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第57話 シュマちゃん……


 下の階層に降りはじめたが、特に変わった様子はなかった。


 一応、全エリアを移動して、降りる繰り返しだ。


 モンスターの種族が変わるが極端に変わったモンスターが出ることはない。

 どちらかと言うと、爬虫類系のモンスターが多く存在している。


 特定に強いモンスターはいなかった。


 私が生まれた階層が稀であそこまで強いモンスターはいなかった。


 残念なことに同じローパーの種族には会えていない。


 もしかしたら繁殖ではローパーは稀な存在かも知れない。

 ダンジョンからリポップして生まれてくるのも極端に少ないらしい。 


 上の階層にいた彼女は、繁殖ではなくダンジョンから生まれ出て来たモンスターだと思う。

 ダンジョンにどんな設定をされているかわからないが、少なく数を調整されているらしい。


 現在、母親ローパーがいる階から8階ほど下に降りている。


 下の階層を降りる階段前の壁に数字を刻んだのだが、この下から何かとてつもない威圧のようなものが感じられる。


 あきらかにやばい雰囲気だ。

 行ってはいけないと私の中にある何かが警鐘を鳴らしている。


 最終階層まで調べると決めたので行ってみようと思う。

 私は警戒を全開にしながら下の階層へ進む。


 …… …… ……


 下の階段を降りたら、1匹のモンスターが立っていた。

 ! この姿には見覚えがある。


 とある有名な映画、格闘ゲームで見たことがあるモンスターだった。


 体の中心に大きな目があり、8本のタコの触手があるモンスターだ。

 そのモンスターはタコの足を2本、人のように立ち、規律の良い姿勢で私の方を見ていた。


 こいつはやばい、相当強いぞ。

 今までこのダンジョンであった中で一番だ。

 間違いない、体の奥底から身奮えがしてきた。


 私はそのモンスターを直視してしまった。

 驚いたことに、タコの容姿をしたモンスターは私に話しかけてきた。


 「私の名はシュマ〇ラス、この階層へなにかご用ですか」

 ちょっと待てい、その名前をいっちゃ駄目だろうが……


 私は一瞬、ツッコミたくなってしまった。


 しかし、冷静に頭を切り替え返答する。

 

 「あぁ、これは失礼いたしました。

 私の名はみつぐと言います。

 このダンジョンの異変に気付きまして調査をしている者です」

 「それは失礼しました。

 上の階層で何やら侵入者が来たらしく心配して、ここで警戒をしていたのですよ。

 どうやらあなたは討伐隊のものですね」


 「討伐隊?

 討伐隊かはわかりませんが、侵入者と戦いまして撃退はいたしました。

 他の侵入者がまぎれ込んでいないか心配になって別の階層も調査している最中です。

 この階層に来たのは調査のためでして、あなたの縄張りに入ってしまったことは不謹慎でした。

 どうぞお許しください」

 「なるほどそういうことでしたか、別に階層へ入ったことは気にしていませんよ。

 同じ管理者から防衛のために創られた私たちです。

 気にすることなど御座いません。

 どうやらあなたは討伐以外の命令をくだされてはいないようですね。

 ですからこんな下の階層まで来られたのでしょう。

 この階層にはわれわれが管理しているから侵入者は来ていません。

 ご心配は御座いませんよ」

 「どうやらそのようですね」

 「はい、ご心配など御座いません。

 それよりも侵入者の事を私は詳しく知りたいのですが、教えていただけませんでしょうか?

