25、別れと新しい大陸
他愛ない会話をしながら、ルゥ達一行はセンティルライド大陸へと渡る街道をひた進む。
途中で露天に寄りつつ、街道の端によって天幕を張り一夜を過ごす。ときには悪天候に見舞われて持ち物がずぶ濡れになったり──リバディとカザミが乾かした──、ルルディが不注意で波に攫われそうになったり──レイディとネロが咄嗟に力を使って助けた──、ルゥがスリの被害遭ったり──カガリが力づくで取り返した──、そうした日々を何日も繰り返し、ようやく半分ほど進んだところだろうか。
肌寒くも良い天気だった。
センティルライド大陸はほかの大陸よりも寒い日が多い大陸であり、距離が近づくほど寒さは増して空が灰色の雲に覆われることもしばしばある。ルゥの記憶にはないが、雪が降ってもおかしくない日もあった中での嬉しい晴れ間である。
シュカが、まるで糸が切れた人形のように崩れ落ちた。
空を飛ぶことはできなくなったが、翼の怪我はすっかり良くなったと言っても良いほどで、体調不良だったわけでも、体が熱を持っていたわけでもない。何気ない会話をしていたカガリは、一体何が起こったのか分からず、状況を飲み込むまで数秒の時を要した。
「は?」
ようやく口にできた音はそれだけで、しかしそれでもルゥやカザミは耳聡く聞き取ってカガリの方を振り返った。
「どうしたの?」
「何かあっ──」
言葉が最後まで紡げなかったのはカザミである。
茫然と足元を見ているカガリ。その視線の先に倒れているシュカ。
まず警戒するのは敵襲だが、これだけの人数が警戒網を敷いているにも関わらず、隙間を抜けてシュカを的確に攻撃して倒すことは困難。『ゴリアテ』にも『始まりの精霊種族』にも関係ない一般的な有象無象の種族が行き交っている街道で、ということも敵襲が行われた確率が無いに等しいことを瞬時に思い立ち、警戒意識を少しだけ下げて幾分か安全であることに胸を撫で下ろす。
「シュカ?! ネロ! アイネ! シュカが!」
「なんですって?」
既に異変をネロとアイネに知らせたルゥは元より、アーサーやカガリ達の近くにいたエーテルもただ事では無いと知って慌ただしく駆け寄って安否の確認をし始めた。
次に考えるのはシュカの容体である。
パッと見外傷は見当たらないが、近寄って抱き起こして血や傷の有無を確認する。
このあたりで通行人が徐々に歩みを止めて「何事だ?」と野次馬になり始めるが、ネロとエーテルが気を利かせて簡単な状況説明をして人の流れを止めないように誘導していた。
「特に誰かにやられたって感じじゃねえな」
「カザミ、もう少し端に寄った方が良いんじゃない? その方がシュカも休めるよ!」
「そうだな……」
「団長、布を敷いておいたぞ。こっちだ」
「おい、シュカに何があったんだよ!」
「今からそれを調べんだよ。敵襲じゃないと思うが、カガリは少し落ち着け」
それぞれがそれぞれに最適と思われる行動をしたおかげで、特に騒がれることもなくシュカを街道の端の方へ横たえることができた。
彼女の容体は、ルゥの目から見ても一目瞭然で力なくぐったりとしていた。
外傷もない。ここ最近の様子からして病気である可能性も低い。ならば、残された可能性は……。
──……寿命、かな。
第三種族の寿命は合成種族の次に短い。大概が26の年月を生きたら蝋燭の火が消えるようにフッと失われてしまう。
シュカの年齢は27。ここ最近の第三種族の最高年齢を1年超過している。
いつ何時死んでもおかしくなかったことをルゥは思い出したのだった。
「おい、まさか……」
カガリもルゥと同じ考えに至ったようだ。いや、カザミもアーサーもその可能性を分かっているのだろう。分かっていて口に出さないのである。
最悪の想定であるがゆえに……。
「ちょっとちょっとー。一体何やってるんですかー?」
