対峙
「貴様、人の忠告が聞けん様だな」
男は手に持った槍を構えた。
アレンは辺りを見回し、男達の距離を測る。騒ぎを聞き付けて集まって来た奴を含め、6人がアレンの周りを囲む様に陣を取っている。相手の関係性を見ていると、先程から喋っている男が隊長の様だ。
「貴様まさか、この人数を相手にすると言うのか? フンっ、とんだ馬鹿者だな」
そう言いながら、隊長格の男は槍をアレン目掛け振り下ろす。それを横に避けると、近くにいる別の男が槍を突き出す。間一髪の所で後ろに回避する。
他のものは距離を保ったままで、円形の陣を崩さない。6人で一斉に襲いかかるより確実に仕留めれる陣形だ。
どこからか1点を突破し、まずは陣形を崩すか。
アレンはそう考え、体の中心に魔力を溜め始める。
「雷魔学破ノ段・雷々球!」
アレンを中心とし、球状に電撃が放たれ6人全てが感電した。
それを見てすぐさまに隊長格とは反対側にいる男の首に掴み掛かると、直接電撃を放ち失神させ持っていた槍を奪った。
そのまま男達と距離を離す様に後ろへ下がり、円形の陣を崩すことに成功した。
「……凄ぇなアレンの奴」
近くの家屋に身を潜めながら見ていたカザロは漏らした。
隊長格の男がこちらに向かってくる。
「貴様、まさか魔法を使えるとは驚いたぞ。しかもこれ程の威力を出すとは……しかし1つ過ちを犯したな」
男の言う「過ち」について考えたが、それらしき事は思い当たらない。これが最善の1手であったはず。……ならば奴のハッタリか?
そう思った時、突如として視界が霞始める。
こ、これは!? 魔力、魔力が枯渇する時の症状に似ている。
しかし何故? 相手はその様な魔法も、何か攻撃もして来なかったはず。
考えを巡らせている中に痛みが走る。それは手からだった。
槍? この槍が原因か!?
アレンは槍をその場に投げ捨てた。
「ほう、判断が早いな。並の者なら敵を目の前にして、武器を捨てる選択は中々しないものだからな」
ふらつくアレンに、隊長格の男が迫って来る。




