第18話 復活……
私がボコられてからかなりの時間が過ぎている。
アレスは気を失ってしまう。
冒険者たちはアレスを気遣って私の方は放置された状態だ。
私は運が良いのかどうかわからないが、全力で体内からの回復に努めている。
魔核が回復するようにイメージを流しながら意識を集中している。
体、全体に力が入るようになってきた。
それとかなりの魔力が使えるような感じがする。
やはり魔核が私の生命活動に何らかの影響を与えているみたいだ。
今でも回復魔法を使えば走れるくらいに回復しそうな、魔力量が体内から感じられる。
大部屋の位置はここから70メートルくらいか、これはうまくすれば何とかいけそうな希望が見えてきた。
アレス君もう少しゆっくり寝ててもいいからね。
…… …… ……
アレスが目覚めた。
目覚めたアレスにティーナが声をかける。
「アレス、体調はどう」
神官ティーナが眼に涙をためながら心配そうに声をかける。
「ああ、もうだいじょうぶだ」
アレスは笑いながら返事をする。
「そう良かった」
ティーナも笑う。
「リーのことは残念だったな」
騎士クラインが呟く。
「ああ、せめて亡骸を葬ってやりたいが」
みんなが惜し黙る。
…… …… ……
「で、このローパーをどうするんだ」
盗賊ディーノが話、私の方を冒険者たち全員が見る。
「まだ生きているみたいね。だいぶ萎んでしまったみたいだけど」
「なぜ、生きているんだ」
「魔法生物だからね、魔核を壊さないと死なないのよ」
「この状態は大丈夫なのか?」
「心配ないわ、これだけダメージを受けていたら魔核も傷ついている。
何より萎んでしまっているでしょ、ほおっておいても死んでしまうわ」
「ああ、そうだな、だがとどめは刺しておこう」
勇者アレスは立ち上がり、私の方へ近づいて来る。
冒険者、全員が私のまわりに集まりはじめる。
…… …… ……
うむ、とどめを刺すとは物騒な……
だけどアレス君、君が長く眠っていてくれたおかげでこちらはだいぶ魔力が回復したよ。
こちらの裏技を使えるぶんと、回復魔法の回復量分は余裕にできるだけの魔力は回復している。
あとは裏技を使って撹乱し、すぐに回復魔法で回復、俊足使って大部屋に逃げ込む。
それができれば上出来だ。
私はそこで死ぬかもしれない。
こいつらも道連れだ。
と言うか、こういうやつらは生かしておいてはいけない。
人間の立場だったら考えつかないかもしれないが、モンスターになった立場で考えると冒険者って本当に略奪者とかしか思えない。
人の住処や縄張りに勝手にはいってくる。
人間の立場だったならば、家の庭のようなものだな、それを土足で入るしね。
モンスターは生きるため、食べるために、殺すのだがこいつらはあきらかに違う。
楽しんでいるとは言わないが、自分の欲のためにここまできたのだろう。
この階層まで来たのだ、上の階層でも被害は出ているだろうな。
こんなやつらを生かしておけば、ダンジョンのモンスターの殺戮し放題だろう。
ある意味、こいつらはいかれている。
こんなやつらは放置できない。
…… …… ……
ふぅ、おかしいな、相棒のローパーの彼女の顔を思い出すよ。
なぜなんだろうな?
