第十一話 最弱。そして最強。
アカデメイア街から少し離れた場所
「アメとユキはあの部屋からなんで出てこないんだ?」
「二人はね、何かの魔術によって、あの部屋から出れないらしいの。無理矢理外に出そうとしたら、磁石みたいにボーーンって」
よくわからない手の動きと効果音で表現しようとするイズ。語彙力なさすぎだよ……なんて言ったら殺されるかな。
「なるほど……何か理由があるんだろうな。それにしてもこの世界は凄く快適だなー」
俺が転移させられたとこはガンガン夏だったしこんな服とか装備してたら熱中症で死んでるな……最高気温四十度とかだっけ……
「ここはユグドラシルの持つ魔力によって気温が制限されているの! だから春でも夏でも秋でも冬でも、蝉が鳴いても雪が降っても、いつも気温は二十三〜二十五度なんだー!」
まじか……それって季節に合わせて服変えなくていいじゃん! 俺ニートだからいつもジャージだったけど。
「すごくいいなそれは。」
「んーそうかなー……私は地球みたいに四季によって気温が変わる方がいいと思うけどなー……あっ!」
そう言ってイズは走り出し、道端に咲いている一本の花の前で止まった。
「ユウム!みてみて!スズランだよ!私ね、この花を見てたら、なんでかわからないけど、凄く幸せー!って気持ちになれて大好きなの!」
そう笑顔で言ってくるイズは本当に可愛く、俺の心を癒してくれた。
それから俺たちは少し歩き、アカデメイアにある小さな商店街のような場所に来た。
……のだが……悪い意味でものすごくコソコソ色々言われている……確実に俺らに対してだ。
「おい。あれ空色の髪のやつ……もしかして【弱神】じゃねーか?」
「って事はあの横にいるのが【契約者】だよな。なんかぱっとしねーツラしとるな」
「まぁ最弱属性の【契約者】だから仕方ねーな」
「それな。少し顔いいだけマシだと思っとけ」
……ぱっとしない顔で悪かったな
「まずはね! この商店街の武器屋に行こうと思うの!【鋼を司る神】の所が作ってる武器は、少し高価だけど、品質が凄いのまさに一級品!」
……ん?イズはこのコソコソ話を聞いてないフリをしているのか……?いや、この笑顔、恐らく久しぶりの外にウキウキしすぎて周りの声が全く聞こえてないパターンだなこれは……まぁこんな所で騒ぎにもしたくないから俺も無視するが……
そんなことを考えながら、俺たちは武器屋を訪れた
「すいませーん」





