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第59話 管理者……


 私は休憩を終えて起き出して来る。


 おなかが空いたので、空間収納魔法アイテムボックスから石片とモンスターの死骸を出し食事をはじめる。


 現在、扉をくぐった真逆の壁側にいるが、ここから扉のあった空間を見てみると何もない風景しか見えない。


 まぁ、20キロメートル以上あるんだけど……

 上の階層もこのくらいあるのかな?


 望遠透視能力ルビーアイで見ると扉がわずかに見えるのだけで普通に見てみるとほんとに何もない空間が続くようで怖ささえ感じられる。


 と言うか、望遠透視能力ルビーアイで20キロほどの先も見えるのね。


 外周りを30キロ以上は歩いている。

 望遠透視能力ルビーアイで確認しながら歩いているので時間がかかる。


 どのくらい時間が経過しているのかわからなくなっている。

 もともと体力が続くまで動いているのだが、今までも時間の経過などわからなかったが余計に混乱をしてきた。


 あまりにも何もない空間で、物音ひとつも聞こえない。

 まるで別世界に来ているような感じがする。


 このなにもない空間を、中央に向かって進んだらどうなるのだろう?

 外周りを歩いているならまだしも、中央へ歩いていたら正気じゃいられない気がする。


 この空間はそれだけ広く何もないことが怖すぎるのだ。


 …… …… ……


 何もないのか、望遠透視能力ルビーアイで細かく見ているのだが壁、床、天井、まったく持ってなにもない。


 床面は擦れた跡と、窪みとかがあるので、巨大な何かがここにあったということだけは推測される。


 何もなさそうだから帰ろう。

 シュマちゃんから情報を聞けたのでそれだけでも大きい収穫だ。


 帰ってから今後の事を決めよう。

 調査はここまでにすることに決めた。


 それでも、この場所から扉のところへ戻るのに数十時間いやそれ以上かかっているのだろう。

 帰りは望遠透視能力ルビーアイで調べるのをやめるか。

 普通に歩いていけばそれなりに早く帰れる。


 …… …… ……


 ふう、やっとついたか、私は扉のところに帰ってきた。


 結局気になってしまい望遠透視能力ルビーアイで途中、調べながら帰ってきた。

 でも、やはり何もなかったんだ。


 はぁ、疲れた。

 おなかも空いたし、上の倉庫の階層で休んでから帰る。

 扉は自動で閉まったようで今は開いてはいない。

 私が近づくと上に開きはじめ、通れるようになる。


 この金属のカードをなくさなくてよかった。

 なくしたら大変なことになっていたよ。

 未知の領域に入るのはそれなりに怖い。


 私は倉庫の階層で一端休む。


 …… …… ……


 休みを終え起き上がる。

 シュマちゃんにこのカードを返却しにいかないといけないか。


 追加でお話が聞きたいんだよね。

 上階に登りシュマちゃんがいた部屋に戻ろうとする。


 戻ろうとした帰り道で、タコのモンスターにまた声をかけられた。


 なんか殺気だっているけど、どういうことになっているのだろう。

 でも弱そうな殺気だし、特に怖いとは思わなかった。


 私がここへ来ているという事は、お話が通っていると思うのだがどうしてだろう。


 見た目は普通のタコのモンスターなんだよね。


「おう、兄ちゃん、うちの若いもんが世話になったそうだな。

ちょっと面貸しな」

 おいおい、若いやつだけではなかったのかよ。


 こいつ普通のタコのモンスターに見えるのだけどヤクザもんか。


 因縁をつけてきたな、さて、どうしようか。

 まぁ、殺してもかまわないといっていたので、面倒なのでここでつぶしておこうとする。


 …… …… ……


 面倒なので言いがかりをつけてきたタコのモンスターに後ろをついて来る振りをして、不意打ちで頭を殴打した。


 半殺しにして壁ぎわに放置しておいた。

 殺してはいない、問題はないだろう。


 と言うか、弱すぎないか、不意打ちくらいでくたばるとか、なんか実戦経験がなさそうなやつらだ。


 例外なのはシュマちゃんだけなのか、あの雰囲気と威圧は間違いなく本物だ。


 本当にこのダンジョンを守護するのに大丈夫かなと心配になってしまった。

 まぁ、いいやそれよりもシュマちゃんのところへいかないといけない。

 

 …… …… ……


 ここだったか、案内された部屋は。


 部屋に着いたのはいいが、どうやって声をかけていいのか、わからなくなってしまった。


 モンスターってどうやって声をかけるの?