…… …… ……
私のまわりに冒険者たちが集まって来た。
アレスが神剣を抜く。
私に近づき神剣を頭上にかかげる。
ちょうど良い、全員が集まったな。
ここだ、ここしかない。
目には目を裏技には裏技を。
アレスは神剣を頭上に掲げたまま、冒険者たちはこちらを見ている。
いまだ、太陽拳いや違った。
雷光拳だ。
「…… …… ……」
私の体から強烈な閃光を発生させる。
雷の魔法を応用して光の放つ漫画から知識を得たオリジナルのスキルだ。
すでにモンスターで実験済みだ。
効果は敵面でモンスターには効いている。
…… …… ……
冒険者たち全員がまともに光を受け眼をおさえ倒れ込む。
私はすかさず自分に回復魔法を唱え体を回復させる。
よし、体が動くようになったぞ。
俊足を使い大部屋へ逃走する。
いまだ逃げるぞ、全力で、大部屋へ逃走をはかる。
足は遅いが動いている。
これならいける
…… …… ……
「クソー、あのモンスターが、やりやがったな」
眼を最初に回復した重戦士ガリウスが叫ぶ。
フルプレイトメールで全身をおおい、兜を被っていたので光のとどきが悪かったらしい。
「追うぞ」
盗賊ディーノも回復したようで声を掛ける。
2人はいち早く私の後を追う。
「ティーナ、大丈夫か」
「ええ、なんとか大丈夫よ、アレス」
ティーナは他の冒険者に回復魔法をかける。
回復魔法の魔法効果は体力回復および、ランダム状態で異常を回復する魔法だ。
能力が高い術者が使うと高い確率ですべての状態の異常が回復する。
全員の回復が終わったようだ。
「それじゃ、みんな後を追うぞ」
…… …… ……
走る、走る、これほど私は走ったのは前世でもなかった。
走りながら回復魔法をかけながら進む。
少しでも動けるようにするのだ。
よし。大部屋に到着した。
中に入れたか。
重戦士ガリウスが追い付いてきた。
剣を抜き、私にむかって振り下ろされる。
あぁ、死んだな私……
そう思った瞬間に、炎のブレスが重戦士ガリウスに襲いかかった。
重戦士ガリウスが炎に焼かれ、もだえ苦しみ倒れこむ。
続いて部屋に入ってきた盗賊ディーノが辺りを見渡す。
そこには1匹のドラゴンがいた。
「ドラゴンだと」
盗賊ディーノが叫ぶ。
「バカな、俺の索敵にはそんな反応はしなかった?」
そう言ったとたんに盗賊ディーノの手首が落ちる。
「うぉー、俺の手が」
そう言って手首を上げる。
その瞬間に盗賊ディーノの足もとから、無数のモンスターが現れ、鋭い爪で全身を切り刻みはじめた。
首が切られ、体から転げ落ちる。
上位インプが7匹ほど姿を現す。
あとから追いかけてきた冒険者たちが入ってくる。
先に入った2人と目の前にいるドラゴンを見て驚愕する。
「バカな、レッドドラゴンだと」
剣士のギドが叫ぶ。
「ええ、体は大きいけど幼生体ね。
子供のドラゴンだわ、それにインプがいるわね」
魔法使いオーウェスが言う。
「ディーノがディーノが、それにがリウスまで」
神官ティーナが喚く。
「ああ、残念だが」
勇者アレスは悔し気に唇を噛んでいる。
倒れている重戦士ガリウスを見て、騎士のクラインが助けに向かう。
向かった矢先にレッドドラゴンがファイヤーブレスを吐いた。
騎士クラインは炎にまかれ倒れこんでしまう。
…… …… ……
ふぅ、なんとかここまでこれたか、私は少し安堵する。
立ち上がり辺りを見渡す。
冒険者の3人が倒れていて、1人は首を切られ死んでいる。
形勢は変わったかな、と言うか、最初からここへ来ていれば良かったのではないのか。
でもアレスが裏技を持っているので、全員がかりで戦っても勝てなかったのかも知れない。
チート能力を持つアレスを疲弊させた。
それでオッケーという事にしよう。
ではこちらも本格的に回復といきましょうか。
私は上位範囲回復魔法を唱えできるだけの回復をする。
「ちょっと、どういうことよ」
魔法使いオーウェスが叫ぶ。
私が上位範囲回復魔法をかけて回復してしまったので驚いているようだ。
まぁ、触手はないけど体長は2メートル近い大きさまで戻っている。
上位範囲回復魔法のおかげで、体からだせる触手も復活したようだ。
魔核の回復を願ってよかった、回復のイメージしか思い描いていなかったがそれがあっていたようだ。
それに魔法も使える。
あとは頭部に3本ある触手、それが私の今のメイン武器だ。
仕切り直しだ。
なんとかここまでこれたんだ、あとはどうにかなるだろう。
あ、でもドラゴンとインプは襲いかかってこないよね……




