7 気持ち
ゴッホンが叫ぶ。
「逆恨みなんだよ! 八つ当たりなんだよ! 俺がお前達に喚いた事も、青騎士と決闘したのも!! でもあのクソ王子の元許婚に異母弟だ。関係無いと分かっていても、俺の中の怒りはどうしようも無かったんだよっ」
叫んで、荒い息を吐いた。
「と言う訳だ。青騎士達に悪い事したと伝えてくれ。いずれ謝罪に赴くつもりだが、今の俺はまだ気持ちの整理が付いてなくてな。直に会えば、また因縁を付けちまう」
「はい」
そしてメイドは言葉を続ける。
「話してくれてありがとうございました。そしてすみませんでした」
「何に対してだ」
「私の理由で、です」
「それでもお嬢ちゃんが謝る必要は無い。今ここで馬鹿なのは俺だ。援軍に八つ当たり何てどんな馬鹿だよと自分でも思う。でもな……」
ゴッホンの手は震えていた。
「カーマックや叔父達が死んでからまだ一カ月だ。この城塞の奴らは、俺も兄貴も皆、まだ内心では引きずっている」
「……」
「さて……。道を案内してやるから追て来な」
「はい、お願いします」
先導するゴッホンの後をメイドは付いて行く。
この困難な任務で自ら成すべき事を考えながら。
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