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にゃん

「お前の考えがわからない。」

「困った人や、苦しんでいる人がいたら支える。声をかける。助ける。それの、なにが不思議なんですか?私は、部長のおっしゃっていることがわかりません・・・。」

 ヒクッと部長の片眉があがります。

 怒らせてしまったでしょうか。

 言い方が不遜だったかもしれません・・・。

 ひやひやと沈黙の冷たさを肌で感じていると、部長の言葉で空気が振動しました。

 唇を片方だけ上げて、皮肉めいた笑みの形が部長の顔に浮かびます。

「早乙女は、いい環境で育ったんだな。確か実家が、」

「豪華と言われることもありますが。」

 後に続く言葉で、私が周りからどんな家柄の人だと思われているか分かってしまう。

 そんな考えが浮かび、上司の言葉を遮ってしまいました。

 しかしそんな態度を床の塵ほどにも気に留めていないように、部長は再び口を開きます。

「しかしお前はそれを誇りに思っていない。むしろ嫌悪感さえ見られる。」

 何故この人は、こんな時だけ人の気持ちを的確に言い当てるのでしょう。

 それなら心配する声も受け取ってほしいものです。

 うつむいた視線の先の髪を、くるくると指に絡ませながら、彼に対する返答を思案しましたが、上手に話せそうな気はしません。

「嫌悪感・・・そう、ですね。名門の家柄が好きではなかったと思います。親は厳しい、使用人は表では優しくて裏では悪口ばかり、友達も近づいてきませんでした。ずっと一人だったんです。・・・だから、家柄のしがらみから解放されたいとは、常々思っていましたね。」

 

「・・・お前の苗字の早乙女は、家柄を示すものだったな。

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