表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/160

第70話 疑問点・・・


 昨日はなんて日だ。


 銀色の球で映し出された光景が今も目に浮かぶ。


 休んでいた間それしか頭に浮かばなかった。


 くそう、なんて狂おしいんだ。


 昨日放り投げた、銀色の球が私の前に戻ってきている。


 見ようか、昨日あの後どうなったか見なくてはいけないか。


 怖い、怖いな、私とはなんの関係もない獣人たちだけど、あんなに理不尽に殺されていくのが理解できなくて、とても苦しく思う。


 もし、あの猫獣人がローパーと出会ったら食料の対象になる。


 でも食料扱いだからあんな理不尽な殺し方はしない。


 食べる為に狩り殺す。


 でもそれって殺すことだから同じことではないのか?


 違う、違うんだよ。


 私は昨日見た光景と自分に照らし合わせて悩んでいた。


 答えなど出るはずもないのに。


 ・・・


 私は意を決して銀色の球を見はじめる。


 銀色の球には焼け焦げた森林が見えてきた。


 辺りは明るいな、昼間のようだ。


 この明るさは、日差しがかなり強く感じる。


 現世で言えば12時くらいのお昼ご飯にあたる時間帯ではないだろうか。


 昨日はあんな状態を見たので、どのくらいの時間帯で見ていたかも判断できなかった。


 明るく映しだされる光景には森林が燃え残り、火災は鎮火されている。


 どうして?


 あれだけの火災だ、たった1日で鎮火されるなんてありえないだろう。


 雨の降った様子もない、それに雨くらいでは消えるのは難しいと思うが。


 魔法か?


 魔法で消火するくらいしか考えられないぞ。


 それもこれほどの広さを鎮火できるとは、猫の獣人を襲っていた狼の獣人が鎮火したのか?


 いや、それは考えられないだろう。


 システム?


 もしかしてこれってなにかのシステムが働いていないか?


 先駆者が言葉を種族全般に話せるようにした魔法に類なるものが、世界規模で発動している。


 自然災害に対応する魔法とかあっても不思議ではない。


 あの森林火災は、そういった魔法を使わなければ鎮火するとは考えられないのだ。


 私が銀色の球で見ているように、管理者も見ているはずだ。


 なにより銀色の球の見える範囲が森林地帯へ変わったのだ、管理者が調整して私に見せている。


 管理者が見ていなくてはおかしいではないか。


 ・・・


 猫の獣人はどうなったんだろう。


 もしかしたら管理者が動いて、助けてくれたかも知れないな。


 淡い期待だが可能性はあるかも知れない。


 私は銀色の球の角度を変え猫の獣人があった集落らしきものを探す。


 くすぶった煙はまだ見えるな、この先だったか。


 集落らしい場所だったところが見えてきた、テントらしく張ってあった猫の獣人の家は無残にも焼け落ちている。


 あたりを見渡すが人影は見えない。


 ただ無残にも獣人の死体がところどころ散らばっている。


 死体の数は30や40どころではない。


 いくつあるのか、数えるのも嫌なくらい残されたままになっている。


 死体を放置したままなのか?


 あぁ、やはり夢ではなかったのだな、夢であると思ってほしかった。


 内心見間違えであると思って、0.1%とも無い期待を持っていたがやはり裏切られたか。


 これはやはり現実だったのか。


 ちきしょう。


 なぜ、こんなことになっている。


 地上界では何がおこっているのだ。


 森林火災は鎮火している、これだけの規模の火災がだ。


 鎮火したのはあきらかに何か大きな力が働いている。


 でも猫の獣人たちは無残に殺されている。


 他の猫の獣人はどうしたのだろう?


 生き残りがいるはずだ、まさか全員殺されたのか?


 それともあの狼の獣人に連れていかれたのかどちらかわからないが探してみよう。


 私は銀色の球の角度を変え集落を見渡してみるが人影は見当たらない。


 ただ無数の猫の獣人の死体だけが横たわっている。


 これって、一人残さず虐殺したのではないか、あまりにも獣人の死体が多すぎるのだ。


 これはやりすぎているだろう。


 この一件に何らかの形で管理者がかかわっているのは事実だ。


 なにか大きな力が働いているのにこの状況とは、助けられなかったのか、それとも助けてはいけないことだったのか。


 先駆者はこの世界の住人のこととは直接はかかわりを持ってはいけないと言う話をシュマちゃんから聞いた。


 直接はいけないという事は間接的になにかにかかわっていたのだろう。


 残っている管理者も同じだという事か。


 住人にはかかわってはいけない、けど世界の自然の気候とかはかかわれる。


 そうでなければあの森林火災が1日で鎮火することはありえないだろう。


 いろいろ頭に浮かぶ疑問点が出てしまい、パニック状態になってしまった。


 おかしな話だ、人間では無いモンスターの私が、精神的にまいってしまいパニック状態をおこしているとはな。


 落ち着け、落ち着こう、でもこれは私だけで解決できる問題ではない。


 そうだ。


 シュマちゃん、シュマちゃんだ。


 下の階層にいる、シュマちゃんだったら何か知っているはずだ。


 だが今は動けない、私には幼い子供たちがいる。


 出かけている余裕などあるはずがない、でも相談できる相手がシュマちゃんくらいしかいない。


 私では地上の事など解決策など出せる気がないではないか。


 見て見ぬふりをするのか?


