1-11 異世界の保身
皆さん言いたい事が多々あるとは思いますが、まずは序章完結の続きをどうぞ。
参った・・・考えれば彼女の時と違い武器なり何か戦闘手段を所持してくる事なんか予想できたし、こちらに敵意を持たない保証など無いだろう。
となると、一度彼女の元に戻り説明後に彼らの元に誘導しよう。
…説明ってまたジェスチャーで?そんな時間あるのかと言えば、無いと思った方が良いだろうなぁ…
彼らの目的は彼女だ。狼に襲われ、突如現れたゴブリンは逃走。となると彼女の身を案じて移動を開始するだろう。
そうなれば同じ場所に留まる理由はないし、そもそも彼女を発見した時傍に俺が居れば…話がこじれるどころじゃ無いな。
問題はそれだけで収まらなかった。結論から言うと彼女は元の場所に居なかった。
松葉杖を使い移動したのか?そりゃ襲う気配が無くてもゴブリン相手に待つ分けないか、しかも知り合いが傍まで自分を探しに来てくれたと成れば尚の事だ。
このまま彼女達が合流できるなら良いとは思うが、問題は俺の存在だ。女性の身になって考えよう…
遭難したけど親切なゴブリンに助けられて無事だったわ。
いやいやいやいや、無理無理無理!!ゴブリン=陵辱の象徴と思われる。っていうか彼女の怯えようから言って間違いない。そんな世界でゴブリンと二人きりで居ましたとか言える訳ないし!
彼女は俺の存在を黙ってたとしても、男性人は森に居る事を知ってしまった。なら真っ先にそっちの方を疑うよなぁ。
…あれ?これ俺詰んでない?どうしてこうなったし!?
考えろ俺、現状置かれている状況から推察される結末は討伐コースだ。
さっきの狩人の腕前はすごかったが、狼相手に苦戦している印象は受けた。不意を打たれたとか色々あるだろうけど森に脅威がある以上自分達での対処は考えにくい。
領主が保持する騎士みたいな奴が出てくる可能性は無いが、一番恐れているのは冒険者だ。異世界もので良くある定番の職業であり、ゴブリンといえば冒険者だ。もし並々ならぬ殺意を抱いてる冒険者等出てきたら…
やばい、かなりやばい。この上彼女に何かあったとしよう。それが獣によるものだったとしても俺が疑われる。憎悪を上乗せして殺しに来るだろう。逃げ出したとして、もし固体特定可能な方法があったら逃亡先まで追ってくるだろう。
魔法の存在が今だ確認できない事がその可能性を大きくしている。いくら魔法といってもそこまで都合の良い物でないと思う。だが否定する要素もないし言い出したら魔法なんて存在しないかもしれない。
しかし、もし最悪魔法が存在し、かつ都合の良い物だった場合を想定するべきだ。
では、それらの危険性を加味した上で俺が取るべき行動は?
俺の無害性を訴え理解してもらう?言語による意思疎通が不可能。
証拠隠滅?どこに行ったか判らない彼女とあの連射能力の高い狩人を殺すとか無いわぁ。そもそも、人として最後の一線だけは越えるわけに行かない。
逃亡?彼女の安全を確認できないと先の冤罪怨恨抹殺コースが待っている。
…彼女達が安全に村まで帰還したのを確認した上で逃げたら?
冒険者が来る可能性が高いなら依頼を出して派遣されるまでの日数が確保される。明日朝一で彼女の身体検査をして話し合いの後に依頼が出される、しかも冒険者組合が別の集落あるいは町にあった場合移動時間も加わる。
…となれば意外と猶予ないか?これ以上の最善策を思いつく可能性も少ない。言語意思疎通が不可能な時点で、取れる手段なんてそうないだろうしこれでいいか。
まずは彼女の身の安全を優先し、最悪悲鳴を上げてもらって男性陣を誘導。後に身を隠して様子を伺い見届け次第逃亡しよう。
先のゴブリンは何だったのだろうか?
夜になっても戻らない娘を心配して、森奥に入ると暫くしてから狼に襲われた。狩人のバデンによるとフォレストウルフとの事だが、そもそもこの森に動物は居ても魔物は居なかったはずだ。ありえない魔物の襲撃に戸惑った我々を奴らは見逃す気はなかった。
あわやという瞬間を救ったのはこれもありえない事にゴブリンだった。しかも非常に高い戦闘力をもった個体であるそれは、瞬く間に我々を襲っていた4頭のフォレストウルフを惨殺した。立ち直ったバデンが追い払わなければ今頃私は…。
しかしそれ以上に心配なのは娘のエマだ。ゴブリンは繁殖に別の種族の女性を襲う。中でも人間の女性は戦闘力が低く特に狙われる。あんな強い固体が居るとなると、すでに大きなコロニーが形成されている可能性が高い。もしかしたらという不安に私の足は速くなる。
「待て!エディム。エマの事が心配なのは判るが、森の様子がおかしい。我々がここで倒れてしまえばそれこそエマを見つけられなくなるぞ」
「しかし!…いや、すまないバデン。お前の言う通りだ」
私は辺境開拓の長なのだ。優先すべきは村の事であり娘は2番目に考えなくては。理解してはいるが…、父親と開拓団の長としての私の板ばさみに悩んでいると不意に声がした
「その声…父さん?バデンおじさんにクオンまで!」
妙な杖をついた娘が姿を見せてくれた。
どうやら彼女は合流できたようだ。少し前に彼女を見つけて遠巻きに見守りながら付けていたのだが無事でよかった。2,3会話を交わし、回りを警戒しつつ来た方へと戻って行く4人を見送り
俺の異世界での初の人種との遭遇は無事に済んだ。
無事か?…ま、いいや。異世界人と遭遇して命があっただけでも良しとしよう。
さっさと逃げる準備して移動を開始しなきゃな。
俺は棲家にしていた小池の方に歩き出した。
見切り発車の障害がここで一気に噴出している状況です。
こんなに早くアップ出来るならさっさと上げろと言う読者様方の嘆息が聞こえる気がします。
設定だけが完成して書き出したら予定の話数で終わらないと今更理解しました。
ある程度プロット?と言うものも作成して進めないと駄目ですね。
その辺の知識は次回への課題として、お話は最後まで頑張ります。




