第八十頁 — 色鮮やかな体育祭の裏側
( ̄3 ̄)~♪
昼の日差しの中、軽い風の気配さえどこにもない。
校庭のあちこちでは、みんながそれぞれ日陰で休んでいるのに、
なぜか今、
ヤシオさんはその日差しの真下に立っていて、生徒会のみんなに背を向けている。
両腕を首の後ろで交差させていて、日差しを避けようとする様子もない。
袖に汗が染み始めているのに、すぐ近くの日陰まであと数歩なのに。
ヤシオさん、急に外に出て何してるんだ?
...
じーっ~
その間、この日陰の中では、なぜか、
すべての目が外に立っているただ一人の少女に集まっている。
「ナギちゃん、どうして急にそこに立ってるの~」
「早く入ってきなよ、おいしいものたくさんあるよ。」
「ねえ、旦那様の隣にでも座ればいいのに~」
「ねえ、こっちに来てよ~」
「少し話そうよ~」
...
この空気、今どうすればいいかわからない。
ただわかっているのは、今ここで口を挟んだら、何か、
あまり良くない予感しかしないということだ。
...
ぽんっ.
そしてキリュウ先輩は、なぜか頭を下げて僕に謝っている。
でも何をしたのか覚えていないんだけど?
「ごめん、ハルくん!」
「今の謝罪で何も解決しないのはわかってる。」
「ヤシオが報告した時点でちゃんと聞くべきだった。」
「もう君の朝を無駄にしてしまった。」
「何か要求があれば言ってくれ、すぐに埋め合わせする!」
...
「あの...先輩...」
「さっきから何を言ってるんですか?」
「正直、まだ何もわかっていません。」
「ただみんなを手伝ってるだけじゃないですか?」
「大したことなんて何も起きてないですよ。」
...
...
キリュウ先輩が急に背筋を伸ばして座り直し、目をまっすぐ僕に向け、両手を軽く膝に置く。
「やっぱりまだ知らないんだな、ハルくん。」
「聞いてくれ。ほかの学校の体育祭とは違って……」
「うちの学校では、この体育祭には、学校の多くの人の将来を左右する意味がある。」
「特に君たちF組のメンバーにとって。」
...
「先輩、何を言ってるんですか?」
「体育祭はただの体育祭じゃないんですか?」
「確かにみんななぜか休みなく練習してるけど、」
「それが一人ひとりの将来とどう関係するんですか?」
...
はぁ……
キリュウ先輩が突然顔を伏せて、指で何度も鼻筋を擦り、目を細める。
「聞けよ、ハルくん。」
「朝の初めに見ただろ、ハルくん?」
「スーツ姿の、まるでビジネスマンみたいな人たちと、同じような服を着た大勢の人が学校に入ってきた。」
「学校中をずっと動き回っているのに、行く先は試合が行われている場所ばかりだ。」
...
「はい。」
よく考えると、どうしてそういう人たちが学校の体育祭を見に来るんだ?
トップ校だとしても、体育祭の日に来る理由なんてないはずだ。
でも本当に試合が開かれてる場所にしか行ってないのか?
あの時はスーツケースの山を運んでたからあまり気にしてなかった。
...
キリュウ先輩がなぜかますます顔を低く伏せて、髪が急に少し乱れてくる。
感じは、少し暗いけど、うまく表現しにくい。
「ハルくん、あの人たちはな、」
「投資家やリクルーター、プロのコーチ、あるいはナショナルレベルの選手たちだ。」
「今日彼らはここに来て、自分のチームに才能のある人材を早いうちからスカウトしたり、」
「あるいは、実際の試合を見て、目をつけている人間をチェックしてるんだ。」
「そして俺たち...は、」
「君の機会を奪ってしまった。」
...
え?
ちょっと待て。
先輩は今何を言った?
チーム?テスト試合?機会とか何とか?
へっ?
つまり...みんながあんなに盛り上がってる理由は...単純に...
この体育祭が……将来につながるチャンスの入り口ってこと?!
え?本当に?
...
キリュウ先輩がますます恐ろしく暗くなって、両手を強く握りしめ、体が徐々に縮んでいく。
そんなに深刻なことなのか?
「ごめん、ハルくん。」
「今どうすればいいかわからない。」
「他のクラスのメンバーなら、まだ進学っていう道が残ってる。」
「でも君たちF組にとっては、その扉が今日みたいな瞬間に開かれるんだ……」
「そして俺たち...は、」
...
誰に冗談を言ってるんだ?確かにこの機会は重要そうだけど、
どのスポーツでも特に目立たない自分みたいな奴にとっては、
その機会があっても掴めたかどうかはわからない。
だから、
「大丈夫です、キリュウ先輩。」
「どうせ僕は体育祭であまり参加してないですし。」
「ヤシオさんに頼まれなくても、たぶんこのことに気づかず、」
「後ろでみんなを応援してるだけだったと思います。」
...
ふっ……
「だから先輩は謝らなくていいです。」
「僕の方が先輩に感謝すべきです。」
少なくとも、みんなが今輝けるように手伝えたなら、
テントの周りを一日中ぐるぐるしてるよりはずっといい。
...
...
「ハルくん、君は...」
...
うわぁぁぁーん!
