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ぷらすわん ~1しか上がらないけれど、最強が目指せます~  作者: 雷風船
第三章 天下無双剣闘会

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対ヴァンパイアロード


 開けた扉の先から、魔力の波が溢れてくるのが分かった。


 扉の向こうは玉座の間のように見える空間が広がっている。

 奥行きは100メートルほど。

 天井も100メートル以上あるんじゃないだろうか。灯りが乏しいこの部屋の中では、はっきりと見えない。


 そして、部屋の奥に設置された玉座に、マントを背負ったヴァンパイアロードが座っていた。

 長い杖を手にしている。


 その目には感情のような色は何も浮かんでいない。


「うっ!」


 小さな声がシヴァニから上がる。

 セシリアも、少しだけ顔を歪めている。

 今、二人にかけているスキルは【まもる】だけ。

 たぶん、ヴァンパイアロードは扉が開いた瞬間に自分のステータスをアップさせる【ダークブースト】のスキルを発動させたのだろう。


【かんてい】を使って確認してみる。



 種別:ヴァンパイアロード

 レベル:100

 攻撃力:100,000(300,000)

 魔力 :100,000

 防御力:100,000(300,000)

 精神力:100,000

 運  :10



 シヴァニはステータス差が逆転している。そしてセシリアも、一部が横並びに近い状態だ。その分、二人とも影響を受けているようだ。

【ダークブースト】を最大で使用していないのは、まあ、階層ボスとしてのコンバット・シーケンスなのだろう。戦闘が進めば、最大である5倍に上げてくるはずだ。


「二人とも、準備して」


「「はい」」


 俺の言葉に、セシリアが【限界突破】を、そしてシヴァニが【身体強化】のスキルをそれぞれ発動させた。



 名前:セシリア

 種別:人族

 年齢:17歳

 性別:女

 職業:勇者(■■■)


 レベル:2,316

 攻撃力:308,002(3,080,020)

 魔力 :250,441(2,504,410)

 防御力:249,775(2,497,750)

 精神力:285,588(2,855,880)

 運  :91




 名前:シヴァニ・メリディナル

 種別:鬼人族

 年齢:16歳

 性別:女

 職業:神官

 レベル:8,738

 攻撃力:105,165(315,495)

 魔力 :113,935(341,805)

 防御力:103,564(310,692)

 精神力:210,729(632,187)

 運  :229




 セシリアが10倍、そしてシヴァニが3倍にアップした。

 二人とも、受けていた圧力が弱まったので、顔色が元に戻った。


 セシリアの【限界突破】は魔力を使用しないが、シヴァニの【身体強化】は最大で使用しているので秒間10ずつ魔力が減っている。

 それでも、今はブーストされて30万を越える魔力量になっているから、9時間以上維持されるから問題ない。


 決着は1分以内だ。たぶん。



 そして――――



「「【縮地】!」」


 二人の姿が消える。


 ガキッ!


 どうやら、二人が右と左から同時に放った剣を、ヴァンパイアロードは剣を器用に斜め横にして防いだ。


 セシリアの攻撃力なら粉砕できるはずだが、どうやらあの手にしている杖が防御力の役割を果たしているようだ。


 すると、ヴァンパイアロードが手を挙げた。


「【眷属召喚】だ!」


 俺の言葉に、二人がすぐに【縮地】を使って距離をとる。


 パタパタパタパタ


 ヴァンパイアロードを守るかのように、その周辺に無数の飛翔する黒い影が現れた。

 召喚された眷属、ダークバットだ。


 その数は50。



 種別:ダークバット

 レベル:50

 攻撃力:10,000

 魔力 :10,000

 防御力:10,000

 精神力:10,000

 運  :90



 二人の敵ではない。

 もっとも、普通の冒険者たちなら、50の数を考えるとSランクでも苦労するだろう。

 あと、運がヴァンパイアロードの9倍あるのは、少し笑える。ヴァンパイアロードは眷属より運がないとは。


 と、いろいろ考えていると…………


 シヴァニの姿が、ふっと消えた。


 次の瞬間、シヴァニの姿はヴァンパイアロードの前にあった。


 そしてヴァンパイアロードを守るように羽ばたいていたダークバットが、黒い粒子へと変わる。


 同時に今度はセシリアの姿が消え、ヴァンパイアロードが空へと飛翔した。


 ドカーーーン!!


 爆音と共に、ヴァンパイアロードが座っていた玉座が粉々になった。


「えっ?」


 ちょっと驚いた。


 ここは迷宮だ。迷宮内のオブジェクトは、原則破壊することができない。

 玉座もオブジェクトの一つだと思っていたが、どうやら違ったようだ。


 ヴァンパイアロードのマントが翻る。


 そしてヴァンパイアロードは頬を膨らまして何かを吐き出した。


 赤い霧がヴァンパイロードを中心に、広がり始める。


【ダークブラッド】だ。


 触れると、秒間10,000ぐらいのダメージを受ける。


 すると、セシリアが飛び上がって、その霧の中に突っ込んでいった。


「えっ!?」


【まもる】があるからダメージは受けないけれど、そのことはセシリアは知らないはず。

 確かに今のセシリアの防御力なら、数分は耐えられそうだけれど…………


 すると――――


「【収納】!」


 霧に突っ込む直前で、セシリアがスキルを発動させた。


(なるほど!)


 俺は、少し感心していた。


 セシリアは★3つの【回復】スキルを持っているから、それを使ってダメージを軽減しながら戦うのかと思っていたら、霧を【収納】させるとは!


 道中に話していた作戦とは、随分違う戦い方をしているが、途中で一度休憩したときに二人で何かを話していたが、独自の戦い方を相談して決めていたのかもしれない。


 ただ…………


「あら?」


 セシリアが呟いて、そのまま地上に降りた。


 そう。セシリアの【収納】は、まだ★3つしかない。

 ヴァンパイアロードの【ダークブラッド】を全て吸収することができなかったようだ。


 それでも【ダークブラッド】の霧は、危険を楽に避けることができるぐらいに小さくなっている。


「シヴァニ!」


「うん!」


 セシリアがシヴァニに声をかけ、シヴァニが頷く。


「【聖魔法】!」


 シヴァニが【聖魔法】のスキルを発動、ダークブラッドの霧を白い光が包み込むと、セシリアが重なるように剣を揮った。


「【次元斬】!」


 ピシリ


 何かがひび割れるような乾いた音が聞こえた時、空中に浮かぶヴァンパイアロードの姿が、写真のように固まり、そして縦に斜めに分断された。


「グォオオオオオオオッッッッ!!!!」


 ヴァンパイアロードの断末魔の声が聞こえ、そして、パンと弾けるように黒い粒子となって消えていった。



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