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第60話 今後のこと……


 「シュマ〇ラス様」

 1匹の若いタコのモンスターが現れる。


 「どうかしましたか、ティラミス」

 「暴れまわっていた無法者、4名を捕らえました」

 「そうですか、それは良かったです。

 お客さまに大変失礼なことをしましたのですから、牢へ入れて置いてください。

 処罰は後日に決めましょう」

 「了解いたしました」

 「まったく大切なお客様が来ると話していたのに、思ったとおり因縁をつけて、返り討ちにあったのではないですか。

 それも戦いにもならない、あっさりとのされていましたね。

 これだから外に狩りにもいかないで、中にいる連中たちは困るのですよ。

 甘やかしていた私も原因ですが、今後はこのダンジョンの運営状況が変わります。

 若い連中を鍛えなおさないといけませんね」

 「変わりますとはどういうことでしょうか?」

 「ローパーのみつぐ様ですが、おそらくこのダンジョンから出て行かれるでしょう。

 そうなるとダンジョンの防衛に不備ができるということです。

 先日の侵入者の件で、私はあの戦いを一部始終見させていただきました。

 ここにいる誰よりもハイレベルな戦闘をおこなっていましたね。

 残念ながら、あの戦いでは私たちの防衛部隊ではまったく相手にはならなかったでしょうね。

 私はここから動けません。

 動けるとしたらあなたたちの防衛部隊です。

 あの時、侵入者に向かわせなくて良かったですよ。

 防衛隊でしたら一瞬の間に全滅ですね」

 「失礼ですが、まさかそのようなことは」

 「そうですかな? 