落ち込み始めた空気に水を差すようにルルディが面倒くさそうな声でシュカの頭側に立った。
「あれ? この鳥どうしたんですかー?」
「死んだ?」
「リバディ!」
歯に衣着せぬ物言いのリバディをルゥが鋭い声で制した。
自分でも驚く声音だったらしい。少し間を開けて小さく「ごめん」と謝ったのだった。そして「でも……」と続けた。
「今のは良くないよ。辛いことで、悲しいことなんだよ……」
「ルゥ……」
「そうよねぇ。私たち精霊種族は死と概念が遠いし、薄いものねぇ」
精霊種族は長寿であり、たとえ肉体が死を迎えたとしてもその魂は精霊郷にある晶霊結晶へと還り、そしてまた同じ元素を持つ精霊種族としての生を授かる。個としての記憶は残らないし、見た目も性格も違う者が生まれてくるが、転生するという考えが根付いているのである。
彼女達にとって"死"とは悲しくもなんともない、また会える日までの小さな空白でしかなかった。
アイネはそれを踏まえて精霊種族の事実を述べたのだが、哀れみも悲しみも、なんの感情も篭っていないしみじみとした物言いが、よりシュカの死を連想させて『ゴリアテ』の心をざわめかせた。
「それで、カザミ。シュカの具合は?」
ルゥの問いかけに応えないカザミに、『始まりの精霊種族』を除いた全員が暗い表情になった。
カザミに医療の知識はないが、第三種族や合成種族が急死する場面を何度も見てきた経験だけはある。シュカの症状は、まさにそれだった。
アーサーもカガリも例に漏れず経験していたが、心のどこかでこのまま神様の元まで行って、ブン殴るなり掴みかかって暴言を撒き散らすなり、理性的に話し合うなりで、寿命の短さをなんとかできると思っていたし、なんとかしようと考えていた矢先での出来事である。感情が理性に追いついていないがための、現実逃避であった。
「うそ、だろ……」
「……来てしまった、のか」
日差しが照りつける昼前の、露天の呼び込みや行き交う人々の会話の、賑やかなこと、賑やかなこと。
その一画に、まるでお葬式のような暗くどんよりとした雰囲気を醸し出す者達。何事だろうと一旦は様子見するが、所詮は他人事であり、歩みを止めてまで、声を掛けてまで深入りしてくる者は誰もいなかった。
それが、少しだけルゥには悲しかった。
──世界って、こんなに冷たくて寂しいところなのかな……。モエギだったら、きっと駆け寄ってくれた。ミーシャだったら、たぶんオドオドしながらも助けを呼んでくれるんだろうな。
「……ぁ」
「っシュカ!?」
少しだけ身動ぎして微かな呻き声を上げたシュカに、カザミ達が飛び掛からんばかりの勢いで近寄った。
「そな……に、慌て……でも……まだ、生きてる……から、心配せんで、ええよ」
空気を吐くような小さな声だったが、喋っているうちに不安定だった意識がはっきりしてきたのだろう。途切れ途切れだった言葉が滑らかなものとなっていた。しかし体を起こせるような気力はないらしく、横たわったままの体勢は変わることはなかった。
「シュカ……」
「団長、悲しんでくれるん? 嬉しいわあ」
「当たり前だろっ!」
「カガリはん、アーサーはん。団長のこと、よろしゅう頼むな」
「なっ……! んな、最後みたいなことっ……言うなよ…………」
「そうだ。翼を怪我しているのと、長旅で少し疲れただけだろう。気をしっかり持て」
「ありがとう」
儚いけれどとても綺麗な微笑みを見て、ルゥはシュカが死を覚悟していることを知った。
恐らくカザミ達もそうなのだろう。口々に励ましてはいるが、その顔は悲痛そのものであり、カガリに至っては目に涙をためて必死に泣かないようにしていた。
自分が知っている死と種類の違う、徐々に消えていく命を前に言い表せない気持ちに困惑していたルゥは、シュカに名を呼ばれて正体不明の気持ちにぼんやりと輪郭が浮かんだ。
