第41話 祟り……
「シュン」
上位インプが瞬間移動をした?
「スパン」
「ぼとり」
「痛っ」
? 私の大きい触手が切り裂かれ、目の前に落ちた。
バカな、狂戦士化状態で、それも硬質化しているんだぞ。
それに上位無属性状態異常打撃魔法を食らって、ほとんどのインプが状態異常で動けないはずだ。
それなのになぜ?
上位インプが短剣を持っている?
瞬間移動して、私の触手を切り裂いたやつだ。
! 別の上位インプから魔法を使う反応がある。
見ると、上位インプは両手をあげて巨大な黒い炎の塊を出している。
直径3メートルくらいの黒炎球だ。
私にむけ投げつけてくる。
投げつけてきた巨大な黒炎球は、スピードはゆっくりだが、弧を描いて落ちてきた。
私は俊足を使いすばやく回避した。
「ドバシュンーン、ボン、ボン、ボボン」
しかし、床面に落ちた黒炎球は爆発し、辺り一面を黒い炎で焼きつくす。
私は巻き込まれ、大ダメージを負ってしまった。
くそう、なぜこんなことに……
私は神剣に回復魔法を使い、回復付加を与え、効果を倍増し自分の傷を治す。
回復魔法の効果が上がって、戦える状態まで回復したが、切り裂かれた触手までは再生はしなかった。
? どうしてだ。
状態異常で床に伏していたインプが回復して傷まで治ってしまっている。
インプたちは一カ所に集まり臨戦態勢を整えている。
残り数23匹、でもどうして状態異常から回復した。
死にかけていたはずだ。
上位インプが使った、私の触手を切り裂いたスキル、魔法?
それに上位の魔法らしき黒炎球の魔法だ。
インプはこんな強い攻撃方法を持っていたのか?
短剣を持っていた上位インプがいた。
それに魔法を使った上位インプの手に赤黒い水晶玉を持っている。
もう1匹の上位インプの左手が青白く光っている、指のところか?
青白い光がやんだ、左手の中指辺りに指輪をはめている。
まさかエンゲージリングではないよね。
これってもしかして……
私は集まっていたインプたちが何かを仕掛ける前に魔法を唱える。
「上位無属性衝撃破魔法」
を唱えた。
インプたちが集まっている中心に巨大な魔法力の塊が出現し、爆発した。
「ジュバーン」
インプたちに無属性魔法の衝撃破が襲う。
上位インプが前に割り込んできた。
青白いクリスタルを持ち、抱えあげた。
上位無属性衝撃破魔法の衝撃破は霧散かされシールドのような膜に弾かれた。
魔法無効化魔法の効果で打ち消されたのか?
いや、違うバリア系の魔法で防がれたのか?
……あぁ、そうか、そういうことか。
上位インプたちはアイテムを持っている。
アレスたち冒険者が持っていたアイテムなのか!
4匹のインプは魔法のアイテムらしいものを持っている。
冒険者との戦いでインプが倒した、盗賊と女魔法使いを持ち帰った時に手に入れたアイテムだな。
冒険者が持っていた装備とアイテムを使っているということか……
くそう、冒険者どもめ、こんな時まで祟られるとは、まったく理不尽さこの上ない。
冒険者のアイテムが手に入ったせいで上位インプは私に勝てると思って挑んできたのだ。
これはさすがにやばいかもしれない。
…… …… ……
短剣を持っている上位インプが私に振りかざしてきた。
振りかざした短剣は、風の刃が発生し、こちらへむかってくる。
私はとっさに触手で防御する。
触手に無数の切り傷が入る。
先ほどではないが、鋭い風刃の攻撃らしい。
なるほど、なんとなくわかってきた。
あれは風属性を持っている短剣だ。
それも魔法を付加して、風の刃を発生する類のものだろう。
上位インプのスピードもあがっている。
先ほど瞬間移動だと思ったが、短剣の能力で素早さがあがっているのかもしれない。
! 短剣を持っている上位インプの魔力が著しく下がったように感じとられる。
魔力を使う短剣なのか。
魔法を使ってきた上位インプも魔力が下がっているな。
それにあの、赤黒い水晶球にも見覚えがある。
女魔法使いが持っていた杖の先端に赤黒い水晶球がついていた。
それを取り外したものだろう。
杖は確か魔法力を上げるのに使われるという装備だが、それを使って魔法力を倍増させ魔法をはなったのだろう。
それであの魔法攻撃ができたのか、納得ができる。
もう一匹の上位インプが青白いクリスタルを持っている。
女性神官が持っていた、杖についていたものだ。
杖を拾って持ち帰っていたのか。
おそらく、防御バリア系を発生させる効果を持っているアイテムだろう。
それも魔法無効化魔法の効果付与付きらしい。
魔法無効化魔法にしては弱い効果だが、バリアと両立している能力があれば破格な効果が得られる。
私の魔法攻撃が知らないまに無効化されていたんだ。
触手にかけた雷撃がまったく効果がなかったのでおかしいと思っていた。
そしてもう一匹のインプ、左手の指に指輪を付けている。
女魔法使いが持っていたアイテムだろうな。
おそらくは状態異常を回復する、私が使うキュアオールの魔法の効果と同じだろう。
インプたちは傷を全員回復して復活した、もしかして回復魔法の効果も付いているのではないか?
