」





「────ふぃー……!」


 暴力的な弾丸の雨の大元、G.W.S.の制服である黒い衣装に身を包んだ小さくて可憐な少女が1人。


 どことなく保護欲や母性が湧くような、あどけなさの塊の美少女だったが、


 ランドセルが似合う背中には、四角く自分の身長とほぼ同じような四角い『弾薬庫』を背負い、


 そこから伸びるベルトリンクに繋がれた6つの砲身が束ねられた凶悪でシンプルな兵器が一つ。






 G.W.S.所属死神:『M134』“ミニガン”or”痛みのない銃(ペインレスガン)

 銃種:機関銃

 弾種:7.62×51mmNATO弾

 TACネーム:『ミニー』

 役職:セクター4第2小隊隊員






「ナイファーちゃん!ここはミニーに任せて!!」



 バババババババババババッッ!!!!



 再び鳴り響くモーター音と信じられない発射音。

 毎秒100発の発射レート。



 そもそも本来3脚が必要であり1人の人間が持てないM134は、ミニーというどう見ても可憐な少女のような姿の人間が持てる重さでも反動でもない超火力の兵器である。



 魔力防御が効かないデスサイズ弾頭かつ、7.62×51mmNATO弾の破壊力では、やはりものの数秒で怪物は原形を留めない姿になった。





「我が玉座が……!!!」


「よそ見している場合?」



 声と共にやってくる刃。

 再び始まるナイファーの攻防に、慌てて応戦するベルゼビュート。

 だが、自分の力の一部が消えた事実の前に、心に出来た隙は大きく防戦一方である。


「我が願いは……もう一度混沌の戦場を……!!」


「もう戦場ではフルプレートアーマーもたいそうな剣も名誉もただ邪魔なものだけだろうが、です」


 ギリッ、とはを食いしばって放つ一撃、上段からの一太刀。


 が、最小の動きで(かわ)され、踏みつけられた刃が地面に刺さり、動きを止めた刹那に喉元にサバイバルナイフが一閃する。


「!?!」


「時間は進む。戻ったりはしない。




 ───お前ももう、古い博物館で眠る時間」






 パン、パンッ!!


 Five-seveNの5.7×28mm弾が二発その頭を後ろから貫く。




「くたばれ最後の騎士気取りの悪魔」



 ドサリ、とベルゼビュートの身体が崩れ落ち、肉体はただの魔界の魔力へ分解し始め消えていく。



 大悪魔ベルゼビュートは死んだ。



           ***

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