③破壊と封印と再生
北九州防衛線。
そこは、日本最後の防波堤だった。
黄海連盟は対馬を突破し、日本上陸を狙っていた。
飢えた者。
病んだ者。
武装した者。
彼らは難民であり、侵略者でもあった。
再生評議会は迎撃を決定。
自律砲台。
無人戦車。
AI制御ドローン。
かつて人類が戦争のために作った技術が、今度は文明を守るために使われた。
凛は司令室で指示を飛ばす。
「敵主力、門司海峡へ侵入!」
燎が通信を繋ぐ。
「第二防衛ライン、撃て!」
夜の海が閃光で裂けた。
無数の無人兵器が黄海連盟を迎撃する。
その中で、ハン・ジソンの旗艦だけが前進を続けていた。
狂気のように。
最終的に。
黄海連盟は壊滅した。
捕虜となった幹部は語った。
中国内陸部の放射線砂漠。
飢餓。
略奪。
人肉食。
朝鮮半島の軍閥化。
制御不能の原子炉。
報告を聞き終えた成瀬は、静かに言った。
「……人類には、早すぎたのかもしれん」
そして再生評議会は決定する。
原子力施設の封印。
高度生殖技術の制限。
制御不能な科学技術の凍結。
宗教界は歓喜した。
「神の怒りを鎮める時代が来た」と。
だが凛は納得していなかった。
「科学が悪なんじゃない」
地下庁舎の廊下で、彼女は燎に言う。
「使う側が未熟だっただけ」
燎はしばらく黙っていた。
そして答える。
「人類は、いつ成熟するんだろうな」
数ヶ月後。
北海道沖。
巨大な洋上封印施設。
凛と燎は、封印プロジェクトへ配属されていた。
旧時代の技術を管理し、隔離し、未来へ残す仕事。
冷たい海風の中。
凛は空を見上げる。
そこにはまだ、衛星が回っていた。
壊れかけながら。
それでも落ちずに。
燎が缶コーヒーを差し出す。
「飲むか」
「まずい」
「文明の味だ」
凛は小さく笑った。
遠くで、朝日が昇る。
崩壊した世界に。
それでも、平等に。
人類は滅びかけた。
だが、まだ終わってはいない。
終わらせない限りは。
第一章はここで終わります。
評価や乾燥を書いていただけると光栄です。
次章はこの世界のはるか先の世界となる予定です。
よろしくお願いいたします。




