第42話 融合……
状況は最悪だ。
神剣と回復魔法が使えるから持ちこたえているだけだ。
起死回生の良い手が浮ばない。
浮かぶとしたら危険な上位魔法の超重力圧縮魔法を使い、虚空へ吸い込んで消滅させるくらいしか思いつかない。
それしかないのか?
使ってしまうか、でもあれって最上級の危険魔法だぞ。
! そうか、何も危険な上位の魔法を使わなくてもいいか、私にはまだ上位魔法で使用できるのがあるのだから。
上位インプが持っている魔法の指輪のシールドを打ち破ればすむ事だ。
打ち破ることはできなくても、近くにいるノーマルインプを倒して数を減らせれば状況は変わるかもしれない。
そうなると範囲魔法が有効か、しかし、上位無属性衝撃破魔法が無力化されてしまった。
それ以上の魔法になると、雷龍魔法、それも神剣で魔法を付加し威力を上げればいけるかもしれない。
でもバオ〇・ザケル〇ってあれも魔界でやばい魔法なんだよな。
イメージで同じにしてしまったので魔力を上げて放つとどうなるかちょっとだけ怖い感じがする。
ここは雷の連弾で押しきった方がいいような感じがするな。
多段ヒット系攻撃だとシールド効果も弱まるかもしれない。
それに、魔法の連弾を受けているのだ、仕返しもしたい。
それじゃ、やってみるか。
インプから連続魔法攻撃が来るが、そんなのかまわず、魔法を唱えるのに集中する。
神剣をつかい魔法付加を上乗せする。
インプたちの激しい攻撃魔法で、魔法バリアがほぼ無効化されてしまっている。
大きな触手に当たり、1本焼き切れ、また一本貫通し千切れて落ちてしまう。
くぅ、私はぼろぼろになってきたが、魔法のイメージができ唱える準備ができた。
それではいくぞ。
「雷連撃弾魔法」
目の前に直径8メートルはある巨大な雷球 が現れた。
普通だったら3メートル、それでもかなりの大きさだと思っていたが、神剣の魔法付加で倍以上とは、ここからが反撃だ。
目には目を、歯には歯を、魔法連弾には魔法連弾を、雷連撃弾魔法全弾発射だ。
目の前の巨大な雷球が光り、80センチはある雷玉魔法がインプたちめがけ連続で発射する。
雷玉魔法は連続的につながって一本の線のように飛翔しながらむかっていく。
インプたちに当りはじめた。
「ドドドドドッ、ドドドドドッ、ドドドドドッ、ドドドドドッドドドドドッ、ドドドドドッ、ドドドドドッ、ドドドドドッ、ドドドドドッ、ドドドドドッ、ドドドドドッ、ドドドドドッ、ドドドドドッ」
連続で雷玉魔法が発射された。
目の前で見ていると雷のガトリング銃が連続で発射されている様子のようで、近未来の電磁兵器を発射しているような感じがする。
その光景は圧巻と言っていいほどだ。
インプたちに向かった雷玉魔法は分散し連鎖的に当たり天井で爆発しはじめた。
天井一面が雷の放電状態になってしまい激しくスパークしている。
直径8メートルほどあった雷球は雷玉魔法を発射しながらゆっくりしぼみながら消えていった。
…… …… ……
うむ、難しいことを考えていないで最初から雷連撃弾魔法を使っていればよかったな。
威力がすさまじいのはわかっていたのだがどうして使わなかったのだろう私って……
インプたちの数が多すぎて冷静さを欠けていたのかな、子供たちが気になっていてそればかりだったしね。
まぁ、なんでもそうだけど突然あることは、目の前が見えなくなって間違えが多く出てしまうものだよ。
あとから気づいていつも後悔するんだけどね。
でも今は後悔できるだけいいかな、後悔できるってことは次ができるってことだからね。
死んではもともこうもない。
この異世界では非常なのだ。
…… …… ……
私は神剣を通して回復魔法を使い自身を回復させる。
大きな切れた触手は元に戻っていないが、だいぶ体力が回復できた。
8本ある触手は4本失い、半分になってしまったか、きつい戦いだっだ。
おっと、まだ戦いは終わっていない、油断、慢心は禁物だ。
! まさか私が今言った言葉が『フラグ』じゃないよね。
たぶん気のせいだ、気のせいに決まっている。
このあと何かイベントがある、そんなことは有り得ない話しさ。
とりあえず、天井上部にいたインプがどうなったのか確認しないといけないな。
天井上部はいまだ雷で激しくスパークしている。
私は索敵を使い調べてみると、うそ、マジで……
あの激しい雷の中に1匹ほどインプが生きているよ。
索敵であきらかに存在が確認できる。
それもインプとは思えない感じだ。
なんなんだあれは、ちょっとまてフラグが更新したのか?
