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デモンズ・ゲート  作者: 梅
第3章
36/50

食と住2


 振り払う双剣は7mほどの高さがある白木を、根本から見事に切断した。静寂な森の中に、木と木がぶつかり、擦れる音だけが鳴る。


 「流石に切れ味がいいな」


 手元の双剣を眺める。

 普通の剣なら木を切るなんて事は不可能だろう。風の魔法に包まれ、切れ味が驚くほど上がっているこの双剣だからこそ出来る事だ。


 次に近くに生えていた黒木も切り倒そうと剣を振る。

 こちらは硬いと言われている事もあり、一振りで切り倒す事が出来ない。それに剣と木が当たった時に、なにか違和感を感じた。

 それは何かに似ているが、今は思い出せなかった。


 三回、四回、五回。

 やっと木が倒れる。切断面は先ほどの白木とは比べ物にならないくらい汚い切れ方だ。


 白木は続けて何本か伐採し、板状に加工していく。

 不慣れな素人仕事で、見てくれは見るに耐えない出来だが、自分で作っていると言う事に満足感が湧いて出てくる。

 出来た板を小屋の隙間が空いている所に置き、黒木で作った釘、と言うよりは杭の様な物で打ちつけて行く。

 数時間の格闘と末、取り敢えずの小屋の補修は終了した。


 「これなら冬でも、ここで過ごせるだろ」


 小屋の仕上がりを見てもらおうとマナを探しに行くと、余った木材を組み立てている姿が目に入る。


 「何してるんだマナ?」


 マナの背後から組み立てているものを見ると、それは机だった。それも、見てくれもしっかりとした売り物の様な机だった。


 「見てアレン。立派な机でしょ」

 「マナは意外と器用なんだね」

 その机を見ていると、自分が仕上げた小屋の修理が酷い仕上がりに感じて来る。


 「それと、もう一つ作った物があるの」

 そう言ってマナが取り出したのは、弓の様な物だった。

 「しなる白木と硬い黒木を合わせて、ツルを弦変わりにしてみたんだけど。ちょっと試して見てよ」


 これもまた素人とは思えぬ出来だ。

 弓を射ってみると、飛距離も速度も充分で弓として使える代物だ。しかし狙った所に中々当たらない。


 「ちょっと私にもやらせてよ」


 マナの放った矢を模した黒木の枝は、見事に木の真ん中に突き刺さった。

 「弓は私の方が得意みたいね」

 マナは自信の笑みを浮かべ、こちらを見た。



 アレンは動物を狩り、村の人に捌いて貰い肉を確保して、マナは木材から机や椅子などを作り村の人に売る。

 これにより、ここでの暮らしは安定して来た。


 二人とも以前のように生きていく為に軍に入り、命を賭けて戦う必要も無く、穏やかに過ぎて行く日々に充実感を感じていた。


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