 ? マークが頭の中をこだまする。


 外でうろうろしているとちょうどシュマちゃんが帰ってきた。


 あぁ、良かったどうやって声をかけていいのかわからなかったから助かった。


 モンスターだから、どうすればいいのかわからないんだ。


 とりあえず、シュマちゃんに扉のキーの返却と特になにもなかったことを話そうか。

 部屋の中に入れてもらい話をする。


 …… …… ……


 下の階層は、特に何もなかったことを話す。


 それと若い3人組にからまれたのと、先ほど1匹、半殺しにしたモンスターがいたことを話しておく。


 「そうでしたか、やはり無法者に会いましたか」

 この階層で問題を起こしているチンピラ連中で、私が痛めつけたことを喜んでいた感じがしていた。


 ダンジョンについて、再確認してみる。


 「ダンジョンについて、気になったことがあります。

 お聞きして宜しいでしょうか」

 「私でわかることでしたら何なりとお聞きください」

 シュマちゃんはあいからわず礼儀正しく答えてくれる。


  私は率直に聞いてみる。


 「このダンジョンは地上の世界で奈落のダンジョンと言われているらしいのですがご存じでしょうか」

 「存じております。

 先駆者が去ったあと、その名で呼ばれはじめましたね。

 私もその名で呼ばれるのは大変心苦しいと思っているのですよ。

 せっかく先駆者がこの大地を守るために働いていたというのに」

 「率直に聞きますが、このダンジョンの名前ってもしかしたらジェラシッ〇パークと言われていませんでしたか?」

 「!」

 「ぁ、大変失礼なことを言ってしまったのかもしれません」

 「どうしてその名をご存じなのですか?

 その名を知っているものはわが一族でもごく一部の者しか知っていないのですよ。

 もしかしてあなたは管理者の声を聞いて、こちらへ来られたと言うのですか?」

 まさか本当に名前があっているとは思わなかった。


 それよりも管理者とはいったい何者かと聞いてみたくなった。


 理由がわからないが管理者と言う言葉を聞くとその部分だけ記憶が曖昧になってしまったのだ。

 だから最初に聞きたかったが聞き出せないでいた。


 ジェラシッ〇パークの名前については、たまたまなぜか思ってしまったと答える。

 管理者と言う者は知らないと話した。


 「なるほどそうでしたか、もしかしたらローパーの中に眠っている血の記憶がこのダンジョンの名前を言いあてたのかもしれませんね。

 あなたの言うとおり、このダンジョンは戦争がおきる前は、ジェラシッ〇パークと呼ばれていたそうです。

 私も詳しいことは知りませんが、先駆者がそう呼んでいました」

 「先ほど言っていた管理者とは何者ですか?」

 「管理者についてですが、それについては先駆者がいました時から、この世界を管理、調整しています存在だと聞いております。

 私も声だけは聞いたことはあるのですが実際に会ったことは御座いません。

 300年前、このダンジョンからドラゴンが出たことを話しましたよね。

 あれは偶然ではなく管理者が意図的にドラゴンを出したのです。

 ドラゴンは管理者の意思を聞いて人間のおこないを裁きに地上へ訪れたのです。

 あの当時は人間社会は他の種族を弾圧し、この大陸を支配しようとしていました。

 それほど人間は高慢で先駆者の与えられた力に自惚れていたのです。

 このダンジョンからドラゴンを刺客と言う形で管理者が出したのです。

 ドラゴンは一度人間社会を滅ぼしました。

 また人間を操っていた存在も消えました。

 管理者がおこなったのでしょう」

 「人間を操っていた存在ですか?」

 「この世界には自ら神を名乗る存在が複数います。

 神を名乗る存在の1つが消えました。

 おそらくドラゴンによって抹殺されたのでしょう。

 管理者は人間を操っていた神を名乗る存在の抹消が目的だったと考えられます。

 世界のバランスを乱すものを駆除したのでしょう」

 「駆除ですか?」

 「そのとおり、駆除です」

 「なんて言っていいのかわからないですが難しい話ですね

 管理者とは地上を争いをなくすために動いている存在と言っていいのでしょうか?

 この世界を守るために先駆者が残した遺産という存在で、そのように解釈していいですかね?」

 「そうですね、そうとも考えてもいい存在だと思います。

 どこにいるかはわかりません。

 どのような存在かもわかりません。

 ただ、われらを見ている事は確かで、先駆者のかわりにこの世界を見守っている事は確かです」

 うーん、まるで意思のある管理コンピュータープログラムみたいだ。


 人工知能のような存在がこのダンジョンにあるのか?