 そんなこと、この銀色の球が目の前にあるのに無理だよ。


 捨ててもなぜか私の前に戻ってくる。


 この銀色の球を見るたび昨日の光景が嫌でも思い出す。


 どうしたら、どうしたらいいんだ。


 私が悩んでいると彼女が石片を持ってきた。


 子供たちがいるのに私のことをかまうとは、それだけ私はうろたえていたと言う事なのか。


 ローパーの彼女にも心配かけてしまうとは情けないな。


 でもそんな彼女を見たら少し落ちついたよ。


 このダンジョンで結構長くいっしょに暮らしていたからね。


 昨日見た光景もひどかったけど、このダンジョンでは私らは同じくらいひどい目にあっているからな。


 彼女だってそうだよな、生きているんだから生存競争であたり前に起きてることかも知れない。


 ただ前世が日本人で生きていた世界があまりにも平和だったから平和ボケしている頭が残っているのかも知れないな。


 戦争時は同じようなことあっただろう。


 知らなかっただけで世界のどこかで起きていたんだな。


 それが異世界でも同じだろう。


 でも、それでもあの理不尽なことは許されるだろうか。


 そこが甘い考えだけどどうしても許すことができなく苦悩している。


 頭を冷やそう、そしてもう一度考えてみよう。


 私は彼女の持ってきてくれた、石片をバリボリ食べてしまう。


 シュマちゃん、管理者、守護者!


 守護者か!


 この階層には守護者のドラゴンがいるのではないか!


 確か300年前人間界で許さざるべきでき事があった時、動いたのはこのダンジョンにいた守護者のドラゴンだったはずだ。


 確か名はシューティングゲイトと言う名前のドラゴンだったはず。


 今は帰ってきてはいないけれど獣人界の異変に気付けば動くかもしれない。


 それに新たに作られたダンジョンの守護者のドラゴンがこの階層にいるのではないか。


 もしかしたら、地上の事を何か知っているかもしれないな。


 シュマちゃんと話をしていた時、若い守護者のドラゴンの話が出たが、あいつも話せるって聞いたことがある。


 先にいた守護者のドラゴンが帰ってこなくなって300年なるが、守護者不在ではこのダンジョンがまずいので新たに100年位前に守護者のドラゴンが生まれたと言っていたな。


 管理者の意図を一番知りえる存在だとか話していた。


 でも、このダンジョンから出たことも無くあきらかに経験不足しているだろう。


 管理者に近いところにいる立場だとしても若すぎて理解できているのかも分からないな。


 この前見たら少し大きくなっていたけど、その前の段階では全力でいけば私でも倒せそうな気がしたぞ。


 冒険者もあの時、ドラゴンの幼生体とか言っていなかったかな?


 なんか心配な予感がある。


 この階層にいる守護者のドラゴンでなくても、地上にいる前の守護者のドラゴンがいるから動くかも知れないな。


 ただ、前の守護者であったドラゴンがどうして帰ってこなくなったかは定かでないと言っていた。


 予定ではすぐに帰ってくるはずだったと言っていたけど、


 もし私が地上に出るならば、探してみて見つかったら伝言をと頼まれていたな。


 伝言内容は(帰って来いという)一言だったけど、返答次第では討伐してもらいたいと言っていた。


 そういう物騒なこと言ってたので管理者と現在は連絡をとっているのだろうか?


 動く気配が、かなり薄く思える。


 この階層には守護者のドラゴンがいる。


 守護者のドラゴンだったら解決できるのではないのか。


 地上に何かあればもしかしたら出て行って解決してくれるかも知れない。


 そう考えると話に行ってもいいだろう。


 もし守護者のドラゴンが出ていくならば、その間このダンジョンは私が守っていればいいのであるしね。


 それではさっそくこの銀色の球を持って話に行ってくるか。


 それしかいまのところ打開策が浮かばない。


 とりあえず今日の狩りは彼女に任せて守護者のドラゴンのところに行ってみよう。


 この階層にいれば望遠透視能力ルビーアイ で子供たちも見えるしね。


 今日のことは彼女と相談しよう。


 彼女だったらわかってくれるはずだ・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