 あなたとみつぐ様では強さの桁が違いますよ。

 現に親衛隊のザポータが不意を突かれたとはいえ、一瞬でぼこぼこにのされたのではないですか。

 それも手加減されて、あのざまですよ。

 戦いに不意を突かれたという言い訳など通用しませんからね。

 上の階層で会っていれば、たちまち殺されて食われて終わりだったでしょうね」

 「……」

 「私はあの戦いを見ていたのですが、みつぐ様は一度負けているのですよ。

 それも桁違いな力を行使してね。

 今回、侵入してきた者たちには、神の血を宿していた者がいましたからね」

 「神の血ですか!」

 「そうです。 

 われらの先駆者が地上に残した者たちです。

 とてもではないですがあなた方ではまったく太刀打ちもできませんよ」

 「……」

 「今回の侵入者はどうやら、翼人が関与しているようですね」

 「翼人ですか」

 「懲りずにまたちょっかいを掛けてくるとはね。

 前大戦で痛い目を見た事を、忘れてしまったのですかね。

 先駆者の恩情で生かされていたというのに。

 本当にバカな連中ですよ。

 どうやらこの大陸の人間の後ろにいるのは翼人のようですね。                                 

 てっきり魔人がいると思っていたのですがね」

 「魔人ですか、300年前の戦いで人間を混乱に貶めたと言う」

 「そうです。

 あの戦いでわれらが秘密裏に大幅に狩りつくしましたからね。

 あなたも参加したでしょう」

 「はい、思った以上に人数がいて驚きましたよ」

 「残党がまだ残っているかもしれませんね。

 用心にこしたことはないでしょう。

 現在地上では臭獣人が暗躍しているみたいですね」

 「臭獣人ですか!」

 「獣神と名乗り裏から魔獣を操っているらしい。

 7年前に落ちついたと思ったのですが、勢力を蓄え、また動き始めたようです。

 その中にはわれらの先駆者たちが力を授けた獣人たちも参加しているみたいですね。

 まったく嘆かわしいことですよ。

 やつら異邦人が来なければ、先駆者たちとともに平和な楽園を築きあげていたはずですからね。

 それが原住民同士で争うなどもってのほかです。

 ともに前大戦で、この世界を守っていた存在なのですからね。

 先駆者たちがいればこんなことにはなかったはずなのですが、口惜しいかぎりです。

 ここは、みつぐ様にまかせるといたしましょう」


 …… …… ……


 「あっ、みつぐ様に大事なことを言うの忘れていました。

 ダンジョンへ出るのにいったっては、先駆者の張った結界は私の力で無効化できます。

 ですが翼人がわれわれを恐れて辺り一面に張り巡らした結界は、私でも解くことはできませんね。

 まぁ、大丈夫でしょう。

 みつぐ様でしたらなんとかするでしょうね。

 ティラミス、みつぐ様にこのことお知らせしてくれませんか?」

 「了解しました」

 「……。

 訂正します。

 先ほどの命令は取り消したいと思います」

 「わかりました。

 でもどうしてでしょうか」

 「みつぐ様でしたらなんとかできるでしょう。

 余計なお世話ですね」

 おそらくティラミスでは、伝えられる前にダンジョンのモンスターにやられてしまう可能性が高いですね。


 はぁ、この千年ほどほんとに甘やかしすぎましたですね。

 魔人の時もそうでしたがここにいるもの危機感がなさすぎです。

 魔人に対してはわれわれが絶対的に有利な攻撃を持っていましたからね。

 それだけなのですよ。


 「どうしましたか、シュ〇ゴラス様」 

 「いえいえ、なんでもないですよ。

 それよりも防衛隊の皆さまをここへ呼んでいただけないでしょうか。

 久々に私が直接、指導をしてあげたいと思います」


 …… …… ……


 うむ、最終階層まで調べたけど、私が思っていた話とだいぶ違ってきたような気がする。


 シュマちゃんは誤解していると思う。

 私が地上に出たいと思ったのは、前世が人間だったから地上に人間らしきものがいるのを興味を持っただけで、管理者の意思とか待ったく関係がないんだ。


 と言うか、そんな存在が居たなんて知らないし、まして神が存在するだなんて思ってもみなかった。


 管理者って言うのを初めて聞いたし、逆にこのダンジョンから私が出てしまえば管理者の意図に反していると思われ、私が討伐されてしまうのではないか?

 そうなるとたまったものではないよ。


 それに300年前にダンジョンから出たドラゴンがいるなんて知らなかった。

 ガゼルが言っていたのがまさかドラゴンだったとは。


 私と彼女が住んでいた階層にいたドラゴンは、管理者が防衛のために生み出された、新たな守護者なのね。

 あの階層に来た時ちょっかいを出さなくて良かったよ。

 危うく死ぬところだった。


 300年前に外に出たドラゴンが帰ってこないというのならば、今更戻ってくることはないだろう。

 単純に考えてもそれくらいはわかる。


 そう考えると決定事項でドラゴンを討伐しなくてはいけないではないか。

 シュマちゃんも結構きついことを言う。

 たぶんわかってるはずだよ戻ってこないことは。


 うーん、面倒なことに巻き込まれてきた。

 とりあえずどうしようか。


 まぁ、母親ローパーがいる階層でしばらく様子を見てから、彼女のいる階層へ戻ってみよう。

 ゆっくりでいいや、落ち着いてから改めて考えてみる。


 …… …… ……


 母親ローパーがいる階層へ戻ってきた。


 透明能力インビジブル望遠透視能力ルビーアイで気配を消していけばモンスターがいたって問題なく進める。

 これは安全でいい。


 戻ってきた階層の階段近くの部屋につがいになっているローパーがいるのを見かけた。


 もしかして母親ローパーが生んだあの時の子供か?

 大きくなっていて、赤と青の模様の入った2匹のローパーがいるのだ。


 成人したのか、透明能力インビジブルで姿を消し近くで見ていたら特になにも警戒していないでいる。

 やはりあの時にいた子供たちのようだ。 


 どうやら私の事は見えている。

 やはり望遠透視能力ルビーアイが普通に使えるのね。

 なんで私は最初から使えなかったのだろう。

 大幅に損をしていた。


 無事で生き残っていたので安心した。

 母親ローパーがいた部屋にむかおうとする。


 そういえば、ちょうどこのエリアは巨大スライムが荒らしていたところだ。

 階層を変えなくても、ここを縄張りとして生きていくなら問題はないだろう。


 気になるのは、子供は3匹だったはずだが、もう1匹はどうしてしまったのだろう。

 赤のも模様が入っていたので雌だと思ったのだが、無事でいるのだろうか?


 広範囲索敵で検索して、望遠透視能力ルビーアイで確認しよう。

 おっ、無事にいつもの寝床部屋にいる。


 安心した、それも2匹いる?