「ルゥはん」
「うん」
「うちは、ルゥはんはもう『ゴリアテ』の仲間やと思っとる。けど、ルゥはんは、違うんやろ? それでもええ。団長はんと、カガリはんのこと、よろしゅう頼むな」
「……うん」
──悲しい。寂しい。
確かに僕は『ゴリアテ』の仲間じゃない。けど、もうみんな仲間で、友達で……。シュカももちろん、大切な人になってたんだ。
訳も分からないうちにいなくなるんじゃない。じわじわと、ゆっくり別れなきゃいけないから、より悲しいんだ。
「ふふ。泣いてくれるん? 嬉しいわあ」
「……っうん」
自然と涙を流したルゥを皮切りに、エーテルとカガリとがつられるように泣き始めた。
ただ、やはりシュカと関係が薄く死に疎い『始まりの精霊種族』やアイネは至って普通の面持ちであり、ネロも大して揺れ動かされるような感情は持ち合わせていないようだった。
通行人が誰もシュカに関心を寄せないのと、ネロ達がなんの感情も抱いていないことにルゥはまた悲しくなったが、もう一人の自分が納得している部分があって、それ以上考えることを止めた。
誰も喋らない、周囲の喧騒とすすり泣く声が聞こえるが、不思議と静かに感じる。まるでこの空間だけ切り取られたような、そんな錯覚を起こさせる長いようで短い時間が過ぎた。
「そろそろ動かないと、いつまで経っても目的地には着かへんよ?」
仕方ないなという風に、シュカが暗に自分を置いてさっさと先に進めと言ってきたのである。
ルゥはもちろん、カザミ達も首を縦に振れるはずもなく、しかし言葉で拒否することもできなかった。
置いていくことはしたくないが、連れて行くことも不可能だと理解できているからこそ、何もできなかったのである。
「ほら、団長だん。早よう」
「……ああ」
「カガリはんも、神様が、逃げてまうよ」
「っなこと! ……ありえねーって、分かってるクセに、なに言ってんだよっ!」
「カガリ、怒鳴るな」
「っるせぇ! こんなときでも澄ましやがって! クソアーサーが!」
「カガリ……」
「なんで、こんなんばっかなんだよ……。あたしら第三種族も、フィーリアたち合成種族も……!」
この世界が理不尽だと嘆く彼女の|慟哭に、いつまで泣いてるんだという空気を醸し出していた『始まりの精霊種族』でさえ、空気を読まない発言を控えたようだった。
「だからこそ、神様を殴りに行くのでしょう?」
ただ一人、ネロだけを除いて……。
それは母親が聞き分けのない子供を諭すような、優しい言い方だった。
「ネロ……。うん、そう……だよね」
涙を拭ってルゥも応えた。
「ルゥはん、ありがとう」
「テメエら! シュカをこのまま置いてくのかよ!?」
「カガリ、分かってるよね?」
ルゥはその先を言葉にすることはなかったが、彼はシュカの命の灯火がほとんど残っていないことを言っているのだ。
今現在でさえ、シュカは気力だけで目を開け、口元を笑みで型取りながら言葉を発している状態である。
彼女は、自分の死に目に『ゴリアテ』を立ち合わせたくないのだろう。そうでないと、カガリはいつまで経ってもこの場を動かなくなりそうだと理解しているのだ。
「っ……」
「カガリ、行くぞ。……悪いな、シュカ」
「ええんよ。団長はん、好きやったよ。ううん。ずっと、好き。シズクはんが相手なら、仕方ないって割り切ったけど、やっぱり好きなんよ」
「おー」
カザミの目からも涙が溢れ、好意に答える声は震えていた。
「シュカ、もう、喋るな……」
アーサーは涙を堪え、声を詰まらせながら最後の言葉を掛けている。
迫りつつある別れに悲壮感が漂う『ゴリアテ』を見て、ルゥはせめてその悲しみが少しでも和らげれば。死んでしまったシュカが悲しみや後悔に縛られることなく、自由でいられることを願って行動に移すことにした。
