第17話 死戦……
あれ、アレスという剣士、様子が変わったのだけど? どうしたの?
体の中から黄金の光を出し輝いているぞ。
赤い髪の色が銀色に輝き、逆立っている。
目が赤く光り、強大な魔力を放出しているのだ。
どこかで読んだ漫画のキャラに似ているのだが気のせいだろうか。
……スーパー〇〇〇人?
これってやばくない、私はとっさに間をあける。
…… …… ……
「みんなこっちだ早く来い」
盗賊ディーノは冒険者の仲間たちを下がらせている。
他の冒険者たちは何が起こったのかわからないが、アレスの異常さを気づいて盗賊ディーノの誘導に従い後ろへ下がる。
「ティーナ、防御結界を張ってくれ」
「ええ、わかったわ、でもアレスが」
「アレスは良い、早く、早くしろ」
盗賊ディーノに促され、神官ティーナは冒険者の仲間たちに防御結界を張る。
「ディーノなにがおこったの?」
「神の血、神の血だ」
「神の血?」
「そうだ神の血だ。
アレスは神の末裔といわれているのを知っているな。
太古の神々の血を宿しているんだよ。
このダンジョンに入れたのもアレスの血のおかげだ。
ダンジョンに入る前、俺たちは魔法の儀式をおこなっただろう。
アレスの血を使って特殊な魔方陣を組んで、書いた羊紙を体内に組み込まされているだろう。
そのおかげでこの奈落のダンジョンに入れたんだ」
「それは、わかるわ、でもそれがなにかあるの?」
「キレてしまったんだよ」
「キレた?」
「ああ、アレスはキレてしまったんだよ。
俺は前にあいつがキレたことを、見たことがあるんだよ。
仲間が殺されたきっかけで、あいつがキレてしまい暴走したやつをな」
「暴走した?」
「ああ、仲間が目の前で殺されたんだ。
それも目の前で食べられ無残に殺された。
それでキレて目覚めてしまったんだよ、神の血とやらがよ」
「そんな」
仲間はそれを聞いて一斉に静まり帰る。
…… …… ……
こ これは、やばい、やばいってもんではないよ。
私の戦う相手がスーパー〇〇〇人とかシャレにならないよ。
それもどう見ても最終形態だよな、あれって……
逃げよう、とにかく逃げよう。
冒険者も下がった。
今だったら逃げられる。
私は逃走をはかる。
「ドゴッ」
私の体が吹っ飛び天井に当たり落下する。
「ベチャリ」
うぅ、あれ、どうしたんだなんかに当たったけど?
空中に浮かんで落ちた気がしたのだが気のせいだよね。
私は立ち上がる。
目の前にはスーパー〇〇〇人が立っていた。
くそう、こうなったらやけくそだ。
私は全触手を使って攻撃する。
「シュパン、シュン、シュババ、シュバン」
「ボト、ボト、ボト、ボト」
私が攻撃をする前に、神剣で一瞬の間に触手が切りさかれる。
くそー、電撃の槍でもくらえ。
「雷撃双槍撃魔法」
アレスの頭上に無数の雷の槍が出現した。
一斉に降り注ぐ。
「キュバ、シュ、バリバリバリ、ドシュン」
雷の槍がアレスを直撃するがまったく効いてないみたいだ。
「うぅ、ちくしょう」
私は最後の手段で腹の中から消化液を出しアレスに吹きかける。
先ほど食べた女盗賊のバラバラに崩れた亡骸もでてきてしまう。
アレスにひっかかった。
「貴様」
「ドゴ、グチャ、ベチャ、ドゴ、グチャ、ベチャ、ドゴ、グチャ、ベチャ、ドゴ、グチャ、ベチャ、ドゴ、グチャ、ベチャ、ドゴ」
私はサンドバック状態で、しばらく殴られ続けた。
攻撃がやんだ? 生きている?
ダメージのせいで体が収縮して瀕死の状態だ。
生きているというのが不思議なくらいだった。
…… …… ……
勇者アレスが元の姿に戻る。
勇者アレスの様子がおかしい。
元に戻ったのだが、戻ったと同時に口から胃の中のものを吐き出している。
苦しそうに、もだえ倒れてしまった。
勇者アレスが元に戻ったとわかったので、冒険者たち仲間がかけつけてくる。
神官ティーナが勇者アレスにむかって回復魔法をかけるが、なぜか回復はしない。
神官ティーナは「どうして」と問いかけるが、「神の血のせいだ」と盗賊ディーノが答える。
それしか言いようがないようだ。
「大丈夫だ、しばらくすれば回復するよ」
…… …… ……
なぜだ、私はまだ生きている。
あれほどの攻撃を食らったのに、瀕死の状態だがはっきりした意識はある。
体は萎んでしまい、触手はアレスに切られなくなっている。
確かローパーは魔核を破壊しなければ生命活動は止まらないといっていたな、それに関係しているのだろうか。
あの攻撃で魔核が傷ついてしまったのか、スライムは魔核が傷つくと生命維持のために分裂して別れるが、ローパーはどうなんだろう。
とりあえずどこまで動かせるか確認だ。
頭部の大きい触手は全部切り落とされてしまった。
頭上の触手、24本中3本が残っている。
3本残っているがまったく動かせないな、体から無数に出せる触手も無理か、! 足、凹凸の部分は動く?
少しだけ動かせるぞ、でも数メートル進めるかもわからないくらい力がはいらない。
魔法力はどうだろう。
おぉ、なんとか使えるみたいだこれは幸いだ。
これでなんとか回復魔法が使えそうだ。
でも、今、使用したら見つかって即処分されるな。
いまのところ冒険者たちはアレスが倒れこんでいるのでそちらに気がいっている。
こんな状態の私など気にしていない。
これは不幸中の幸いか体内から回復をできるならばやってみよう。
そうだ魔核だ、魔核は回復できるのだろうか?
どうせ何もできないのならば魔核を回復するよう集中してみよう。
スライムも再生はするんだ。
私もできるかもしれない。
どの道この状態では死んだも同然だからな。
私は眼の奥にあるとされる、魔核に集中して回復のイメージを送る。
今はやらないよりはましだ。
あとは通路の確認か。
大部屋に行くのはここから70メートルくらいか、なんとかそこまで行ければ、私は戦えそうにはないけどあいつらが何とかしてくれる。
あんな危険な人間、生かしておいてはいけない。
絶対にだ。
回復するかわからないができたら、最後の手を使ってみるか、たいした手ではないが、それが効かなければ終わりだ。
今は回復することに全力で注ごう……