それもエリアヒール、いやリジェネートだったか?
確か、女性神官が唱えた、徐々に回復をするって魔法。
私には使えなかっ魔法だ。
そうとしか考えられない。
まったくあの冒険者たち、余計なものを残してくれたもんだ。
チート、チートアイテムを持っていたのかよ。
神剣を持っている私が言うのもおかしいが、モンスターにチート級のアイテムを持たせちゃ駄目だよ。
ロクなことに使われないよ。
それもモンスターの魔核を加工して作られたアイテムのような気がする。
嫌な感じだ、まったく……
上位インプたちはそれなりに魔力があるようだけど、先ほどかなりMPが減ったように感じた。
もしかしてアイテムの使い方に問題があるのかもしれない。
私の触手を切り裂いたり、高ダメージの魔力球をはなってきたからな。
そうなると、MP切れをねらうか、そうはうまくはいかないか、さてどうする。
ブラック、 駄目だこれは使えない。
超重力圧縮魔法の魔法は強力すぎて無理だ。
前回の冒険者たちが来たあの時は、半ば私は切れていた状態だった。
今は少しは落ちついているので、超重力圧縮魔法の怖さがわかる。
今は怖くてとても使えない。
不確定要素がある空間魔法だ、
それも超重力圧縮魔法を失敗したら対処ができない。
それに魔法無効化ができるアイテムがあるならば打ち消されてしまうか心配だ。
私の後ろには守るべき彼女と子供たちがいる。
無理して危険な魔法を使うべきではないな……
魔法無効化領域魔法を使って魔法を封じて戦うのはどうだろう。
私の神剣と同じでアイテム効果で魔法が使えるかもしれないしな。
それにあいつら物理の戦闘能力も高い、数で押されてはこちらには不利な感じがする。
こちらの魔法がとけてしまうのも痛すぎるか、今は特に狂戦士化中だからな。
インプの数は23匹まで減っている。
上位インプ4匹とノーマルインプ19匹だ。
3分の1以下まで減らしたんだ、なのに冒険者が持っていたアイテムのせいで状況が変わってしまった。
良い案が浮かばない。
! 残りのインプたちが総攻撃を仕掛けてきた。
それも狙いは私ではなく結界が張っている彼女たちにむけられ攻撃してきた。
私は彼女たちの前に立ちふさがり防御を固め、触手で攻撃を受け防ぐ。
インプたちは火炎球魔法と闇槍魔法を使って連続的に魔法を撃ってくる。
「ぐうぅ」
ちきしょう、魔法攻撃が貫通してくるのが何発もある。
持ちこたえるのは難しい。
大きい魔法は撃ってこない、MPを気にして戦っているのかよ。
小さい魔法攻撃を圧縮して使っているみたいだ。
今度は魔法攻撃でサンドバック状態かよ。
一方的に殴られるばかりで嫌になる。
…… …… ……
私は魔法攻撃を受けぼろぼろの状態になる。
くうぅ、回復魔法だ。
神剣を使い回復魔法に付価させ、効果量大で回復する。
傷の回復はしたが、魔法の攻撃を受けすぎだろう。
痛みで変なもんに目覚めてしまったらどうするんだよ。
今は痛いだけだけど、気持ちよくなってきたらやばいな。
痛みをごまかすために、脳がアドレナリンと痛みを和らげる信号をだしてきたらやばい兆候だぞ。
あっ、私って脳みそはあるのかな?
魔核が脳みそのような気がするけど違うのかな?
今はそんなことを思っている場合ではないか。
非常に苦戦中である……