「ねえ、ラウディとリバディにお願いがあるんだけど……」
『ゴリアテ』の面々に気付かれることのないよう、とても小さな声で話しかけたルゥだったが、二人はうまく聞き取ってくれたようで、さらにカザミ達は弱っているシュカに意識が向いていて、こちらの声は届いていないようである。
「なんだ? 今は聞いてやらなくもないぞ」
「うん」
「動物って、植物と同じで焼いたら灰になるんだよね? ラウディの炎で……シュカを焼いて、リバディの風で自由に空を飛ばしてあげて欲しいんだ」
この世界に火葬の概念はない。肉体を灰にするような温度の炎を生み出すことができないからだ。
普通なら木製の棺に納め、地面に穴を掘って埋葬するのが一般的である。
ルゥが火葬を提案できたのは、サラマンダーとしての潜在的な経験と知識があったからだろう。
ラウディとリバディは火葬というものを知らないが、ルゥの言ったことを理解して「それくらいなら」と快く頷いたのだった。
「ちゃんと、『ゴリアテ』が行ってからだよ?」
「それくらいは分かってるぞ。でも、悔しいけど俺よりお前の方が火力はあるんじゃないのか?」
「……ラウディは意地悪だね」
「は? 俺が? なぜだ」
「自分じゃできないから、ラウディに頼んでる」
「リバディの言う通りだよ。僕は、できない……。やりたくない」
友人を、知人をその手で燃やすということがどんなに恐ろしいことか。
未だに友人であるシアンを殺めた記憶はないが、真っ赤に染まる手や視界に苛まれ続ける日々は苦痛以外の何物でもない。
「そんなものか?」
「私は分かる気がしますわ」
「ルルもなんとなく分かるかなー」
首を傾げたラウディと違い、複雑な思いに同意を示したレイディとルルディはそのまま自らの想いを話し始めた。
「もし、精霊種族が命を終えた後、魂が晶霊結晶に戻るとは分かっていても、その肉体を自らの手で水に沈めろと言われた嫌ですわ」
「うん。リバちゃんを土に埋めたくないなー。そんなこと言ってきたやつは逆に土に埋めまーす」
「じゃあ、お前らは俺様やリバディが死んだらどうするんだ?」
「……そこの狼と一緒ですわ。誰かに、頼むのでしょう。私が見ていないところで、眠らせて欲しい……と」
「私は嫌々だけど自分で埋めるかなー。他人にやらせたくはないし、まあ、そんなものかーって感じですねー」
『始まりの精霊種族』が、それぞれ親しい間柄の人物が死んだ際の対応について話しているのを流し聞きながら、悲しみに沈む『ゴリアテ』に先を進むよう言葉を掛けるのだった。
✳︎ ✳︎ ✳︎
半月。道中、いろいろな出来事があった。
出発前に懸念していた道の水没はもちろん、野党や盗賊・海賊の類もほぼ毎日のように出現しては騒ぎを起こし、海に棲む怪物ダイオウイカに鯱や鮫にも襲われて、旅人の被害はルゥ達が目撃しただけでも両手両足では足らず、3桁に届く勢いであった。
力の強い第三種族の集団である『ゴリアテ』や『始まりの精霊種族』が居てもこの被害である。知らない場所を含めれば4桁はくだらないだろう。
ちなみにアイネはシルフという立場上、観測者であり続ける必要があったため手出しはしない……予定だったが、ルゥ達の身に降りかかりそうな危険をそれとなく防御していた。
しかし、周囲の悲惨を他所に『ゴリアテ』の頭の中は置いてきたシュカのことでいっぱいだった。
ルゥは考えた。
シュカはもう灰になって、風の向くままに自由に世界を飛んでいるんだと教えるべきだろうか、と。
『始まりの精霊種族』である火の精霊種族ラウディと風の精霊種族リバディに、火葬して風に飛ばしてくれとお願いしたあと、数分後に彼らはルゥ達と合流した。
シュカの命の灯火は、数分しか保たないギリギリのところだったという事実に、カザミは、カガリは、アーサーは気付いているのだろうか?
