第39話 誕生……
そうか、そういうことか……
私は急遽、臨戦態勢をおこなう。
確かに、こういう時こそが一番に狙われやすいんだ。
索敵で半径300メートルくらいの範囲に、モンスターが集まりはじめている。
かなりの数だ。
この感じは見に覚えがあるよ、あいつらか、こういう機会を狙っていたのか……
まぁ、私みたいのがこの階層で増えると困るんだと思うけど、このタイミングで仕掛けてくるとは、なかなかあざといな。
人間でもそうはいないんじゃないかな、いや過去にはそれ以上の事をしていたのか、過去ではないな、海外ではそういう地域はまだあるからな。
残念だが今はここは動けないか、厄介だが守らねばなるまい。
もし、私の子供が1匹でやつらに狩られてしまったら、私はおまえらの種族を1匹残らず滅ぼすよ。
ただのローパーだったらあきらめてしまうけど、私はもともと人間だから、恨みがましいし、ひつこいよ。
そこが他のモンスターと違って一番厄介なところだと自分でも思っているところだからね。
…… …… ……
しばらくして、彼女の様子が変わった。
背中の部分から大きな触手を出しはじめた。
形状がまったく違う、らせんのはったパイプというべきか、まあ比喩が悪いかもしれないが、洗濯機とかに排水溝に取り付けてある曲がるパイプのでかいやつみたいなものだ。
もしかしてその部分から出して生まれるのだろうか?
床面に大きい触手をつけている。
苦しそうにしている。
私は心の中で頑張れ、頑張れとつぶやく。
少し時間がたってから、触手のパイプの先端が開き中から赤ちゃんが生まれてきた。
1匹、また1匹、たて続けに生まれてきている。
「おぉ、やった、生れたぞ、生れたぞ」
私は日本語でしゃべってしまった。
…… …… ……
5匹ほど誕生した。
…… …… ……
さてと、こんなおめでたい時になんて無粋なことをする。
それともわざわざ、お祝いに来てくれたのではないよね。
私の寝床部屋近くに無数のインプたちが集結していた。
7匹の上位インプが引き連れてきたようだ。
まったく、こんなおめでたい日に仕掛けて来るとはね。
おまえたち、ここから生きて帰れると思うなよな……