 母親ローパーと一緒にいるらしい。

 雌は一緒にいてもいいのだろうか? 雄は駄目なんだよね。

 ローパーの生態がわからないんだ。


 上の彼女とのも行動生態も違うしな。

 無事なのを確認できたから別にいいか、深いことを考えてもどうせわからないのでやめておこう。


 ここの階層にローパーの4匹がいるのだから、母親ローパーも少しは安心だろう。


 …… …… ……


 母親ローパーが寝床にしている部屋についた。

 部屋に入ると母親ローパーが気づいていたらしく、石片を持ってきてくれた。


 石片を持ってくるのが、あいさつみたいなものか。

 でも、突然帰って来たのだから、モンスターでもこういうふうに受け入れてくれるのは嬉しいもんだ。


 突然に来て、縄張り争いで揉めることは嫌だもんな。


 猫を前世で飼っていたけど、生まれた兄弟でも成人すれば縄張り争いでけんかして追い出すんだ。

 追い出された猫はどこかで飼われるか死んでしまうのだけど、雌猫が家にいるとたまにふけて帰ってくるが、その時は猫同士の大げんかでうるさくて困った時があった。


 3日くらい猫の唸り声が一日中あったからね。

 3匹くらい余所の猫も集まってうるさかった。


 そう考えるとローパーの世界は、受け入れてくれるのだからいいのだろう。


 少しだけ階層にいさせてもらって、安全を確認したら彼女がいる階層に戻ろうと思っていた。

 けれど、私は面倒なことをおこしてしまった。


 母親ローパーから、石片をもらって食べて、一休みするように端のほうで休んでいたら成人した雌のローパーがやってきたのだ。

 私に近づき、体から触手を出し全身を触るのだ。


 これは、前に彼女とやったことと同じではないのか?


 私の体からコントロールができない触手が出てしまった。

 雌ローパーの触手と絡んで、彼女と同じことになってしまったんだよ。


 うぅぅ、これはやらかしてしまったのか。

 でも、自分の意思ではどうしようもなかった。

 ローパーの生態だから仕方がない。


 この階層を移動しようと思っていたけど、どうやらできなくなってしまった。


 まぁ、地上にはどのみち、行くことを考えてないのでしばらく考える時間があってもいいだろう。


 …… …… ……


 この階層は、だいぶ安全になっているみたいだ。

 ダンジョン防衛に関してはどうかなと思うけど良い事だろう。


 モンスターの数は増えてきたけど、成人したローパーでは問題なく生活できそうだ。


 あの巨大ヒュドラと巨大スライムが食い荒していたんだ。

 下の階層でもあのような特別に強いモンスターはいなかったから通常に戻ったと言っても良いのかな。


 あれ、もしかして巨大ヒュドラと巨大スライムって守護者のモンスターだったのか?

 まさかあれほど獰猛どうもうだと、知能がないみたいだったから、やはり異常だったのだろう。

 それに守護者が死んだのなら新たに生まれて来るのだろう。

 気にすることはないさ。


 …… …… ……


 適当に時間を過ごしていたら、雌のローパーが子供を生んでしまった。

 やはりローパーの生殖行為は、特別な触手を体内に取り込んで生まれるらしい。


 子孫を残せる強いローパーかどうかを、雌が見きわめて相手を選ぶのかもしれない。


 子供は3匹ほど生まれてきた。

 一度に生む数は3から5匹くらいだ。


 まぁ、子供たちが狩りができるようになるまではこの階層へいよう。

 追い出されてしまう前に、うまく気を見て去るとしようか。

 今回は親も居るので私は別の部屋で見守っていよう。

 望遠透視能力ルビーアイがあるので問題なくわかる。


 …… …… ……


 子供たちも大きくなり、狩りも十分できるようになった。

 今回は雄が2匹で雌が1匹だった。


 母親ローパーも一緒になって面倒を見てくれたので子育てが楽だったようだ。

 ローパーは雌同士だったら問題なく行動してもいいらしい。


 私が居なくても十分だろう。

 明日、階層を移動しようと思う。


 この前と同じように非常食用の倉庫を入れ替えておく。

 非常食を新たに入れ替えて、休み終えてから起きてきたら母親ローパーが大量の石片を私に持ってきてくれた。

 やはりわかっているみたいだ。


 石片を食べて、奇声を出す。

 みんなに聞こえるように。


 「行ってきます」

 みんな、わかっているみたいで快く送ってくれた。


 もうこの階層には来られない気がする。


 望遠透視能力ルビーアイを使って、母親ローパーの顔ずっと階段の行くところまで見つづけてしまっている。


 本当にこれで最後のお別れかもしれない。

 でも他のローパーも増えたし、近くに仲間がいるから安心できるだろう。


 「それじゃ母さん、さようなら」


 私は階段を上がる前に一言だけ言って登っていく……

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