 立ち話もなんですし、客間までご案内します。

 宜しかったらお聞かせください」

 管理者? 客間? どうやら断れる雰囲気ではないので話をした方がいいな。


 それにこちらとしてもこのダンジョンの情報をしりたい。

 話をうまく合わせ情報を聞きだそう。


 「わかりました。

 現在の状況と他にしりたいことがあります。

 私の知り得る事で答えられることでしたらなんでも話ます。

 どうぞお聞きください。

 私も知り得たい事が御座いますので、もし知っている事柄でしたらお教えていただけませんでしょうか」

 「わかりました。

 ご案内します。

 こちらについて来てください」


 …… …… ……


 言われたとおりに細心の注意を払ってついて行った。


 あきらかに上層にいたモンスターと違う。

 と言うか、まったく別の生き物に感じられる。

 宇宙人? と思ってしまった。


 …… …… ……


 シュマ〇ラスに案内された部屋についた。


 ダンジョン内に造られた部屋だが、真ん中にテーブルのようなものがある。


 石材でできていて表面が鏡のように磨かれている。

 自分の姿が映るほどきれいに磨かれているのだ。


 おいおい、自分の姿がみえたぞ。

 なんて凶悪な姿をしているんだと、一人でツッコミをいれてしまった。


 「どうぞ、ここでおくつろぎください。

 話をする前に軽い食事でもどうでしょうか」

 まるで人間とのやりとりみたいだと思ってしまった。


 とりあえず軽い食事と言っても何を出されるかわからないので断っておこう。


 「いえいえ、お気を使わなくても結構です。

 お聞きしたかった事があるのでしょう。

 そちらの話をしましょう」

 「そうでしたか、それは失礼しましたね。

 それでは、気が早いですが侵入者の件をお聞きしたいと思います。

 よろしくお願いします」

 私は侵入者(冒険者)のことを、包み隠さず話した。


 シュマ〇ラスは話を聞いてくれて納得してくれた様子だった。

 それよりもまるで見ていたように知っている感じがしたのだ。


 「なるほど、それは災難でしたね。

 あなた一人で撃退するとはたいしたものです。

 本来は私たちが出向いて対処するつもりだったのですが、遅れてしまいました。

 あなたは管理者から命令を受けて行動してはいなかったのですね。

 まさか先駆者の意思を継いでいる者が居るとは思いもよりませんでした。

 ! いえ間違えでしたね。

 このダンジョンに居る者たちは先駆者の意志を継いでいるのでしたね。

 長い時を過ごしてきたので意志が反映されていないと勘違いしていました。

 お手をわずらわせて、誠に申し訳ご座いません」

 「先駆者とはなんでしょうか、私は自分の意志で行動したのですがなにか別に理由が私の行動にあったのでしょうか?」

 「なるほど、自分の意志で行動ですか。

 この遺跡の中では先駆者の意思を受け継いでいる者たちです。

 あなたが理由がわからなく行動したのは、先駆者の意志を尊重したのでしょう。

 血が薄れてしまいはっきりとした管理者の命令は聞き届けていないようですね。

 しかし行動は示されたのですよ。

 歴代の血を受け継いできたおかげで、管理者の命令でなく本能でやり遂げたと思います。

 あなた方ローパーの一族は、私たちと同じ遺跡の番人でしたからね」

 「はぁ、先駆者の意志ですか?」

 「おっと失礼、先駆者でしたね。

 私たちを創り出した者たちの事です。

 この世界では古代神と呼ばれていましたか。

 現在、私たちを作り出した古代神はこの地を離れております。

 いずれ帰って来た時のために私たちはこの遺跡を守っているのですよ」

 「そうでしたか、私たちを創った者たちは、この地を離れているのですか、残念に思います」 

 「いつになるかわかりませんが、私たちは帰ってくるのを待っています。

 それまではなんとしてもこの遺跡を守りとおさねばなりません」

 「そうでしたか」

 「侵入者の件で私の聞きたいことはだいたい聞けました。

 有難う御座いましたね。

 あなたがしりたい事があれば、私でお分かりになるようでしたらお答えできますよ。

 どうぞご遠慮をなく、ご質問をしてくださいね」

 「そうですか、それでは私も遠慮をなく聞きたいと思います。

 聞きたいことがたくさんありますが、よろしいでしょうか」

 「ええ、大丈夫ですよ。

 みつぐさまが侵入者を撃退してくれました。

 私も暇になってしまいました、時間はあります。

 今までもずっと暇は持て余しているんですよね。

 どうぞ遠慮なくご質問をしてくださいね」

 そう言う事なら聞きたいことを遠慮なく聞いてみる。


 どうせ暇をしているのだろう。


 まずはこの、ダンジョンが造られた理由。

 このダンジョンは何階層まであり最終階層はどうなっているのか、地上への出入りのこと。


 それに侵入者のガゼルに聞いた300年前にこのダンジョンから1匹のモンスターが出てしまって地上界で大暴れしたこと。

 現在地上を治めている神という存在のこと。

 侵入者アレスが持っていた神剣のこと、アレスが持っていた神の血ということ。


 私が思いつくありとあらゆることを聞いてみた。


 シュマ〇ラスというモンスターは知っていることを全部教えてくれた。


 現在、地上を治めている、神のことと神剣のことは知らないと言う。

 ただの神の名を名乗る侵略者がいると答えた。


 どうやら唯一の神は自分たちを創った者たちだけで、他の神の存在を認めていない様子だった。

 それより侵略者とは物騒な事だ。

 地上ではなにものかに侵略されていることになっているらしい。


 その他にも答えられることはできるだけ聞いた。

 おかげで情報が多く得られた。


 そしてダンジョンの最終階層に行く手順も教えてくれて、入るのを許可してくれたのだ。


 最終階層には行ってみたかったので、私は受け入れてくれたシュマ〇ラスには感謝した。

 ここから2階ほど下の階層にあるらしい。


 シュマ〇ラスは話す。

 「これをお持ちください。

 この石板は下の階層に入る鍵です。

 これを持っていますだけで自動で入れますよ。

 そうそう、この階層の住人には私からあなたのことお話しておきますのでご安心くださいね。

 ですがちょっと問題がありまして、実は若い連中に跳ねっかえりの者たちがおりまして、あなたのように強いよそから来たものを敵視するものがいます。

 その時はどうぞご構いなく、痛めつけてやってください。

 死んでも私ではいっさい追及はしないのでお気になさらないで結構ですよ」

 「はぁ、でも私がけがをしたらどうするんですか」

 「ご謙遜を、あなたでしたら若い連中など片手であしらえますよ。

 私にはわかります。

 現に私では勝てないと思っていますからね」

 「それこそご謙遜ですよ。

 私もこのフロアに来た時には、あなたには勝てないと思いました」

 「ははは、それではお互いさまですね。

 私はあなたと戦わないことを約束しますよ」

 「私もあなたと戦わないことを約束します」

 「そうですか、それでは、私のことはシュ〇ゴラスとお呼びください」

 「うむ、シュマちゃんでは駄目ですか?」 

 「! あはは、いいですよ」

 「それでは私のことは、みっちゃんと呼んでください。

 どうでしょうか?」

 「わかりました、みっちゃんと呼ばせていただきたいと思いますね」

 私は体から触手をだし握手を求める。


 シュマちゃんはタコの足を出し私と握手する。


 「これで私たちは友達ですね」 

 「そう、そうですね」

 シュマちゃんは嬉しそうに答える。


 「いやー、何千年ぶりですかね。

 こんな気持ちになるのは、愉快、愉快ですね」


 嬉しそうにシュマちゃんは答えた……

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