突然、どこからともなく、
ヤシオさんが飛んできて僕を強く抱きしめて、顔を何度も肩に擦りつけてくる。
でも...少しきつすぎる...気がする...
目の前の景色が徐々にぼやけていく。
「よかった...よかった...」
「旦那様は私のこと嫌いになってない!」
...
はぁ……
キリュウ先輩がなぜか、腰に手を当てて僕たちを見て、
頭を軽く振り、目を閉じる。
「ヤシオ。」
「残りの条項の説明は頼む。」
「でもやりすぎるなよ!」
...
ぎゅぎゅっ!
腕は首を強く締めつけたまま、顔には満面の笑みを浮かべ、目を輝かせながら周りを見ている。
たぶん、さっき断っておくべきだった...方がよかった...
「安心して、優しくするから!」
「旦那様を干からびるまで働かせたりはしないよ。」
「せいぜい夕方6時までには休ませてあげるわ~」
...
「ヤシオ、この話し方について何て言ったか、覚えてるよね~?」
「もう少しセラピーセッションが必要みたいね~」
...
びくっ!
「違うの...セイカちゃん...」
「ただ...少し冗談を言っただけ...」
.........................................................................
そしてそうして昼が過ぎ、体育祭が再び続いた。
午後ずっと、朝みたいに荷物を運ぶ代わりに、
ヤシオさんと僕はなぜか学校を出て、店を何軒か回り、
大きな箱を満載した台車を学校まで引っ張らなきゃいけなかった。
話だけ聞くと大したことないけれど、
二人だけで、その台車を坂道で引っ張り、
それを十回連続で繰り返して、しかも計画に遅れないよう急がなきゃいけない。
まさに拷問だ。
...
でも代わりに、外に出ると変な感じがする。
みんながまだ学校の中で必死に頑張っているのに、
僕は平気で外を歩いて、疲れたら水を何本か飲んだり、近くの軽食をヤシオさんと一緒に食べたりする。
正直、悪くない。
これが授業中にサボる人たちの感覚なのか?悪くないな。
でも唯一気になるのは、なぜか僕たちの横を通る人は、みんなやけに長く僕たちを見ていく。
ただの男子生徒と先輩が外で仕事をして、疲れたから軽食を食べてるだけなのに?
何が変なんだ?
...
ヤシオさんは休憩中に説明してくれた。
今朝ヤシオさんにハンコを押させられた紙は、生徒会の一種の契約書だった。
人数とか権限の分け方に少しややこしいところはあるけれど、大体は単純に、
一定期間生徒会を手伝って効率的に仕事をした人は、
短期間で三つの特権を得られる、というものだ。
...
一つ目は、学校所有のあらゆる施設を使える権利。
制限区域だけでなく、校外にあるけど学校が管理してる施設も含む。
そしてこれらの場所に行く時、他の人を連れて行ってもいい。
これは悪くない気がする。
...
二つ目は少しシンプルで、
食堂での特権で、好きなメニューを好きな量だけ注文できて、
食堂に降りる時も並ばなくていい。
食事の費用は全部学校が負担する。
聞こえはいいけど、
条件として食べ残したら、その食事代を全額自分で払わなきゃいけない。
注文する時は注意が必要だな。
...
最後の権利は、たぶん一番迷うものだ。
一度だけ、学校の決定に介入できる。
停学や退学、あるいは教師に関する問題を却下するような決定に対して、
この権利を使えば、その問題を直接自分に任せることができる。
でもこれはかなり危険に見える。
これを生徒に渡すのは正しい判断なのか?
...
でも考えてみると、こんなにいい特権があるのに、どうして誰も申し込まないんだろう?
その時ヤシオさんは甘い飲み物の缶を抱えて、僕に言った。
「違うの。」
「参加者が少ないほど特権が多くなるの。」
「仕事量は決して止まらない。」
「特権を使いたい時も、生徒会の何人かの同意が必要。」
「それに体育祭は自分を他の人にアピールする機会でもある。」
「目立たない裏方の仕事のためにそれを捨てる人がどれだけいると思う?」
...
ぎゅっ...
またヤシオさんが僕の首に腕を回して抱きついてくる、顔は明るい笑顔のままだ。
でも、ヤシオさんの手にある缶が、いつ僕にかかってもおかしくない気がする。
「でも今年は旦那様が手伝ってくれるようになったし~」
「一人増えただけで仕事がかなり楽になったわ~」
「大好き~」
...
それから先輩が突然顔を隠して、耳元でそっと囁く。
「だから...もしよかったら...」
「学園祭の時……旦那様の特権が切れた頃に……」
「また私たちを手伝いに来てくれる?」
「ハ...ハ...ハル...」
...
たぶん...少しはわかる。
もし毎年こうなら、つまり...
生徒会に入ってから、たぶん、
ヤシオさんはいつもこっそりこの台車を学校まで引っ張ってたんだ。
「はい。」
「その日が来たら、必ず手伝いに行きます。」
「でもヤシオさん、変な真似はしないでください。」
「普通に誘ってくれればすぐに行きます。」
...
ぎゅっ...
ヤシオさんはまだ顔を別の方向に隠して、声がだんだん小さくなっていく。
「急にかっこよくなって...」
「お姉さんを口説くつもり?後輩。」
「次に...約束を守ってくれたら...」
「その時は...」




