元の世界へ vol.3
以前、カップルシート前で立ったままの俺とルーナ。かれこれ20分は経っている。先に座れをお互いに言いあっている状態だ。
「もう、お客さん!カップルなんだからさっさと座ってくださいな!よいしょ!」
女性店員が俺たちの背中を押す。
態勢がくずれる俺とルーナ。
気づけば俺がルーナに覆い被さっている状態になっていた。
(顔が…近い…やっぱカワイイな。)
お互いを見つめ合い顔が真っ赤になる。
「はいはい、お客さん。お熱いのは良いことですけど、そういう事はよそでやってくれませんか」
「お前がやったんだろ!!」
思わず2人でその店員にツッコミを入れる。
「まあ、お二人とも息ピッタリなんですね〜。メニュー置いときますので、ごゆっくり。」
店員はニヤニヤしながら去っていった。
「ちょっ、ちょっと、しょーた…いつまでこの態勢でいるの…」
恥ずかしそうに言うルーナ。
「わっ、悪りぃ。」
ルーナから離れ、お互いソファーに座る。
しばらく沈黙が続く。
まるで中学生の恋愛みたいにモジモジしている俺とルーナ。
(何だよこの感じ。もうお互い大人だろうが。こういう時は男から喋りかけないと。)
ルーナの方を向き、喋りかけようとした時だった。
”グゥー”
(何かの鳴き声?)
呆気にとられる。
”グゥー”
ルーナを見ると、恥ずかしそうにお腹をさすっていた。
思わず爆笑してしまう俺。
「笑うなバカ!そうだよ!お腹空いてんだよ!何が悪いの!!」
顔を真っ赤にして俺に言うルーナ。
さっきの気まずい雰囲気も消えていった。
「よし!ルーナ!好きなパフェいっぱい食べて良いよ!」
「うん…ありがと。」
そう言うと、ルーナはメニューを持ってどこかへ行ってしまった。しばらくすると、ルーナはメニューを持ったまま戻ってきた。
「ルーナ、何やってたんだ?」
「あんたには関係ないでしょうが!」
なぜか怒られた俺。
(関係あるだろ、普通に…)
「お客さま〜。お待たせいたしましたー。スペシャルイチゴパフェが3つとチョコレートバナナパフェ5つでーす。」
「おい、ルーナ!いくらなんでも頼みすぎだろ!」
「あんたが好きなパフェいっぱい食べていいとか言ったから、好きなだけ頼んでやったわ!まあ、1個ぐらいあんたにやるわ。」
女王様にでもなったかのように高笑いするルーナ。相変わらずの感じに、ため息しか出ない。
「あのーところで店員さん。スプーンが1つしかないんですが…」
疑問点に気づく俺。
「カップルシート限定サービスです!お互いに食べさせあってくださいね〜。ラブラブカップルさん!」
ウィンクをしてその場から去る店員。
そして、また何ともいえない気まずい雰囲気が流れたのだった。