新たにイベントが追加されたのかよ、そんなのいらないよ勘弁してくださいよ。
…… …… ……
天井の雷の放電は治まって見えてくる。
そこには大柄なインプ? 別の黒い存在が浮んでいた。
あれはインプではない。
というかどこからどう見ても違う。
というかはっきり言えばデーモンだ。
身の丈3メートルはある巨大なデーモンが浮いている。
どういうこと、ホワイ? もしかしてインプが進化した。
いやいや、ないない、それはないでしょう。
あぁ、そうかダンジョンから前に出てきた、ユニコーン・ラビットと同様に天井から発生したんだ、たぶん。
その可能性も考えられると思うのだが……
あぁ、これは違うな、デーモンの両手には右手に赤黒い水晶球と左手には青いクリスタルを持っている。
それに加え黒い分厚い胸辺りに指輪と同じ青白く光っていたものがあるよ。
これはやってしまったのかな、私はやってしまったのか。
いわゆるインプが融合させて進化してしまったってやつを。
…… …… ……
そんなことがあるのか、異世界だからあったりするの?
いやー、間違いだ、気のせいだよ、きっと気のせいだよ、
ダメージを受けすぎて幻覚が見えているだけかもしれない。
まずはゆっくり冷静になって心を落ちつかせて考えよう。
…… …… ……
ふぅ、考えたが、どこからどう見ても目の前には巨大なデーモンしか見当たらない、さてどうしたものか。
さっきは後悔がどうのこうのと考えていたけど、今まさに後悔しているところだよ。
雷連撃弾魔法は神剣を通して使っちゃいけなかったんだ。
いやまだだ、まだこちらにはまだあれがある。
もうあれを使おう。
「ブラック……」
超重力圧縮魔法を唱えようとイメージした瞬間、天井に浮かんでいたデーモンらしいモンスターが消えた
そして目の前に現れた。
これは瞬間移動魔法か。
巨大なデーモンは私にむかい殴ってきた。
とっさに私は触手で受けとめる。
「ドスン」
何とかパンチを受け止められた。
受け止め、反撃で他の大きい触手を使い殴りつける。
大きい触手でおもいっきり殴った。
「ドガン」
デーモンを殴り壁側まで吹っ飛んでいった。
壁にぶつかりデーモンは倒れている。
すぐさま魔法を唱える。
「光弾魔法」
「キューイーン」
魔法は直撃したようだが効いているかは不明だった。
私が今使える光属性の攻撃法を放った。
デーモンだから光属性魔法が効くと思ったのだ。
残念ながら光属性攻撃魔法はこれしか覚えていない。
他に強力な魔法があるので神聖、光魔法は回復の魔法あれば良いと思ったのでイメージしなかったのだ。
くぅ、悔いが残る、光属性も新しい攻撃魔法使えるよにしておくべきだった。
雷の中に普通に居たんだ、雷系の魔法は効かないと判断できる。
他に有効な攻撃があるのか私にはわからない。
倒れていたデーモンはゆっくり立ち上がり首を左右に振っている。
そして両手に持っていた赤黒い水晶球と青いクリスタルを口に入れ飲み込んでしまった。
これはやばいな、私の危機管理センサーが激しく鳴っている。
魔法の効き具合が悪い、それに瞬間移動魔法が使える。
幸い進化がしたてで体が思うように扱えないのかもしれない。
それが今のところの救いかな。
神剣をかざして戦うしかないか、神剣の力をフルに使わないと勝てそうになさそうだ。
これは本当にやばいよ、やばいよ……




