3-3(閑話)
「どう?ホワイトワールドは?」
「ええ、すごく楽しんでますよ」
「それは良かった」
「テストが終わっても続けたいくらいです」
「嬉しいねえ」
「そういえば、ワールド内の情報量がすごく増えたように感じたんですが。」
「お、鋭いね。そのとおりだよ」
「どうなってるんですか?」
「うーん、ホワイトワールドを動かすプログラムが自動でやってる。」
「もう少し説明するね。君たちがテストプレイしている間におぼえた違和感やストレス、『こうだったら良いのに』という感情をプログラムが感知する。意識無意識にかかわらず、君たちが持ったリクエストをプログラムが汲み取って、検討して、実装してるんだ」
「自動で?」
「そう。自動で。最終的なバランスは人力で取るよ。リリース前に。でも、テストプレイ期間はプレイヤー自由な感覚とシステムにまかせてるんだ。その方が早いし、我々では想像つかない部分のディティールが埋まるから」
「なるほど。それでリリースはいつ頃の予定なんですか?」
「どうだろう、テストが年度末で終わって、4月にプレスリリース。広告打って、会員募集で審査と抽選、事前の健康チェック、契約、なんだかんだで半年はかかるかな」
「そんなに?」
「まあね。これでも全力なんだけどね」
「ログインステーションの整備とか、関係各所への手続きはもう進めてるし」
「新しいサービスだから、反対する人もいるし、遅れさせようと抵抗する人もいる。単純に対応が遅い役所もある。その辺もまあ、うちの全力でなんとかしてきているんだ」
「またその話ですか」
「まあまあ、テストしてくれた人達には何か手を考えるよ。サービスリリース前でも遊べるようにするとかね」
「ありがとうございます」