 ゲームでも裏設定で動いている存在みたいなやつだよね。


 最終的な大ボスでなければいいんだけど……


 記憶が管理者について曖昧だったけど、今になってはっきり記憶できるようになった。

 もしかして管理者が見ていて、何かのプロテクトを外したのか?

 そう考えてならないのだけど気のせいか。


 「なるほど、管理者という存在がいるのですね」

 「私の憶測する限り。

 あなたはその管理者から何らかのアプローチを受けているはずです。

 もしかしたら地上界でなにかあったのかも知れませんね」

 「! いやー、そんなことはないでしょう。

 私はその管理者の声など聞いたことがないのですから」

 「それは私にもわかりません。

 あくまで私の憶測の話です。

 ただ、強い意志を感じられるのでしたら管理者からのメッセージかもしれませんね。

 あなたは先日私に話しをされた事で地上のことが気になると言っていましたね」

 「確かに気になりますが別の意味で気になるというか、メッセージなど聞いたことはないし」

 私は言葉を濁す。


 だって違う意味で気になっているのだ。

 まさか転生してモンスターになったなんて言える訳もない。


 前世が人間だったから、同じ人間がいる地上に興味があるなんてとても言えない。

 

 「いずれ、管理者からメッセージがあるかもしれません」

 「はぁ、難しいところですね」

 「ええ、私もそう思います」

 「今は、いくつもりはないのですが、時が来たら行ってみたいと思っているくらいですよ」

 「感じられるのは管理者の意思がはたらいているとしか言えませんね」

 「私が地上に出ても良いのでしょうか?」

 「それが管理者の意思でしたら全く問題がありません。

 いや、行くべきだと思います。

 管理者の意思でしたら、入り口に張ってある結界も容易く通れるでしょう」

 「入り口に結界、ああ、確かガゼルが言っていましたね」

 「このダンジョンには先駆者が張った結界があり、ダンジョンのモンスターは出ることができません。

 だが一定の条件さえ整えば簡単に出られるのです。

 それは私たち一族が管理しているのですが、あなたが持っている扉の鍵も、このダンジョンを出られる条件の一つになっています」

 「あ、そうだ。

 これを返さないといけません。

 お返しするの忘れていましたよ」

 「それはあなたが持っていてください。

 あなたには、その資格があります」

 「こんな大切なもの私は持っていると怖いです。

 現に下の階層でなくしたら出られなくなるかもしれないって怖いと思いましたからね。

 それにこれは先駆者からの大切な預かりものですよね。

 管理すると決められたのはあなた方なので、その責任はあなた方にありますから、私が使うことは許されないでしょう。

 これはお返しします。

 有難うございました」

 お礼を言って金属のカードを返した。


 「そうですか、資格はあると思うのですがそういうことでしたら仕方がありませんね。

 いつでも必要になったら言ってください

 私の権限ですぐにお貸しできますよ」

 「有難うございます」


 …… …… ……


 「もし、地上へ行かれるのならば、一つ伝言を頼めませんか」

 「はいい?」

 「地上へ行った時にドラゴンへ伝言をお願いします。

 守護者のドラゴン、シューティングゲイトに戻ってくるようにと」

 「守護者のドラゴンですか?

 それに私は地上へは行きませんよ」

 「もしもの時です。

 300年前に、本来は戻って来ているはずなのですが、いまだに帰って来ていないのですよ。

 ダンジョンに守護者がいないのは問題があるので、防衛手段として新たに守護者のドラゴンを作りました。

 現在ではなんとか防衛は維持されていますが、まだ生み出されて100年足らず、今回の襲撃の件で心配になりました。

 それに正直、シューティングゲイトが何を考えているのかわからないのですよ。

 もし、帰って来ないというならば、あなたの手で討伐してほしいのです」

 「えぇぇ、そんなこと絶対無理ですよ。

 それにまだ、地上に行くとは決めていないです。

 ドラゴンて強いですよね、私では倒せませんよ」

 「あなたなら倒せます、私にはわかります」

 「はぁ、そうですか。

 あくまで、地上に出られた場合と言うことでしたら、お引き受けします。

 でも帰ってくるよに伝えるだけですからね」

 「よろしくお願いします」


 …… …… ……


 「長居させてもらってすみません。

 そろそろ私は帰りたいと思います」

 「いつでもいらしゃってください。

 お待ちしておりますね」

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