──カザミは気付いてそう。他の二人と匂いが違う気がする。
尻尾の揺れ方、耳の動かし方、周囲への警戒の仕方がカガリとは違って大分落ち着いてきている。それは『ゴリアテ』をまとめる者としてなのかもしれないが、ルゥの嗅覚は悲しみの種類の違いを嗅ぎ取っていた。
「この重い雰囲気、いつまで続くんですかー?」
「二週間。ずっと暗い」
「俺様の気分までさがるぞ」
「それは大問題ですわ! ラウディは太陽のように輝く素敵な笑顔が似合いま──んん、何でもありませんわ」
『始まりの精霊種族』の、何度目かわからない愚痴を交えたいつものやり取りが始まる。
ここでネロがため息混じりに嗜めるのが定型となっていたが、今回はネロより先にアイネの同意が入った。
「そぉよねぇ。私も良い加減飽きたわぁ」
「アイネまで……。いえ、よく我慢した方かしら」
「だってぇ、ひたすら真っ直ぐな道ってつまらないのよぉ。もっと災害が起こったり風景が変わったりすればいいのにぃ」
「災害は駄目に決まってるでしょう!」
二人のやりとりを見て、ルゥはやっぱりアイネも神側なのだと思った。
いつも優しくにこやかで、ルゥに対して愛情を持って接してくれてはいるが、自由を愛する彼女は停滞を何よりも嫌うゆえにこの世界に対する愛着が薄い。
自分の家族が健やかであるのなら、自分の退屈が紛れるのなら、おそらくリバディさえも残酷に切り捨てられるだろう。
そして、その感情はネロも持ち合わせていた。しかし……。
──僕……サラマンダーのためなら全てを敵に回しても構わないと思ってたんだよね? けど、ネロは変わった。エーテルと出会って、モエギと出会って、一緒に旅をして……。
神様も、ネロみたいに変わってくれるといいな。
(それは願望でしょ。シギルはこの世界よりも、俺たちよりもクライスへの情愛を、欲望を優先させた。神様なのに。だからこんな結果になってるんじゃないか)
──それは……。
(クライスが今どうしてるのか分からないけど、シギルの暴走具合をみると閉じ込められてるんじゃないかな? 力はシギルの方が強い訳だし)
──クライスを閉じ込めてまで、シギルはこの世界をどうしたいんだろう?
(さあね。一からやり直したいんじゃない?)
一からやり直すとは、この世界を壊すということ。
今、この世界に生きている全てを消し去るということである。
──全てを消すってことは、ネロはどうなるのかな? エーテルは? モエギは?
(それこそ知らないよ。シギルに直接聞くしかないんじゃないかな)
──そう、だよね……。うん。ちゃんと、聞こう。
おそらく、本当にもう少しで大陸に着くのだろう。潮風に乗って流れてくる磯臭い匂いの中に、僅かだが生活の香りが混ざってきている。
これからの道中は今まで以上に誹謗中傷や暴力に晒されることだろう。
シュカが居なくなり、重く悲しい空気に追い討ちをかけるような仕打ちが待ち構えているが、進まなくてはならない一行。戻るという選択肢はなく、歩みを止めることも今更な話であり、何よりその選択は十中八九ないのである。
前に進むしか道はなく、心に引きずられるように思い足取りで進むカザミたちを励ますように。自分の存在がなんなのか、その答えを探すために。ネロたちといつまでも笑って過ごすために。ルゥは先頭に躍り出て皆を引っ張るようにズンズンと進んだ。




