ケーキの予約⑤
「・・え? あっ、はい、渡村が当日に取りに来れば間違いなく何か身分証を持ってくると思います。身分証を持ち歩かずに外に出る勇気は彼にはないと思います」
「そうですか(笑)ご予約いただきましたケーキのお受け取り日が当店の半額セールの日ですので、当日がお誕生日であることを証明するものをご提示いただくというお約束をしていただけないと、バースデーケーキのご予約をお受けできないことになっているんです。
それではお間違いなく身分証をご提示いただけるということですね。バースデーの方にはカットケーキ1個を無料でプレゼントさせていただきます」
「ありがとうございます。渡村が当日ケーキを取りに来る時には何か誕生日を証明できるものを必ず持ってくるように言っておきます・・。あの、プレゼントなので、ケーキのお会計はできれば今日させていただきたいのですが・・それは可能ですか・・?」
「はい、本日承ります。・・ミルクレープ4つですね・・半額となりますので、1600円となりま~す」
「そうですか~♪ ありがとうございます!! 色々とわがままばかりですみません・・。本当に助かりました・・。ミルクレープ4つで1600円・・!! 半額っ!! 何てお得なんだ・・。 ・・あぁ、はい、それでは・・えっと、これで・・」
新地結菜は通常の価格だと3200円なので、5000円札を出そうと思っていたが、1000円札2枚を財布の中から取り出した。女性店員から400円のお釣りとレシートをもらい会計を済ませると、小さく店員に会釈しそそくさとカウンターを離れた。
「・・ありがとうございました~♪ またおこしくださいませ~♪」
対応してくれた店員の明るい声が店内に響くと、他の店員もそれに続いた。新地結菜は散々悩んだ末に店にバースデーケーキの注文をしに来たので、自分の注文に親身になって笑顔で対応してくれた店員に救われた気分だった。
振り向いて対応してくれた店員に会釈すると、その店員もそれに対し笑顔で会釈し返してくれた。