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ぷらすわん ~1しか上がらないけれど、最強が目指せます~  作者: 雷風船
第一章 運命の扉

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追憶(41)「運」のステータス



『……留、推奨できる方法ではありませんが構いませんか?』


(おいおい……)


 ちょっとびっくりした。まさか【かんぱ】が回答を示す前に、事前伺いをしてくることがあるとは考えていなかった。


「ああ、構わない。頼む」


『是、【へんかん】のひらがなスキルを使って「運」のステータスを「ダンジョンボス覚醒ポイント」に変換してください』


(はあ?)


 ちょっと、何を言われたのかがうまく理解できない。【へんかん】のスキル? 「運」のステータス? っていうか、自分のステータスを他の何かに変換するって、いったいどういう意味だ?


「運のステータスをダンジョンボス覚醒ポイントに変換? そもそもダンジョンボス覚醒ポイントってなんだ? ダンジョンボスを覚醒させるポイントなんかがあるのか?」


『是、ダンジョンボス覚醒ポイントとは、スタンピード中のダンジョンボスを出現させるために必要なポイントです。通常は、ダンジョン発生時、ダンジョンの経過時間、階層ボスやダンジョンボス討伐時、ダンジョン内での魔物発生時、討伐時などに累積されていきます。スタンピード中のダンジョンボスは、このダンジョンボス覚醒ポイントを使って強化され出現します』


「でも、ここは常にスタンピード中じゃなかったっけ? すでにダンジョンボスはいるんじゃないのか?」


 師匠も、かなり昔になるけれど、金色の魔草を一度見かけたという話だったし。


『留、スタンピード中のダンジョンボスが、ダンジョン内で存在できる時間は最長2日間、ダンジョン外なら魔力が失われる7日目となります』


「じゃあ、今、この島はスタンピード中だから、ダンジョンボスが出現しても2日で消滅してるってこと?」


『是、その通りです』


「さっき、金色の魔草が現れる間隔は777年って言っていたけれど、それはそのダンジョンボス覚醒ポイントが溜まるまでの期間ってことでいいのか?」


『是、先ほど次の「ゴールド・マジックグラス(金色の魔草)」が出現するのは196年後と申しましたが、階層ボス「グロー・マジックグラス(銀色の若芽)」が討伐されたことでダンジョンボス覚醒ポイントが加算、従来より18年早まりました』


 ああ、そうか。

 さっき777年という数字に特別感を抱いた。ゾロ目だしね。でもなぜそれが「約」なのか少しだけ疑問に思っていたのだけれど、ダンジョンボス覚醒ポイントの溜まり方で時期が変わるということか。


 ということは……


「だったら、俺が【へんかん】のひらがなスキルで『運』のステータスをダンジョンボス覚醒ポイントに変換することで、ボスの覚醒を早めることができる、ということでいいんだな」


『是、現時点における「ゴールド・マジックグラス(金色の魔草)」の出現に必要な残ダンジョンボス覚醒ポイントは348,024ポイントです。「運」のステータスを「ダンジョンボス覚醒ポイント」に変換するレートは1,000対1ですので、ダンジョンボス出現のために必要な「運」は3億4,802万4千となります』


 3億4,800万? 俺の運のステータスは…………


 名前:ルイ

 種別:人族(異世人)

 年齢:11歳

 性別:男

 職業:■■■■


 レベル:3,509,118,430

 攻撃力:3,509,118,430

 魔力 :3,509,118,430

 防御力:3,509,118,430

 精神力:3,509,118,430

 運  :3,509,118,430


 よし、35億以上あるから、十分に足りる。


「ちなみに、変換ができるステータスは『運』だけ? 他のステータスも使って均等に減らすってことはできないのか?」


『否、スタンピード中のダンジョンボス出現は、この世界の(ことわり)に触れるため、その変換が有効になるステータスは「運」のステータスのみです』


「じゃあ、他のステータスも【へんかん】を使えば、有効に使えるときがある、ってことでいいのか?」


『留、【へんかん】により現在有効に使えるステータスは、「運」と「精神力」「魔力」の3つです』


「ちなみに、ステータスが減ったら対象の能力が減る以外のマイナス点はあるのか?」


『否、ステータスの減少は、対象の項目にのみ関わります』


「ということは、今回、『運』のステータスを減らすと運気が下がる、ということか……」


『否、そうではありません』


「え?」


『「運」のステータスは、幸運を示すための項目ではありません。あくまで世界のことわりに関わる数値を示しています。対象となる現象は、幸運と感じる方もいますし、不運と感じる方もいます』


 なんだって! ちょっとびっくり。

「運」は、「幸運」を示す値だと思っていた。

 今の説明を聞くなら、運の数値が高ければ、この世界の(ことわり)に触れることが増えるというだけだ。


「だったら、『運』の値は、俺のための数値じゃなく、この世界のための数値ってこと?」


『否、「運」の値はそれを所持する方の値を示すものです』


「…………」


『…………』


 説明はそれで終わりか!

 もっと、こう分かりやすく説明してもらえないのだろうか?


『留、今は「ゴールド・マジックグラス(金色の魔草)」と出会う方法について検討しなければならないのではないでしょうか?』


 なんか、【かんぱ】に正論を言われた! しかも、心で思ったことに対して!


 …………まあいい。とにかく金色の魔草に会うための方法は分かった。


 あとは――


「【かんぱ】、最後の質問だ。俺が金色の魔草を討伐すれば、師匠が言っていた『選択の時』を提示されるか?」


 そう、師匠がダンジョンボスを倒したとき、「選択の時」を示されて、瀕死だった妹を救うための【すくう】か、地球に帰還ができる【きかん】のどちらかを選べと言われて、師匠は妹を救うことにした、と言っていた。


 師匠は、その選択が悪意のこもった選択だと言っていた。なぜなら、地球に帰還しなければならない理由を思い出させた上で、どちらを選ぶかを迫られたから。

 逆に考えると【きかん】と同時に提示される選択肢は、俺が望むもの――つまり、師匠を救うために必要なスキルを提示されるのではないだろうか?


 地球に戻る必要がある記憶を思い出すようだが、師匠の命と選択しなければならないぐらい苦しいものだとしても、俺は歯を食いしばって耐えてやる!


 もう一つ。


 師匠は、その【すくう】というスキルを使うため、誓約を受けてトネリコの木になったと言っていた。

 ということは、師匠を救えるスキルを提示されたとしても、それを使う場合には何らかの代償が必要になるはずだ。


 でも、もちろんそんな代償は――師匠を救うことができる代償なら、喜んで俺が支払おう。


 だから……


 俺は知らず知らずのうちに、ぎゅっと拳を握りしめていた。


(お願いだ、【かんぱ】。俺が望む答えを言ってくれ!)


 やがて、少しのをおいてから【かんぱ】が答えてくれた。


『………………是、「選択の時」を提示されます』


 俺にはそのがなぜか、【かんぱ】の哀しみを現わしているように思えた――――




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