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異世界の透明人間~魔道具を駆使する暗殺者~  作者: 城戸一
八章 魔道具を駆使する暗殺者
88/88

88 とある兵士からみた結末

 『夢見の帽子』という魔道具がある。


 就寝前に願い事を呟き、帽子を被って寝ると、願いを叶える方法を夢で教えてくれるという魔道具だ。


 そしてその魔道具は血統魔道具だといわれており、王に使えるとある一族の者しか使えないといわれている。


 通称夢見の巫女と呼ばれるその一族は、人目をはばかりながら王宮を出入りしていると言われており、実在するのかも定かではない。


 夢見の巫女を見た事があるという老兵の証言では白いフードを目深に被り、金の装飾を全身に纏った集団だという。


 先日、見覚えの無い白いフードを被った数名の集団が王の寝室を出入りしたのを目撃した後、我々兵士にとある命令が下った。




 それは町郊外にある建物を制圧せよ、という内容だった。



 その建物は近所に住むものなら誰でも知っている、ハウゼントゥルムという反社会勢力が根城にしている建物だった。





 今までもハウゼントゥルムという組織を制圧せよという命令は何度か下った。



 ハウゼントゥルムに関する我々兵士の成果はどれも芳しくない。


 例えばハウゼントゥルム討伐の命令が出たかと思うと、その命令を出した上司が翌日変死している。


 兵を出せば道中妨害に遭い、現場に辿りつくことも難しくなる。


 実際に兵を出し制圧に映ろうとしても、抵抗が激しく壊滅状態で戻ってくる、そんな事が続いていた。




 ハウゼントゥルムという組織の勢力は国の中枢まで伸びており、そんな組織を討伐することは不可能だ。



 今回の命令も今までと同じだろう、こちらにに莫大な被害が出て中止、もしくは延期になる。


 いつものパターンだろう。




 だが幸か不幸か、制圧前日まで妨害が入ることは無かった。



 これは兵を投入して壊滅状態になるという一番最悪なパターンだと覚悟し、その日の朝礼へと向かった。


 当日の朝礼で何名かの欠員がでた。


 おそらく彼らは妨害などに遭った訳ではなく、死にたくないので休んだのだろう。


 俺も休みたかったのだが、敵前逃亡は重罪だ、最悪家族にまで被害が及ぶ。


 今日ここに来る前に遺書を書いて家をでた、残った家族はせめて恩給で幸せに暮らして欲しい。


 そんな憂鬱な気持ちで兵舎をでた。






 結果として制圧はスムーズに成功した。


 対面したハウゼントゥルムの構成員はあっさりと降参し、こちらに被害がでることなく終わった。



 拍子抜けだった、ハウゼントゥルムといえば裏社会の頂点だ、武力も政治力も凄まじく、こんな数名の兵が出ただけの制圧作業なんかで捕らえられる組織ではない。


 だがその後も似たような命令が出たが、無事に制圧作業は成功していく。



 郊外にある建物を制圧せよ。


 隠れ家にいる怪しい人物を捕らえよ


 薬物販売をしている人物を捕らえよ。


 どれもハウゼントゥルムの構成員を捕らえるための命令だった。


 にも関わらず全て上手くいってしまったのだ。



 今までのハウゼントゥルムの影響力からは考えられないくらいの呆気なさだった。




 そんな中、捕らえたハウゼントゥルムの構成員を尋問していると、皆がある同じ供述をしているのが分かってきた。



 なんでも構成員しか居なかったはずの空間で、いつも間にか主な構成員が一瞬にして皆殺しになったらしい。


 何の前触れも無く突然にだ。


 今回の制圧作業が成功したのも、この事による命令系統の混乱が原因の一つだったらしい。


 にわかには信じられない証言だった。


 だが実際に同じような証言をする構成員は多数いた。



 一人二人と同じような証言が積み重なっていく。


 そうして兵士の中でもその戯言を信じるものが出てきた。



 いつしか噂は兵士だけに留まらず、街全体へと広がっていった。




 


 姿の見えない暗殺者、インビジブルキラーが存在すると。



八章完結です、九章はある程度完成してから投稿します。

文章力も投稿ペースもパワーアップして帰って来れればいいなと思っております。

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