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元の世界へ vol.2


「ル、ルーナ!!」

思わず叫んでしまう。


「ルーナ?何を言ってるんだ、翔ちゃん。佐藤 瑠奈さんだぞ、伸ばさないんだよ。」

冷静に言う部長。


ちなみに、部長は、男性社員のことをアダ名で呼ぶ。俺も部署に配属されてそうそう翔ちゃんと呼ばれ続けている。


「すいません、部長。つい、テンション上がっちゃって…」

恥ずかしさの顔を真っ赤にし、頭を下げる俺。


「いいんだよいいんだよ。新入社員の翔ちゃんにも部下が1人できるんだからね〜。そりゃ、責任感も出るし、ますます仕事にヤル気が出るだろうしね!それに…瑠奈さんが美人ってのもあるんじゃないのか〜?」

笑いながら部長は言う。

部長の言葉に、周りの先輩方も笑う。

ホッとしながら、俺も作り笑いでその場をごまかす。


「じゃあ、瑠奈さん。翔ちゃんの隣の席が空いてるから、そこに座ってくれるかい。」

「はい、分かりました。」

ルーナが、部長に優しく微笑み、そして、俺の横の席に座った。


「佐藤さん…あっ、苗字一緒でしたね。翔太さん、これからよろしくお願いします。」

俺にも優しく微笑むルーナ。

ルーナの本性をしっている俺としては、そのおしとやかな雰囲気に、むず痒く感じる。


「おい、ルーナ。何だよ、この状況。」

小声でルーナに話しかける俺。


すると、ルーナは、履いてたヒールで、俺の足踏みつけ、グリグリとねじりながら

「ルーナ?何を言ってるんですか、翔太さん。私は、佐藤 瑠奈ですよ。もう間違えないでくださいよー。よろしくお願いしますね。ね!」

と冷めた目でニコニコして言うルーナ。


「あっ…はい。よろしく…お願いします。」

足の痛みに耐えながら言う俺。


「分かってもらえたなら良かったです。いろいろ教えて下さいね。」

ニコニコしながらルーナは、俺の足を踏みつけるのをやめた。相変わらずのドSっぷり。


それからは、コピー機の使い方や電話の取り方など、部署にきて、最初に教えてもらったことをルーに教えた。そして、俺とルーナは、新入社員ということもあり、定時に帰らされた。


エレベーターに乗り込む俺とルーナ。


「あー!もう疲れた!単調な作業ばっかじゃない!ほんとつまんない!あんた良くこんなことやってられんね!こんなん魔術使えば一瞬で終わるわよ。」

演技から解放されたように、ルーナが元の感じに戻る。


「疲れたじゃねーよ、ルーナ!何で俺の会社いんだよ!」


「あー、それね。一応、あんたをスカウトしたの私だから、あんたの監視役ってことよ。」

めんどくさそうに答えるルーナ。


(めんどくさいのはこっちなんだよ。)

ルーナを見ながら大きなため息をつく俺。


「なに?何か文句あんの?それよりも、今からパフェおごってよね。」


俺たちは、美味しいスイーツ店のあるところに向かった。


「いらっしゃいませ〜、お二人様ですか?申し訳ございません、本日、通常の席が満席でカップルシートなら空いておりますがいかがされますか?」


思わず顔が赤くなる俺。ルーナも同じ反応をしている。


「俺は、べっ、別に構わねーけど、ルーナは?」

冷静に振る舞おうと思ったが、思いっきり噛んでしまう俺。とことんダサい。


「かっ、構わないわよ…」


「かしこまりました〜、それではご案内しますね〜。」

サービススマイルを放つ店員さん。

何故か悪魔に見える俺。


そして、案内されたカップルシートは、明らかに密着しないと座れない2人がけの赤いソファーに、小さな丸テーブルが用意され、周りに見られないように仕切りがされてある。


俺たちは、ただ案内され瞬間、目が点になり、しばらくシートの前で立ったままだった。




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